11、A型作業所の看護師の意見
A型作業所の看護師に意見を聞いたのは、S総合病院に行く前日のことです。この時点でまだ決め切れてなくて、ずっと悩んでいました。先輩の勧めで昼休みに健康管理室を訪ねました。「斜視の手術を受けるかどうか迷っている」と相談すると、看護師は、
「私だったらやる。悪くなることはないし。子供でもできる簡単な手術だし、私が親ならやらせる。リスクのある手術なら悩むだろうけど、斜視の手術はそうじゃない」
と極めて簡潔に手術をお勧めしてくれました。こうまで断定的だと、背中を押される側としてかなり有難い。
その言葉を待っていた! という気分です。誰かに決めてほしい、という幼少期からの癖、なのか何なのか、決めることが怖い病の私に、この看護師は〝丁度良い人“でした。
「よし、手術しよう!」と決めました。
だけど後日、「決めたのはあなただからねー」と念を押されました。信じた人にハシゴを外された気分です。この看護師、斜視の手術について「目の筋肉は何本か選んで切るんじゃない? だってそうしないと目が取れちゃうもんねぇ」というめちゃくちゃな無知ぶりを披露していました。だけど、その時は私も「確かに! じゃあ、全部切るわけじゃないなら怖くないかな?」と応じたりしていました。
この時点で手術の正しい知識がある人は周りにいませんでした。上記の筋肉の話は嘘っぱちです。怖いですね……何もわからないのに手術しよう、ってなっちゃうんだから。ネットで調べることも、あえてはやらなかったですね。まず先生がボソッと言っていた手術法がよくわからなかったし。
何か凄く、流されてしまった、という感じがありました。気がついたら「斜視手術」の流れの中にいた、というか。いや、まあ、自分でそうしたんだけど………。目をいじる、という不安は依然としてありました。それは手術後に現実になります。
ここからは手術に向かって急に忙しくなっていきます。