表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

魔力が使えなくなり勇者パーティからお役御免となった聖女は自分をいじめていた魔導師に復讐する。

作者: Arcanum

拙作、「才女なのに悪役令嬢ポジの私が、腹黒ヒロインをたたきのめすまで」が、処女作なのに1日で82ポイントを超えました(現在)。とても嬉しいです。

読者の皆さん、本当にありがとうございます。 

今回は後味が悪いですが、復讐好きの方には刺さるかなー?と思います。

残酷表現あります。苦手な方は、ご注意を!


 「お前はもう勇者パーティにはいらない。」

 「そうだ、カノンの言うとおり魔力のない聖女などただの穀潰しだ。」

 「クスクス。聖女なのに魔力がなくなるなんてほんと笑える。サラ、ほんとざまぁみろだわ。」

 サラは勇者のことを狙っていた。髪の毛を引っ張ったり、風呂を熱湯にして全身に火傷を負わせたり、と、いつもイジメをしてきた。これ幸いにと便乗するのは当たり前だ。

 カノンはこのパーティのリーダー兼勇者。2番目に話したのが戦士タンクのガルン、最後が魔導師のミリだ。なんでこんなことになったのか、




 「サラ、すまない。ガルンが毒矢を受けてしまった。治癒魔術で解毒してやってくれ。」

 「わかった。ガルン大丈夫?」

 「完全治癒パーフェクトヒール


 「ありがとうサラって、危ない。」

 私は咄嗟に短剣を避けた。それが相手の狙いだったようで、後ろから弓が刺さった。これは深い。すぐに治癒魔術で治さないと。」

 「完全治癒パーフェクトヒール

 あれ?発動しない。

完全治癒パーフェクトヒール」 「完全治癒パーフェクトヒール」 「完全治癒パーフェクトヒール」 「完全治癒パーフェクトヒール」 「完全治癒パーフェクトヒール


 あれ?なんでだろ。魔力の感覚がなくなった。もしかしてこれは、神話の時代の魔道具、魔力消しの弓か?なんてことだ。このままじゃ勇者パーティどころか、生きていくのも難しい。私は全てを治癒魔術に捧げたのだから。



 そして、話は今に戻る。私は内心とても悔しかった。でも、聖女の代えなんていくらでもいるのだ。魔法使いは、治癒魔術を主に扱う職業だ。いわゆる聖女の下位互換だ。でも、魔法を使えない聖女と、魔法を使える魔法使いなんて、後者の方がいいに決まってる。案の定私は勇者パーティを追放された。


あぁ、これからどうしようか。私は幼い頃から魔力の訓練をしていた。そして、その訓練しかしていなかった。それほどの努力をしたから、凡人の私が勇者パーティなんかで聖女という大事な役目をできていたのだ。それも今終わった。これで私はなんの取り柄もないゴミ人間だ。どうしよう。頭を使うのは苦手だ。よし、まずは体を鍛えよう。

 それから私は毎日20時間筋トレをした。肉もササミしか食べなくなった。効果は1ヶ月ほどで顕著になった。リアル指一本で机を持ち上げられるようになったのだ。柔軟も欠かさなかったから百八十度開脚してさらに足を三十度ほど、上に上げれるほどに体が柔らかくなった。筋肉も某中山レベルにはついた。私は一応女だ。顔は痩せてから美形な自信がある。でも、筋骨隆々だ。なんで不気味なんだ!私はブカブカの服を着るようになった。これで、可愛くて実はめちゃくちゃ強い回復魔法使えない万能聖女?ちゃんの誕生だ!私は冒険者ギルドに行って、拳闘士として新登録してもらいに行った。すると、二人組の男が寄ってきた。

 「おい、姉ちゃん。こっち来ていいことしようぜ。」

 見るからに弱そうな奴らだ。ここは、私の実力試しになってもらおう。

 「言いたいことはそれだけか?死ね。」

 私は脅しのつもりで2人の首を掴む。すると2人の口から唾液が糸を引いて、2人は気を失った。うそだろ!!軽ーく掴んだだけなんだが。

 喧騒としたギルドが静まり返った。

 「あのー。すいません。早く登録してもらってもいいですか?」

 「は、はい。すいません。」怯えながらも受付嬢は、登録してくれた。これで今日から私は拳闘士だ。これからは、道場でたくさんの流派を極めるか。

この国で三大武術は空手スカイハンドと、空道スカイロードだ。英語のできない小学3年生男子がかっこつけてつけたみたいな名前だ。それと、柔道《judo》だ。柔道は柔道のままなのかよ。まぁ、いいか。この国の武術は日本とは違い、総合武術的なものだ。服もそのままで戦う。よし、これからは武術を極めてみよう。


 「こんにちは!拳闘士のサラです。空手スカイハンドを習いに来ました。教えていただいてもよろしいですか?」

 「いや、ダメだ。新入りのお前は見稽古をしておけ。時間が余ったら稽古してやる。」

 そこから3週間私は見取り稽古をし続けた。そしてついに手合わせしてもらえることになった。

 「よろしくお願いします。」

 「いいぞ、かかってこい。」

 「では、行きます。」

 私は首のところをつかむと見せかけて足払いをし、関節技を決める。

 うそ?師範ってこんなに弱いのか?

 「お前のか、勝ちだ。サラ。免許皆伝だから早く道場から出て行ってくれ。」

 「ありがとうございました。」半ば追い出されるようにして私はこの国一の空手(スカイハンド)道場をでた。


 〈師範〉

 「なんだあいつは、本当に見取り稽古しかしてなかったのか?圧倒的力にスピード、あれほどの技術、どれをとっても1級品だ。若くにしてあれほどとは、すべての時間を武術の研鑽に注いできたのか、あの子は努力の塊だな。」

 

 なんかすいません。3週間前から武術始めました。さらにその1か月前から筋トレ始めました。それまで、聖女でした。


 これと同じことが、空道スカイロード道場、柔道《judo》道場でも起こった。

 そして後々、「努力の化身サラ」という180度的外れな二つ名が広がっていくのもまた別のお話。


 

 「拳闘士サラを、勇者パーティの助っ人に命じる。」

 王が言った。なんでも、私の実力は勇者レベルなので、助けてやってほしいそうだ。痩せて顔も変わったし、あれから2年もたったのだからあいつらも気づかないだろう。だが、私の復讐の芽は、着々と育っていた。



 「こんにちは。拳闘士のマリナです。」

 「臨時だけどよろしくね。」

 「うむ、よろしくな。」

 「ふぅん、あなたが助っ人ね。」

 まぁ、私から勇者様を寝取ろうなんて考えないことね。そう、私だけに聞こえる声で魔導師のミリが言った。相変わらず嫌なやつだ。まぁいい。こいつらはもう他人なのだから。


 「よし、今日は天狼フェンリルを狩ろう。S級モンスターだが、俺たちならいける。

 さぁ、行こう。」

 こうして天狼フェンリル狩りが始まった。

 前衛は私と勇者、戦士タンクで、後衛は魔導師だ。

 「俺が必殺の一撃で仕留めるから、ガルンは、攻撃を防いでくれ。マリナさんは、遊撃でいい。」

 私はマリナという偽名でこのパーティに入った。しし、こいつらの顔を見た時私の中の何かが弾け飛んだ。顔を見ただけで虫酸が走る。あぁ、ムカつくなぁ。死ねばいいのに。

 天狼フェンリルが攻撃を仕掛けてくる。戦士タンクが吹っ飛ばされる。攻撃を溜めていた勇者は牙で噛みちぎられ瀕死の状態だ。これでも死ねないのは勇者であるが故だろう。皮肉だ。

 「こんなことになるなんて私聞いてないわよ。」そう言ってミリは私に魔物寄せのお香を投げつけて一目散に逃げていった。その瞬間、がこちらに狙いを定め一瞬で飛んできた。

 噛みちぎられるのは私じゃない。お前だよ、クソミリ。私はミリに一歩で追いつき、天狼フェンリルの前に投げる。天狼フェンリルは嬉々として怯えるミリを噛みちぎる。

 「ごめんなさい。もうしません。たすけでぇ。だずげでぐだざい。」

 肋骨が何本か内臓に刺さっているな。喉もつぶされていて満足に声も出せないのか。よし、助けよう。人間二度あることは三度あると思う。生きる希望を持ったこいつを見殺しにするのは気持ちいいだろうか。私は天狼フェンリルに飛びかかる。右腕を噛みちぎられた。でも私は恍惚としていた。

 「死ね。」

 天狼フェンリルの首が弾け飛んだ。その血が口に入る。返り血でびしょびしょだ。すると、ふと何かが戻ってくる感覚に見舞われた。

 「完全治癒パーフェクトヒール

 失った自分の右腕が生えてきた。魔力が、戻っている。


 「だずげで。だずげなざい。」

 私はミリの目の前で勇者と戦士タンクを全回復させる。


 そして近づいてゆき、彼女の頭を潰した。

 

 

ぜひぜひ、ポイントとブクマ、よろしくお願いします!

誤字報告してくださった猫田ヤム美さん、蔵砂屋米太さん、本当にありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[日間] ハイファンタジー〔ファンタジー〕ランキング - 短編18位
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ