第一章 第一話【魔法と約束】
魔法が飛び交うファンタジーのような世界に俺、ワイアット·カーチスは居た。
そして俺はもうすぐ死ぬ。
急に何を言い出すかって? だけど事実なんだ。
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俺はある日事故で死んだ。そして異世界でカーチス家の次男として生まれ変わっていた。
俺が元居た所は地球という星の日本という国だった。
まあ所謂、転生というやつだ。特別な能力はなかったがこの世界は魔法が使えるらしく俺も普通に使えた。勇者みたいな漫画のようなことは起こらなかったけど。
「まあ、せっかく魔法が使えるファンタジー世界で生まれ変わったんだし頑張ってやる!」
そう意気込んでいた俺だが、現実は甘くなかった。
国同士の魔法戦争が始まり、俺も参戦した。
前線で戦っていた俺は始めは順調だった。だが敵の大魔法により一瞬でやられてしまった。
幸い俺は一命を取り留めた。けれどもう長くはない。
なんでかって?
よくある話じゃないか。死ぬ直前は本人にはわかるって。
まあ俺にしては良い人生だったし悔いはないーー。いや、
「ハーレム作るの忘れてたな......いや俺じゃ無理か......。」
こんな死ぬ直前というのに、こんなことを考えれるなんて我ながら流石だと思う。
「ちょっとワイアット! なにバカなこと言ってるの!!」
彼女は幼なじみのレーナだ。
ブロンドの髪に蒼い瞳。小柄だがこう見えて俺と同じ21歳だ。
その彼女も治癒魔法が得意で俺と同じ戦争に出ていた。
「おいおいレーナ、そんなに大声出すなよ......」
「だって、だって......」
俺の額の上に水がポロポロ溢れ落ちてきた。女性を心配させるなんて男失格だな。
「レーナ! 俺はもう......充分もらったから」
「っ......そんなーー」
俺は身体を無理に起こし、レーナを抱きしめた。
身体中痛いがレーナに治療してもらったお陰でなんとか動ける。まあどうせ動かなくても長くはない、最後くらい大丈夫だろう。
「レーナ......好きだ。今までありがとな。また来世で」
俺はレーナにそう伝えると目を閉じた。
レーナがなにか叫んでいるが、もう無理だ。身体はだるいし目を開けられない、それに段々声も薄れていーー。
「......も......だよ」
ん? なにか聞こえる。なんだ、わからない、もう死んだのか?
「わた......す......よ」
わたす? 何をだ? 声が聞こえづらい。くそ、もう少し、あと少しでーー。
「......すきだよ」
俺は目を丸くした。いや、正確には目は閉じているから違うんだが、そのくらい驚いていた。
「私も好きだよ! また会おうね」
あぁ、俺は幸せ者だな。こんな美しい女性に、レーナに好きと言って貰えるなんて。
それに一瞬だがレーナの笑った顔が最後に見えた。
(もう悔いはないな)
俺は流れに身を任せ、深い闇の中へ落ちていった。
こんにちは、無神照夜です。
プロローグに続き、第一章 第一話【魔法と約束】を無事に投稿できました!
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