19、止まらない複視、そして厄年
退院2日後、ようやく日記が再開します。といっても、複視は治りません。この頃には診察でもらったプリントの存在を思い出し、「過矯正は時々ある」ということを認識してはいたのですが、それにしたって不安だし、我慢できないほど不便でした。「失敗」では必ずしもない、ということがわかったのは良かったのですが……。
さて、ここで私が取った行動とは。1、iPadでAmazonのオーディブル(本を朗読してくれるサービス)無料体験。部屋を暗くして聴く。2、新しいイヤホンを買ってきてもらって、音楽を部屋を暗くして聴く、です。ポイントは、二重の視界をなき物にするため、部屋を暗くして心を落ち着けることです。なんとか、耳でできる娯楽を探そう、と思いました。しかし残念なことに、そう、発達障害の私は「耳からの情報を捉えるのが苦手なタイプ」だったのです。というわけで、オーディブルは止めて戻して「なんて言った?」とか「今どういう話?」とか、なかなか前に進めず、とりあえず内容を知ってるアガサ・クリスティー「アクロイド殺し」を流してみる……だけで終わりました。結局聴き終わらなかったです。目が健康なら何もいらない、と本当に思いました。目さえあれば。盲目の人はどれだけ大変な思いをしているのだろう、と思いました。
救いだったのは、暗い部屋で落ち込み続ける私の元に、A型作業所の先輩が電話をかけてきてくれたことです。私の様子をLINEで聞いてきて、私が涙マークをいっぱい使ったところ、「これは駄目だわ」と電話をかけたとのこと。暗い部屋で涙を流しながら話しました。「斜視の手術後、すぐ仕事に戻れるって聞いておかしいと思った。手術ってそんなに簡単なことじゃないよ」と言われ、私は完全に軽いノリで手術した……と愕然としました。いや、沢山悩んだのですが、でもどこか「斜視の手術は簡単なもの」と刷り込まれていました。T先生のノリでした。それと、と先輩。「友恵ちゃん、厄年じゃない? 私、何か悪いことがあったら厄年のせいにしてるんだ」と教えてくれました。実は私も、文通相手に厄年の人がいて散々だったようなので、「もしや」とは思っていたのですが。信心深い方ではないですが、「これは厄年だ」と感じました。後に書きますが、手術後「目薬アレルギー」で瞼が腫れ上がったり、「ドライアイ」で瞼がくっついて離れづらくなったり、とにかく色々続きました。
気持ちはどん底だったのですが、二重も二重だったのですが……手元は見える!のでスマホを見ていたようです。前日に比べれば進歩ですね。止まってじーっと正面から見ると時々ちゃんと見えることもありました。ただ、遠くが見えないって過矯正?低矯正?と考えていました。結局過矯正だったのですが。
もしまた斜視になっても、もう手術はしないな、と思いました。頑張れ私の目と脳……!!寝たらもっと良くなりますように……!!と祈ってこの日は眠りました。