第一章 第二話【スライムの世界】
暗い空間に一人浮かんでいた。あれからどのくらいの時間が経ったかは分からない。
(ここは何処だろうか、俺は死んだんだよな)
死という事が呆気なく来てしまい、特にこれといった実感は湧かなかった。まあ受け入れるしかない。
今、俺がいるのは恐らく水の中だろう。地面に足は着いてないし、そもそも浮いているような感覚がするからだ。
(まあ真っ暗で何もわからないんだが)
それにしても、何も見えないって事はまだ死んでいないのか。
ここは天国ではないのだろうか。
それか地獄に来てしまったとか?
いや、案外母親のお腹の中だったりしてーー
と、まあ考えても分かるはずない。結局俺は何か起こるまでボーとすることにした。
ここに来てからどれくらい経ったのだろうか。あれから、気がついたことがある。
まずこの場所では、何故か眠れないし、食事をとらなくても生きていること。いや、本当は死んでいるんだが。
そんなことを考えているとき、辺りが徐々に白くなっていることに気づいた。
(うわっ、なんだ! 急な展開かよ!)
何が起こっているのか驚いていたが、そんな暇もなく、瞬く間に辺りは白くなり俺を包んでいった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「......ま......きろ」
何やら声が聞こえる。俺に言っているのだろうか?
「おい......えおき......」
何を言ってるかあまり分からないが、低いおじさんのような声がする。
(あっこれはまさか、実は全て夢で俺はまだ死んでいないとかーー)
俺はかすかな希望を抱き、そっと目を開けた。
(おぉ! ここが天国か!?)
そこには綺麗な緑の野原が広がっていた。また、その先には大きな街が広がっていた。
「あっ! そういえば男の人は!?」
俺は辺りを見渡したが男の人はいなかった。というか青いスライムのような物体が浮かんでいた。
「え、誰すか?」
「おっ、やっと起きたな。ついてこい」
おじさんスライムはそう言うと、街の方へ向かってしまった。
「え、ちょあっ! 待ってくださいっ!」
俺も急いでおじさんの後を追っていった。
おじさんと歩いて数分、気づいたことがある。それは、すれ違う者達は皆、おじさんと同じでスライムのような奴ばかりなのだ。色や大きさなど様々ではあるが、原型は同じような感じだ。となれば、なんとなく検討は付くだろう。
「おじさん、俺の姿ってみんなと同じ?」
「あぁ? 何言ってるんだ、みんな同じだろ」
やはり俺も同じスライムのようだった。まさか、死んでスライムの世界に来るなんて。俺はついていないのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺たちはようやく街についた。せっかく着いたから休みたいところだが、俺は神殿という場所に行く必要がある。というのも、一時間ほど前、おじさんにこんなことを言われたからだ。
『おい、まさかお前記憶を解放できてないのか?』『えーと、解放ってなんですか? おじさんは、何か知ってるんですか?』
『知ってるも何も、まあ、一旦街に着いたらここに行け』
『ここは?』
おじさんが地図を見せてくれた。そこには神殿と書かれていた。
『ここは、神殿と言ってな。俺の知り合いの店なんだ。まあとにかく行けよ!』
おじさんは、そう言っていたが、大丈夫だろうか。
【記憶屋~神殿~】
と書かれた看板を見て俺は思った。それに心配な理由も他にある。それは今、俺だけということだ。おじさんは神殿に着いた直後、用事があるとかで何処かへ行ってしまった。
「まあ、入ってみないと分からないか」
俺は深呼吸をし、体から触手を出した。この体はこれが普通らしい。
「お邪魔します」
扉を開け中へ入っていった。
こんばんは、無神照夜です。
第一章 第二話【スライムの世界】できました。
今回は展開がガラリと変わり、謎の世界に主人公は入ってしまいます。
この後どうなるのか!?
もし
「今後の展開が気になる!」
「面白いから続き読みたい」
と思う人がいましたら、【ブックマークを追加】を押して頂けると幸いです。
また、☆☆☆☆☆←これにも、評価してくださると、僕自身も、励みになります。
今後も宜しくお願いします。