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三十三通目

 前略、皆さま方いかがお過ごしでしょうか?


 また色々と変化がございました、手紙も長いものになるでしょうがお付き合いをお願いいたします。


 最も今回の原因はほぼレイによるものでございました、ええもう様付けなどいたしません。


 僕の敬愛する魔術師様と愛娘であるいーちゃんとこーちゃんを侮辱したあんな女に向ける敬意など存在しません。

 

 いきなり怒りがこもった書き出しで申し訳ないのですが、思い出すだけでも腹が立って仕方がないのです。


 何があったのかと言いますと、簡単に言えば馬車で暇を持て余していたレイがジーク様の隙をついてこーちゃんのフードを取り払ってしまったのです。


 文字通りあっという間もなく白日の下にさらされた猫耳を目の当たりにしたレイは、すぐに異種族だと理解して表情を歪めるとこんなのをわらわと同じ場所に乗せているなど屈辱だ、さっさと降ろして歩かせろとほざいたのです。


 初めて人の悪意にさらされたこーちゃんは固まってしまい、いーちゃんはお姉さんとして咄嗟にこーちゃんに駆け寄りフードを掛けなおしてあげました。


 魔術師様はそんな二人を抱きかかえると一言黙れとだけ言って馬車の後ろに引っ込みました。


 そして文句を言い続けるレイを無視して双子をあやし始めるのでした。


 当然レイは納得がいかない様子で暴れだし、抑えようとするジーク様をはねのけて魔術師様へと近づきました。


 ようやく馬を止めることができた僕が馬車内に足を踏み込んだところで、レイは口悪くののしりながら魔術師様のフードを取り払ったのです。


 そして魔術師様の姿見て更に顔を歪めて冒涜的な言葉を吐いたのです。

 

 獣人の子を産むとは何たる下劣かとか、さすが汚らわしい異種族だとか……魔術師様は獣耳を抑えるようにしながらもう一度黙れと冷たく言い放ちジーク様も怒声を上げて叱咤します。


 それがまた癪に障ったらしいレイが奴隷ごときがと口にしたところで、僕は一刻も早く黙らせようと意識もせずに身体が動き彼女をつかみ首根っこを締め上げていました。


 苦しそうに僕を睨むレイを強引に馬車の外へ連れ出すと地面に押し倒し、腰の剣を抜く暇も惜しんでそのまま腕に体重をかけて力を込めました。

 

 咄嗟にジーク様が駆けつけて止めてくれなければ実際に殺していたでしょう、レイの首には僕に絞められた跡がしっかり残っていました。


 僕から解放されて激しく呼吸を繰り返しているレイに向かい、家族を侮辱する奴とは行動できないからどこかに行け……じゃないと殺すとはっきり宣言して馬車へと戻り魔術師様の隣に座りました。


 双子は震えながら僕たちにごめんなさいと謝りました、自分たちのせいでまた空気が悪くなってしまったと思っているのでしょう。


 僕は魔術師様に抱かれている双子のフードを取り払い頭を優しく撫でて、二人は何も悪くないから謝らなくていいのだと笑顔を向けてあげました。


 魔術師様も僕の言葉を肯定して笑顔を見せます、それでもいーちゃんもこーちゃんももう一回謝罪を口にして魔術師様の胸に顔をうずめるのでした。


 こんなかわいい子に暴言を吐いたレイへの憎しみが強くなります、やはり殺しておけばよかったとすら思いましたが手がふさがっている魔術師様に頭をぶつけられてしまいました。


 そんな顔をするなとおっしゃるのです、双子が悲しむからと……確かにこれ以上嫌な思いをさせたくありません。


 僕は深呼吸して感情を抑えると、あれから戻ってこないジーク様の様子を見に行くことにしました。


 外に出ると何やらジーク様とレイが話し合っています、正確にはジーク様に窘められるたびにレイが反発することを繰り返しておりました。


 しかし僕の姿を確認するとレイは憎しみとも恐怖ともつかぬ表情を浮かべるとさっとジーク様の背中に隠れてしまうのです。


 ジーク様は僕に頭を下げて二度とあんなことは言わせないしさせないから、せめて安全なところまででも連れてってやってほしいと頼みます。


 だけど僕は家族を侮辱したレイを連れて行く気にはなれません、むしろ顔を見ていると今にも殺してしまいたい衝動に駆られるのです。

 

 多分魔術師様も少し前までこんな感情を抱えていたのでしょう、それでいて僕と違いしっかり押さえていた魔術師様のすばらしさを再認識させていただきました。


 話を戻しますがだから僕としては幾らジーク様のお願いでも受け入れがたいのでしたが、本人にちゃんと謝罪させるというのでそこを妥協点にすることにしました。


 当の本人は異種族などに頭を下げれるかとほざいておりましたが、流石のジーク様も淡々となら置いていくだけだと断言しました。


 レイはふざけるなと叫び、ジーク様に食って掛かりましたが簡単に振り払われた挙句に制限時間を宣告された上で馬車に戻られてしまいました。


 もちろん僕もレイと二人きりになりたくないのですぐに馬車に戻り、まだ元気の戻らない双子とジーク様を交えて四人で一緒に遊びました。


 魔術師様はそんな僕たちを穏やかな表情で眺めており、時折双子に話しかけられては笑顔で相手をしておりました。


 さて制限時間を過ぎてもレイは謝罪はおろか馬車内に戻ることもなく、僕はさっさと出発することにしました。


 ジーク様も困ったような顔はしたけれど何も言いませんでした、だから遠慮なく馬車を走らせようとしたところで魔術師様は何故か僕を制止したのです。


 疑問に思う僕の手を取り魔術師様は少し散歩に行くと皆に伝え外へと連れ出したのでした。


 周りを見回すとレイの姿はなく既にどこかへ立ち去った様子で、僕はほっとしたのですが魔術師様は探知魔法を使うとあっちだと指し示しそちらへ移動するのでした。


 どうしてと尋ねる僕に、魔術師様は苦笑しながら確実に死ぬと分かっていて流石にリースの義妹になるかもしれない奴を放ってはおけないと言います。


 何よりあんな奴でも私の姉の被害者でもあると続ける魔術師様でしたが、僕はそれでも家族を侮辱した彼女を許す気にはなれないのです。

 

 すると魔術師様は少し悪戯めいた笑みを浮かべると、その家族とは誰のことだと尋ねられるのです。


 反射的にもちろん双子と魔術師様、と言い終えたところで僕は勝手に魔術師様を自分の家族扱いしていることに気が付きました。


 謝ろうとしましたが魔術師様はむしろ嬉しそうに笑うと手を握りなおしました……指と指を絡ませる恋人つなぎという形に。


 そして顔を火照らしながらも微笑んで僕に告げるのです、隣にお前がいればあの程度の罵倒幾らでも耐えれる……何だって耐えられると。


 僕はもう何も言うことができませんでした、敬愛し尊敬し憧れている……何より愛している女性にそう言われて何か言い返せる者がいるでしょうか。


 魔術師様は自分で言っていて恥ずかしくなったのでしょう、さっさと連れて戻ろうと足を速めました。


 日差しは弱くなっていて夕日が差し込める世界を想い人に手を引かれて走る、僕は何とも言えない感慨深い感情が溢れてくるのでした。


 しかし不意に魔術師様は表情を一変させると、飛翔呪文を唱えながら僕を抱きかかえ高速でレイの元へ移動し始めました。


 果たしてレイは血まみれになって倒れておりました、ちらりと周りを見回すと近くを体長1メートルほどの針流蛇がうろついているのが見つけました。


 恐らくこいつに噛まれて全身の血液が一斉に針状へ結合して血管をずたずたに切り裂いてしまったのでしょう、僕にも覚えがあります。


 すぐに魔術師様は毒が飛び散らないよう蛇を氷漬けにした上で頭を切り落とし、すかさずレイへ回復魔法をかけるのでした。


 治療自体は間に合いましたが余りの苦痛に気絶してしまったレイを見て、魔術師様は魔法で服にしみ込んだ血液を洗い落とした上で僕を抱きかかえたまま彼女を背負い馬車へと戻りました。


 この時点でもう時間も遅くなっていたので僕らは少しだけ移動して休めそうな場所を見つけると、そのまま野宿することにいたしました。


 念のためレイはジーク様のテントに一人で寝かせ双子は魔術師様にお願いして馬車で眠ってもらっています。


 そして僕とジーク様は二人で馬車とテントの間に火を起こして、寝ずの番をすることにしました。


 暫くの間無言で火を囲んでおりましたが、基本的に沈黙が苦手なジーク様がぽつりと話し出しました。


 最初はレイを連れ戻してくれたことに対してのお礼と謝罪、僕は魔術師様がしたことですからとだけ答えました。


 すると次に落ち込んでいた魔術師様を励ましたことについて称賛とやはりお礼を言われました、僕は何を言っていいかわからず照れてしまいました。


 そこからは他愛のない話が続き、時には魔術師様の目が届かないのを良いことに下ネタを交えてたりもして楽しい時間を過ごしました。


 それでもある程度すると眠気から会話が途切れ途切れになり、僕は身体を伸ばしたりして睡魔と格闘していると手持ち無沙汰になったジーク様が手紙を弄んでいることに気づきました。


 お妃様から預かった手紙です、どうやらまだ封を切ってすらいないようです。


 国家機密に相応する王族同士のやり取りということもあり、今日まで何も聞けないでいましたがやはり気になるものは気になります。


 じっとそちらを見つめていると顔を上げたジーク様と目が合って、思わず愛想笑いをしてしまいました。


 しかしジーク様は真剣な顔で僕を見ると軽くテントと馬車を見てどちらからも誰も起き上がってくる気配がないことを確認しました。


 そして改めて僕に視線を戻しぼそりと、同じ男として聞いておきたいことがあるというのです。


 色々と思うところはありますが、何より僕が出会ってきた中で誰よりも男らしいと言えるジーク様が何を言おうとしているのか興味がありました。


 黙っている僕に対してジーク様は深呼吸すると、何と魔術師様にどう告白して交際に持ち込んだのか尋ねてきたのでした。


 そういえばまだ誤解を解いていませんでした、僕は魔術師様との出会いと双子との出会いを話して何故パパとママと呼ばれているのか説明しました。


 しかしジーク様はどう見ても夫婦にしか見えないと僕を揶揄するのです、他人からそう見えるという事実に思わず顔が赤らんで頬が緩んでしまいます。


 だからどうやって仲良くなったのかと再度尋ねるのです、僕はただ尊敬する魔術師様に尽くしているだけですとしか答えられません。


 そうかとジーク様は呟くと、改めて手紙を弄びながらここだけの話だと前置きして口を開きました。


 そこで聞いた話は衝撃的な内容でした、まずジーク様は実はお妃さまの子供ではなく王様と妾の間にできた子供だそうです。


 自分を産んだ母親がすぐに亡くなったこともあってこのことを知っているのは王様と一部の側近だけで、何とリース様も知らないというのです。

 

 完全に王家のトップシークレットですが、ジーク様は僕に何を憚ることもないとばかりに口を動かし続けます。


 母親が亡くなって王家に引き取られたジーク様は表向きお妃さまの子供としてふるまうよう躾られたようですが内心納得がいかなかったようです。


 王族としての教育も質に合わなかったとも言いますが、やはりそれ以上に亡くなった母親のことを忘れろと言われているように感じてそれが辛かったと言います。


 そんなジーク様をお妃さまは本当の子供のように愛情を注いでくれたこと、それは実の子供であるリース様や第二王子が生まれてからも変わらなかったようです。


 しかしジーク様はいつしかお妃さまに、仮にも義理の母親だというのに……いや前の母親を忘れられなかったためでしょうか、一人の女性として見るようになっていったと言います。


 変な話だが本当の母親に執着するあまり母性愛に飢えていながら、義母を母と認められずにいるのに欲しい愛情を注がれておかしくなってしまったのかなと自嘲します。

 

 そしてジーク様はお妃さまを意識するようになり、思春期に入るとそれが恋心に代わるのはあっという間だったそうです。


 そのころには常識も身についていましたから必死にその感情を否定して、抑え込んで表面上は普通に接していたようです。


 だけどある日、お妃さまが王様から粗雑に扱われているところを目撃してしまいました。


 どうやらお妃さまは当時の国にいた貴族の一人であり、王様は権力を確固たるものにするために政略結婚したようで二人の間に愛情は殆どなかったのです。


 ついに感情が抑えられなくなったジーク様はお妃さまのところへ向かうと、長年の想いを口にしたそうです。


 しかし当然親子として接してきたお妃さまには冷たく拒絶され否定されて、全て忘れるよう断言されてしまいました。


 だけどジーク様にはそれが耐えられなくて、何より振られた女の人と一緒に暮らすのが辛くて……家出してしまったのだそうです。


 我ながら勝手で情けない話だとぼやくジーク様でしたが、むしろ無理だと分かっていてなお好きな人に告白した彼を僕はすごいと思いました。


 果たして僕に出来るでしょうか、決して手の届かない高嶺の花である魔術師様に告白する勇気がいつかわいてくる日がくるでしょうか?


 国を離れてからもジーク様は時折正体を隠してお妃さまの姿を確認しに戻っていたようです、年を取って皺が増えた姿を見れば少しはこの恋心も落ち着くのではと思っては……逆に恋心を募らせることを繰り返していたようです。


 そう今もジーク様はまだ諦めきれていないのです、適当に女遊びは覚えたようですがそれでも若い女よりお妃さまに恋焦がれてしまっているのです。


 だからそのお妃さまからの手紙と聞いて嬉しいような怖いような感情に襲われているのだそうです。


 どんなことが書かれているのか、王家から飛び出したことに対する叱咤か、親子なのに告白したことに対する嫌悪感か、はたまた気にしてないから帰って来いという親としての手紙なのか。


 どれにしたってジーク様にとっては辛い内容になるでしょう、だから開ける勇気がないのだと語りました。


 そしてジーク様は僕に、俺はどうしたらよかったのか、これからどうすべきなのか尋ねるのです。


 まさか男らしいジーク様が僕のような思いに苛まれていることに驚きを隠せませんでした、しかし恋する人間は例外なく臆病なのかもしれませんね。


 こうなると僕としては言えることは一つだけです、自分の立場と重ねてどうするかを伝えることしかできません。


 仮に僕が魔術師様から同じように手紙を貰ったら迷わず読んで望み通り行動するでしょうと。

 

 僕にとって魔術師様は全てです、地獄から引き揚げてくださったお方です。


 あの方に嫌われたら生きていく事もできませんが、僕の命がお役に立てるのなら喜んで捨てます……まあ怒られてしまったので命大事にしますが。


 だから僕の場合魔術師様の指示や言葉を受け取らないわけがないのです、ある意味何のアドバイスにもなってませんね。


 しかし僕の立場とジーク様の置かれている立場はまるで違いますし、きっと僕が魔術師様に向ける想いの形とジーク様がお妃さまに向ける想いの形もきっと違う形をしているはずです。


 言葉の上では同じ愛とか恋という単語でしょうが、人の心が同じ形なわけなのですからそこから発生する恋心だって千差万別なはずなのです。


 だから結局は自分で答えを出すしかないのだとはっきり告げました……魔術師様にもこれぐらいはっきりと自分の気持ちを告げられれば良いのですが僕もやはり情けないばかりです。


 ジーク様は僕の言葉を聞いてじっと手紙を眺めていましたが、意を決したように封を切って中を読み始めました。


 僕が見守っている中でジーク様は……ジーク様の泣きそうな顔を始めて見ました。


 すぐに手で顔を押さえましたが多分泣いていたのでしょう、僕にできることは見て見ぬふりをすることだけでした。


 暫くしてようやく顔から手を離したジーク様でしたが、それでも己の感情に整理がついていないようで天を仰いで盛大なため息を漏らすのでした。


 そしてぽつりと言いました、家出するとき一瞬だけど強引に攫ってしまおうかとも思ったんだよ……本当に俺は馬鹿な奴だと。


 僕はもう何も言えませんでした、ジーク様が手紙を燃やしてしまっても何も口出しする権利などないのです。

 

 だってそれはジーク様とお妃さまの物語ですから、僕ら脇役は割って入るわけにはいかないのです。


 だから最後に僕は自分の気持ちをしっかり伝えたジーク様を尊敬すると言いました、ジーク様は静かにありがとうと言ってくれました。


 ただリースには何もかも押し付けて悪いことしちまったなと続けられて、確かにそこは尊敬できないと僕も調子を合わせました。


 僕たちは笑い合いました、多分ジーク様は虚勢も混じっているでしょうが笑ってくださったのでした。


 さて暫くして朝が来ると僕たちは出発する準備に取り掛かりました。


 当然それなりに騒がしくなり、テントで眠っていたレイが五月蠅いと飛び起きてきました。

 

 レイは寝ぼけ眼で周りを見渡し、ようやく現実を思い出したようで震える己の身体を抱いて崩れ落ちました。


 慌てて支えようとするジーク様をはねのけて、わらわに近づくな、もう痛いのは嫌じゃと盛大に叫びました。


 慣れてないとはいえ外に居ながら大声で叫ぶのは勘弁してもらいたかったところです、案の定音食馬の蹄の音がしてまいりました。


 その振動にレイが恐る恐る頭を上げたところでこちらへ突っ込んでくる魔物を見てしまい悲鳴を上げて腰を抜かしました。


 やれやれとばかりに首をすくめて見せたジーク様ですが、次の瞬間には剣を振りかざし正面から音食馬を叩き潰してしまうのでした。


 思わず奴は魔物の中でも最弱ぅと叫んでみたくなりましたが、二匹目が来そうなので止めておきました。


 尻もちをついて怯えているレイに改めてジーク様が駆け寄り手を差し伸べますが、身体がガチガチに緊張しているようで手を伸ばすことさえできなそうでした。


 まあ温室育ちで増長しきった少女が生まれて初めて容赦のない命を奪いに来る攻撃をその身で味わった挙句に、今また目の当たりにしたわけですから恐怖で動けなくなるのも無理はないのです。


 すると物音を聞きつけたらしい魔術師様が双子を抱いてこちらへやってきました、そしてレイの状況を見ると僕らに寝ぼけ眼の双子を預けて抵抗できないレイを抱きかかえ一旦テントへと引っ込んだのでした。


 一体どうしたのかと思いましたが彼女が座り込んでいた大地が妙に湿っておりました、朝一で尿が溜まっているところにこれだけの衝撃を受ければ漏らすのも無理もない話です。


 魔術師様なら万が一レイがとち狂ったとしても何とでもできるでしょうから、僕らは二人を気にせずに双子の食事やら歯磨きやらお着替えやらを手伝うのでした。


 そして今出発した訳ですが、馬車の中では僕らが用意していた庶民的な服装に身を包んだレイが隅っこで小さく座り込んでいてそんな彼女を他の皆が離れたところから見守っている状態になっております。


 流石に王族と言うべきか僕と似たような服を着てもそこそこの美貌を誇っております、最も僕からすれば元のドレス姿すら魅力を感じていませんでしたからどうでもいいことです。


 そんな彼女からまだ謝罪の言葉を聞けたわけではないのですが、流石にもう異種族を貶す元気もないようで無言で馬車の木目をぼんやりと眺めている始末ですのでとりあえずは一緒に行動していますが元気を取り戻した時が心配です。


 いっそこのまま意気消沈していればいいのにと思う程度に僕の心象は最悪なのでした。


 だけどこんな考えをしていてはいけませんね、魔術師様に言われた通り双子に悪い影響が出てしまいます。


 何とか次までに僕の感情も前向きにしたいところです、では今回も本文が長引いてしまいましたので紹介は省略させていただきます。


 では失礼いたします。

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