二十五通目
赤ちゃんってかわいいですね最高ですね、僕はもうメロメロです。
あんな舌足らずなのに一生懸命名前を呼ぶ姿は可愛すぎて、思わず頬擦りしたくなってしまいます。
魔術師様もクールぶってるけど甘々です、ああこんな幸せがあったなんて僕は知りませんでしたよ。
失礼しました、皆さま方いかがお過ごしでしょうか?
いつもの挨拶も忘れて思わず本題を書き出してしまった僕の愚かさをお許しください。
冒頭に書きました通り最近双子が寝返りをうったり、物を持つようになり成長を実感して胸が温かくなるそんな穏やかな日々を過ごしておりました。
僕らがあやすと嬉しそうに笑い声を漏らすので魔術師様と一緒についつい構ってしまい、旅の速度が一段と遅くなっていた昨今ついに子供たちが僕たちを呼ぶようになったのです。
まだ意味は理解していないらしくただオウム返しに僕らの言葉を真似しようとするだけですが、初めて呼ばれた時の感動と言ったら二人して興奮のあまり一日中顔を眺めていてその日は本当に殆ど旅が進まなかったです。
最も魔術師様は僕のせいで魔術師様的な呼ばれ方をしていて少し不満そうにしていて申し訳なかったのですが、僕のほうも魔術師様が日本語を発音しにくいからお前とかお前様とか呼ばれていたために子供たちにもそんな風に呼ばれてしまいましたが全然気にならなかったです。
最近は支え無しで自分一人で座れる程度にはバランス感覚も付いており、抱っこしやすくなったため僕は出来れば抱きかかえたまま馬車を操縦したいのですが魔術師様が危ないと許してくれません。
仕方なく我慢して運転席に座っていると後ろから魔術師様があやす赤ちゃんの声が聞こえて、ついつい顔を覗かせてみると余りの可愛らしさに近づいて見たくなり……全く旅がはかどりません。
本来ならもう少し周りに気を配らなければいけないのでしょうがそこは魔術師様が探知魔法を使っていることと、まだこの辺りは討伐軍が制覇した地域ですので危険がほぼないため平気なのです。
順調にいけば次の帝国には半月ほどで到着する予定でしたが、この調子ではもう何日か掛かってしまいそうですね。
しかし赤ちゃんが可愛すぎるから仕方ありません、前も可愛かったのですがやはり成長を見守っていると加速度的に想いが強くなっていくようですね。
めーちゃんも可愛かったけれどまだ冷静を保てていたのは、やはり直接育児をしているかどうかが差なのでしょうか?
しかし世界的に働きに出なければいけないお父さん達が不憫でなりません、こんな素敵な姿を僅かな間しか見守ることができないなんて。
最も僕もこの間までは仕事仕事で忙しくてそこまで構えなかったので勿体ないことをしたと今更ながら悔やんでおります。
首がすわる前の様子ももっとチェックしておきたかった、僕はなんて愚かなのでしょうね。
もしもスマホが無事だったらきっと既に千枚は写真を撮っていたでしょう。
まさか僕もそして魔術師様もここまで子煩悩になるとは思いもしませんでした、いや赤ちゃん煩悩というべきでしょうか。
めーちゃんと絡んでいる姿も眼にもっと焼き付けておけばよかったと今更ながらに後悔しています、お姉さんぶるめーちゃんとくっつく双子なんて今の僕は考えるだけで胸がキュンキュンします。
とにかくそういうわけで家の子たちはとても可愛い可愛いという惚気自慢ばかりで申し訳ないのですが、他に何も考えられないのです。
一応こっちの世界っぽい要素を書き出すなら双子のうち狼型の方は、今はいーちゃんと呼んでいますが頭の上に所謂犬耳があり少し鼻先が隆起していて、黒いもこもこの毛皮が四足から脇腹にかけて生えている感じで胸や股にはぎりぎり届いていない感じです。
もちろんモフモフの尻尾がちょうどお尻の穴の上あたりから生えていて、撫でたりすると嬉しそうにフリフリするのがもうやばいぐらい魅力的でプリティーなのです。
ちなみにこちらを一応お姉さん扱いしていますが、双子なので僕らはほとんど気にしてません。
対して妹の猫型の方も、こちらはこーちゃんと呼んでおりますがやはり頭の上に猫耳があり顔には小さい猫ひげが二本伸びており、キジトラに似たふさふさの毛皮が同じ程度に生えていてやはり胸や股はすべすべですね。
当然こちらもお尻の穴の上あたりに尻尾が生えていて、これは眠っているときとかにサラサラと動いてついつい握りしめてしまいたくなるほどキュートで蠱惑的です。
全く甲乙つけがたい可愛さですね、世の中に犬派猫派があふれているのがわかる気がします。
何か赤ちゃんのことばかり書いてしまいましたね、次までに出来る限りクールダウンしておきたいと思います。
さて最後に何を書きましょうか、本当はもう少しいーちゃんとこーちゃんの魅力について解説したいところですが我慢します。
そうですね、少し前に天候について書いたと思いますがそこをもう少し掘り下げてみようと思います。
こちらの世界の天候は基本的に同じですが微妙に違う性質を持っていると言ったのを覚えているでしょうか。
例えば晴れの日ですね、これは日光が照り付けているわけですが何とこの輝きにはマナが含まれているのです。
だからマナを生活に利用している動植物は日差しの下では活動が活発化し、成長も著しくなります。
逆に雨はマナを吸収して流してしまう性質があるので逆にマナを利用しない動植物が活発化して成長します。
曇りは殆ど差がありませんが強いているなら太陽を覆い隠すことで結果、降り注ぐマナの量を減らすわけです。
雪はまちまちです、マナを吸収する性質もあれば結晶化する中で既にマナを取り込んでいる場合は溶けたところにマナをまき散らす効果をもたらします。
霧については前に火の雨について話したと思いますが、様々な性質のマナを取り込んで色んな現象を引き起こしてしまうので要注意なのです。
砂嵐や地吹雪はそれ自体がマナが絡んだ危険なイベントにつながりかねず、雷も同様ですがこれはまたいずれ機会があれば説明したいと思います。
ああ昼寝から覚めた双子が泣いているのでこの辺りで終わりにしたいと思います、それでは失礼します。




