18、手術終了、しかし複視
手術日の夜、T先生が病室に様子を見に来ました。暗い部屋で、私の眼帯を「もう必要ないです」と取り、ライトを目に当てました。「二重に見えたりしますか?」と言われ、裸眼の視力が悪すぎる私はよくわからず「大丈夫です」と言って、先生は帰っていきました。私は眼帯を外した状況で、よくよく常夜灯や夜景を見てみると、「あれ……?二重じゃないか?」と気付きます。(手術日の夜はご飯を食べた気がするのですが……白身魚の煮付けみたいな感じだったと思います。ハズレだーと思った記憶が。)二重に見えるよなぁ、と不安は増します。次の日(退院日)になって、母に不安からLINEをします。すると、「一時的なもので、すぐ治る、とネットに書いてあるよ」と返ってきます。そうかな?と正直不安だったのですが……、朝の診察があって、また廊下を歩き、診察室に辿り着きます。めちゃくちゃ二重なんだけど……。診察の時間が回ってきて、また3人の眼科医が私の目を観察……「二重に見えます」と伝えると、「治ると思うんだけどなぁ」と一番年嵩の医者が言って、それで終わりでした。看護師に目薬の使い方を教えてもらい、時間になったら勝手に退院するシステムでした。荷物をまとめて、そこで普段髪を縛っているゴムを紛失し、爆発頭でナースステーションへ。
看護師に「退院します」と言って、苦手なエレベーターに乗って一階に行きます。そして、(退院の受付をしたのかな?あんまり覚えてないです)入り口を出てバスに乗ります。
大切なことを書き忘れてました。術後、トイレの鏡を見た時、ギョッとせずにはいられませんでした。目が真っ赤。「死んだ魚の目」という形容がぴったりくる感じでした。白目が異常に充血。血みどろ。そして目やに。これはとめどなく出てきました。コットンアイで拭っても拭っても出てきます。
私は、バスに乗る時の時刻表を見て、あまりにも二重に見えるので、凄く不安になります。そして、二重すぎて足元が覚束無い。かなり危ない。これ、なんかおかしくない……?
何とかして家に帰ってきたものの、やはり家の中が二重に見える。天井の照明が二個に見えるし、テーブルの角もズレて二つに見える。私はそこにいた弟に、「二重に見える」と伝えました。弟は「目の位置が変わるんだから、慣れるまで時間が必要なのは当たり前」と言いました。「そうかな……」と少し納得したのですが、それでも不安は収まらない。どんどん不安になっていきます。母が帰ってきて、兄が帰ってきて私は「二重に見える」と騒ぎます。兄がネットで調べてくれて、「過矯正でも低矯正でも、二重になることはある」だの、「数ヶ月で治る」だの……。何が本当なのかわからないのですが、私は「失敗されたんだ」と決め込んで、内心パニックを起こしていました。まさか私が医療ミスされるとは……。マイナス思考が基本なので、どんどん悪い方悪い方へ考えてしまいます。そのため、手術前に配られたプリントの「過矯正は狙ってすることがある。複視(二重にだぶって見える)を訴えることが多い」という文言は意識になく、もうひたすら「失敗、失敗、失敗」「私の目はどうなるの? まさかずっとこのまま?」という恐怖で頭がいっぱいでした。
そして、あまりの気分の沈みっぷりに、術後2日は日記が途絶えます。