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推させて下さい!5【安時梨奈】

カフェを出てすぐに事務所へ戻った梨奈は自分のデスクでPCを立ち上げて黙々と何かを入力していた


暫く作業を進めていると梨奈の隣のデスクに同じマネージャーの松田美都子まつだみつこが着席した


「あ、松田さん、お疲れ様です」


「お疲れ様、スカウトに出てるって聞いていたけど随分早く戻ってきたのね」


松田は元々別の大手芸能事務所で有名俳優のマネージャーを担当していたが、その事務所を退職し、今年にビートアッププロダクションへ入社した

梨奈よりも歳は6つ上で、落ち着いた雰囲気の女性だ


松田は現在、自分が担当するアイドルを自らオーディションで選考している最中である


「聞いてくださいよ!めっちゃ良い子を見つけちゃって!もうこの子しかないって感じでビビっと来ちゃって。絶対に運命の出会いだと思うんですよ!」


梨奈は鼻息荒くしながら松田の方へ椅子を回転させた


「へえ~、で、スカウトはもう済んだって訳?」


「まだ返事待ちなんですけど、居ても立っても居られなくなって今からプロデュースに向けての資料を作ってるんです」


「ええ...まだ外見以外どんな子なのか分からないでしょ?」


松田は顔をややひきつらせた


「いや、少し話しただでもうあの子のアイドルとしての像がわかりました、もうね、すごいんですよ、計算や狙って作ったものじゃない純粋で天然な透明感、彼女の仕草を見ただけでそれがハッキリと伝わってきましたもん、あれはアイドルとしての素質の塊ですよ!」


梨奈は興奮気味に力説する


「おぼろげながら浮かんで来たんですよ、あの子のアイドルとしての姿が。今の時代のアイドルという雰囲気じゃなくて、ひと昔前のアイドルって感じなんですよ。だから彼女はソロで活動してもらおうかなって考えてます。ユニット売りが主流の今の時代に敢えて前時代的な方針で売り出したいんです」


「それは面白そうね」


「松田さんの方はどうなんですか?オーディションの最終ってもうすぐですよね?」


梨奈は松田の手元にあるオーディション資料らしき紙に視線を向ける


「ええ、正直何人かもう目星はつけてるわ」


「へえ~、松田さんがどんな子達を選ぶのか楽しみです」


「私も楽しみよ、だってアイドルをマネジメント、プロデュースしたくてここに来たんだもの」


松田はそう言うと、梨奈の方へ身体を向けた


「私の方が歳もマネージャーとしての経験歴も上だけど、今年から同じタイミングで、同じくアイドルをマネジメント、プロデュースする者同士としては、自分の事を先輩だとは思わないわ。共に切磋琢磨していきましょう」


「はい、よろしくお願いします!」


梨奈は松田に向かって敬礼のポーズをとり、それを見た松田は「ふふっ」と軽く笑った

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