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第12話 再会



       「ここは…………」


   「私は昔…ここに訪れたことが……。」


全てを悟った彼女は何もない空間で、1人涙を浮かべる……。


「私は……わたしは……。何度もここに訪れているのですね……」


「あの悲劇を何回、何十回、何百回も……」


彼女は全てを思い出した。

 彼女はあの事件のあった1日を何度も何度も繰り返してきていたのだ。


「あー……神様…何故私はいつも記憶を無くしてしまうのでしょうか……。何故………」


「それはお前が諦めているからだ。」


突然見知らぬ声が彼女の頭の中に入り込んでくる。


「また貴方ですか……」


声の主はこの、次元の狭間の支配者、デモンズオーナー

と言う人物。

 彼女が次元の狭間に来るたびに現れる正体不明の者。


「前にも一度説明したが」

「元の世界に戻るには1京年という時間をこの中で過ごさなければない」

「しかし記憶を無くすことですぐにでも戻すことは可能だ」

「貴様は1兆年の時を過ごさずして 毎回諦め、同じ時代をループしている」


「そんなことはわかっています!!」

「ですが…こんな何もないところに1人でいるなんて耐えられないのです……」

「ですが何度もあの悲劇を繰り返すのももう嫌なんです……」

「いっその事ここで命を……」

彼女は自分の心臓にとどめを刺そうとするが

次元の狭間の支配者デモンズオーナーによって、それを阻止される。


「何故止めるのですか……」

「バスティーにはもう……生きる気力が……」


「この次元の狭間で生物が命を落とすことはできない」

「そういう風に作られているのでな…」


まるで、自分がこの次元の狭間を作った張本人では無い言い方に疑問が浮かぶ。


「もしかして貴方も……?」


「ああそうだ…」

「私もお前と同じようにある日をずっとループし続けた……」

「ここで過ごすのも後1日で終わる…」


「そう…だったんですね…」

「貴方はすごいです…バスティーと違って長い間ここにいられるなんて……」


 彼女は自分の情けなさと、自分のあの悲劇への想いはそんなもんだったのかと、自分を責め、唇を噛み締め、悔しい表情に顔を強張らせた。


 すると支配者が話を続ける。

「記憶を無くせば元の時代に帰れる…

しかし私はそれを選択しないまま1京年もの間過ごしたが」

 「もはや私には昔の記憶がない……」

支配者の言葉に、そんな…と表情歪める彼女。


「それじゃあどっちにしろ私達はあの悲劇を繰り返すっていうですか!!??」

 絶望する彼女を見て支配者は少し考える。


「私に考えがある…」

「成功するとは限らないが…」


「なんですか?!可能性が少しでもあるのならバスティーは……」


「私にはもう、記憶がない」

「仮に元の時代に戻っても私には何もできることがないのだ」

 「何年もお前とはここで少しばかりの退屈しのぎをした仲だからな」

「私がお前にこの次元の狭間で過ごした9999兆年の支配者の権利をお前に移す」

 とんでもない提案に、驚きを隠せない彼女は


「し、しかしそんな事をすればあなたは?」


「ふっ…私はもういい……記憶を無くしてまた1からやり直すさ…どうせ何も覚えていないしな…」

 「さあ、どうするんだ時間がないぞ…」


「わかりました!その権限!貰い受けます!」

「そのかわり!後悔しないでくださいね!」

 彼女は決意を露わにする。


「私もこの権限を渡したらどうなるかわからん」

「貴様も後悔するんでないぞ」

 「それでは始めるぞ」


彼女は目を閉じる。

その瞬間、胸の奥に何かを感じた。


「これは……デモンズオーナーさん……?

これは、成功したのでしょうか…」


返答がない。


「そんな…これじゃあ成功したかなんてわからないじゃないですか…」

少し寂しい表情を浮かべる彼女。

 すると


「ふむ、成功したようだな…しかしこれは…」


「ひゃぁぁああ‼︎な、な、な、どこから喋ってるんですか貴方は!」

 胸の方から聞こえてくる声に驚く彼女。


 「どうやら私は理由は分からんが貴様の心臓に憑依という形で居座ってしまっているらしい」


「らしいって!!もう…わかりました…でもこれで貴方も元の時代に戻れるのでは?」


「いや、戻れるのは貴様の時代にだけだろう…」

「そして、私も貴様の時代に行ってしまうだろうな」


「ってことは元の世界に戻ったら貴方を心臓で飼い続けなきゃってことですか?!」


「わっはっはっはっ!!!!」

「確かにそうなるなでも心配しなくていい」

「私はもう疲れたんでな…永い眠りにつこうと思ってる」

初めて聞いた笑い声に驚きを隠せないでいる。


「貴方って笑うんですね…少し誤解してました…」


「ああ、そうだな最後に笑えてよかった…

もう少しで1京年だ…元の時代に戻ったらうまくやれよ?」


「はい!ありがとうございました!この御恩は一生忘れません!」




眩い光があたりを照らし、懐かしく思える蓮の姿を確認する。


「蓮様‼︎蓮様‼︎蓮様‼︎」

蓮の姿を確認するやいなや蓮に思い切り抱きつく。


 「おわぁぁぁあ!!な、何だ君は!!」


「私の名前はバスティー…」


「蓮様の忠実なる愛のパートナですよ……♡」


瞳に涙を一滴垂らし。蓮と再会する彼女。

 こうして彼女、バスティーと夢千佳蓮の物語が再スタートするのであった。




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