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(第14章 親がいなくても子は育つ)
家に帰ってきたが、両親はいなかった。殺されていたとしても、心配してくれる肉親はいないのだと、孤独に笑いたくなった。
父はヒトミママと離婚したことを使用人たちの噂で知った。
しかも父は、療養とは名ばかりの海外移住をしていた。悠一の行方もわからないというのに、二度と顔も見たくないのだと思った。
おそらく父とは、悠一との惜別を経て、その後10年以上、会うことはなかった。
奥野弁護士は献身的に悠一の後見人として甲斐甲斐しく世話をしてくれた。
悠一の仲の別人格の一人、マコは奥野にぞっこんで、たまに女装して奥野に迫っていたが、それが悠一であることには気づかなかった。
奥野は他人を疑うことのない、純真な人物だった。
父は海外でその才能を発揮し、永井家のしがらみや重責から初めて解放され、生き生きと活躍しているようだった。
誰かと再婚したらしいが、息子として紹介されることはなかった。




