三通目
前略、皆さま方いかがお過ごしでしょうか?
このような手紙を定期的に送っている次第ですが、本当にこの手紙はそちらに届いているのでしょうか?
若しくは届いたとしても同じ場所に送られているのか、別々の場所に送られているのかすら僕には判断ができません。
最も僕には親戚すら遠い血縁しかいない上、交際相手はおろか友人すらいなかったので誰に当てて書いているというわけでもないので誰が読んでいてもいなくても構わないというのが正直なところです。
それでも手紙を書く理由としてはやはり自分がこの世にいた証というのを残したいからでしょうか。
もしも同じ場所に届いていて同じ方が読んでいるとしたら、そちら様としては迷惑だと感じているかもしれませんが恐らくは近いうちに命を落とすことになる我が身です。
決して長い付き合いにはなりませんのでどうか僕の自己満足にお付き合いいただければ幸いです。
この前も針流蛇なる生物の攻撃を受けて、血管という血管を破裂させられた上に血液の殆どが全身の穴という穴から噴出するという珍しい体験をさせていただきました。
正直眼球が破裂した際はもう駄目なのだと覚悟を決めましたが、魔術師殿が何とかしてくださったのでこうして筆を執れている次第でございます。
この方に見捨てられた時が僕の最後となることは確実です、そして荷物持ちとして同行を許されている現状も近々到着するという王国に辿り着いた時点でお役御免になるでしょう。
ですから改めて近日のうちに最後の手紙をお送りすることになると思います、何を書くべきか今から考えておきます。
遺書めいたものを押し付けられて重ね重ね迷惑とは思いますが、どうか最後までお付き合いしていただけると幸いでございます。
そろそろ手紙の余白も少なくなりましたのでこれにて失礼いたします。