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流れ行く者と、取り残される者と

 二話書き上がりましたので、更新。


 ストーリー進みません。ですが、必要な流れもあるので、このまま上げます。

 衝撃の改変された事実を、受け止めきれず由岐は校舎の壁にもたれるように肩をつき、そのまま滑るように地面へと崩れるように座る。


 さきほど落としたスマホを拾い上げ、震える指で、ブラウザ検索を掛ける。


 ハーレムと打ち込み、無料の知識の宝物庫たるwiikeyを開く。そして、そこに記された、更なる現実に笑うしかなかった。


 ハーレム。


 現在、世界的に珍しくなった、一夫多妻の制度、一妻多夫の国もある。(制度のある国リンク)


 日本は、かつて無い少子化の影響で、二十一世紀に入り間もなく、日本国一夫多妻制度を決議し、採用することになった、世界でも先進国にして珍しい国である。


 これにより、徐々にハーレム世帯が増えつつ有るが、今だ団塊世代を支えるには届いておらず、ハーレム助成金など、各種の手当てが政府から発せられている。(各種手当てのリンク)



 なんだ? それは…………。


 これが、咲桜の望んだ世界? ハーレムが? しかも、僕のハーレム? ダメだ、なにも飲み込めない。


 頭を振り、壁に手をつき、姿勢を立て直した由岐は、帆乃佳を迎えに行くことにする。


 どうせ、考えても答えなどでないのだから、と。


 音楽科のある、校舎へと向かうため校舎の表へ出たタイミングで、秋人と出会う。


 秋人はサッカー部の部員と共にユニフォームで、誰かを探していたようだ。


「ゆっき! ちょうどよかった! スマホ貸してくれね? 部室で着替えた時ロッカーにいれたんだけど、なぜか部室の鍵が閉まってんだよね。鍵を持ってるマネージャーか、部長を探してんだけどいないのよ」


 なるほど、練習していて、喉が乾いたかなにかで、スマホを必要としたが、部室に入れず、秋人を含め数人で探していたらしい。


「ん? あぁ、でも番号とかわかるのか?」

「そこは平気。ほら、アドレス帳」


 そう言い、秋人は少しくたびれたポケットサイズの手帳を取り出し笑う。


「なんで、デジタル世代真っ只中なのにアナログなんだよ!」

「そういう、細かい拘りがモテる秘訣さ」

「いやモテてないじゃねぇか」

「「「くっ! これだからハーレム王は……」」」


 思わずツッコンだ由岐に、その場の秋人以外の三名からダメ出しを喰らう事になる。


「ゆっき、とりあえずスマホ貸してくれ。マジ、干からびて倒れそうなんだ」


「わかった。ほら」


 そういって、由岐はなにも考えずにスマホのロックを外し、秋人に手渡す。


 何かを忘れている気がしたのだが、思い出した時には既に遅かった。


「おい、ゆっき。なんだ? この神待受は」

「げっ!」


 既に秋人を含む、サッカー部四名が画面に釘付けとなり、震えている。


「なにか? 折原。貴様は俺らを干からびさせて殺す気か?」

「おい、折原。わかってるよな? その画像、寄越せや」

「なぁ、ゆっき。俺はさぁ、お前はハーレムを目指してないって信じてたんだぜ? あぁ、今、この時まではな……」


 一人以外の全てのサッカー部から、苦言と共に殺意の目を向けられる。


 残りの一人は、完全に前屈みだ。そして、画面から一時も目を離さない。

 どうやら、自分の世界へ入っているようだ。


「待て! 落ち着けお前ら。真実を言うから、その握った拳と構えを解いてくれ」


「良いだろう。聞いてやろう。語るがいい、その遺言とやらを」

「遺言じゃねぇ! とりあえず、その画像は咲桜のイタズラでロック掛けられてるんだ! 他意は無いし、僕の意思ではない!」

「そうか。わかった。」


 秋人の理解が早くて助かった。そう思った矢先に、スマホが震える。


「あ、ほのっちからだ。もしもーし、こちらあなたの秋人です。ご用件は何ですか?」


『えっ? あれ? 秋人先輩? なんで? 由岐くんじゃなくて?』


「あぁ~ただいま由岐は、同志により囲まれてます。用件は伝えるから、そのままどうぞ」


『えっと。由岐くんと、この後デート予定だから早く迎えに来てって伝えてくれますか?』


 それを聞いた秋人は、スマホが軋むほど握りを強くした。もちろん、会話はスピーカーモードで、サッカー部の他の三名も同じように拳を固く握る。


「待て! 落ち着け! 僕は無実だ!」


「判決」

「「「死刑!」」」


 由岐はスマホを奪いさり、本日二度目の全力疾走に入る。が、そこは相手はサッカー部である。


 すぐに回り込まれ、囲まれる。


 あ、これはダメなヤツや。と、由岐は半分諦める。


「お? ゆき! それに秋人! なにしてんだ?」


 そこに天使ならぬ、本郷(つよし)が現れた。そう、颯爽と。身長は百八十センチ、筋肉の塊にも思えるほどの肩幅と、制服が悲鳴を上げていそうな胸板。その全てが由岐には神聖に見えた。


「剛くん! 助けてくれ!」

「よし! 無理だ!」

 即答で断られる。どうやら神聖に見えたのは幻覚のようであった。


「剛くん、春休みぶり~」

「おう、秋人。なにしてんの?」

「いや、ゆっきのスマホの待受が咲桜ちゃんの下着姿で、さらにこのあと、ほのっちとデートらしくてさ」


 そう言う秋人の言葉を聞いて、周囲を見渡し「なるほど」と剛は呟く。


「あぁー、お前らゆきが憎いだろうが落ち着け。例えゆきを屠っても、お前らがモテる事にはならんからな。あと、予想だが、咲桜のイタズラだろう。アイツはそう言うのに詳しいし、ゆきの行動的にあり得ないからな」


 ただでさえ威圧感のある剛が、ゆっくりとその場を納める発言をしたことで、どうやら皆は溜飲を下げたようだ。


「チッ!」

「これだからハーレム野郎は!」

「今夜のおかずは豪華だなぁ」

「ゆっき、命拾いしたな。さぁ、貴様は早くほのっちを迎えに行くと良い! だが、覚えておけ、我らを静めようとも、第二、第三の我等が貴様を狙うことになるだろう事を!」


「いや、意味わかんねぇよ。じゃあ行くから、剛くんにスマホを借りてくれ」


 由岐はそう言って、その場を全力で離れる。


 その後ろで、サッカー部の他の部員が駆け付け、何かを話したあと、全力で部室棟の方へと走って行ったが、これは別の話となる。


 取り残される形となった剛は、妹の健闘を願いながら、正門前の桜並木へと新入部員勧誘の為歩き出す。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 なんとか、帆乃佳の待つ音楽科の校舎へとたどり着いた由岐は呆然とする。


 人集りが出来ていたからだ。


 何事か? と、遠目に見ていると、人垣が割れ、その中心人物が見えた。


「あ、お兄ちゃん! やっと来た!」

「遅いよっ! 由岐くん!」

「ゆきちゃん? ちゃんと早めに行動しないとダメよ?」


 咲桜、帆乃佳、そして、わかなの揃い踏みであった。


 すぐさま踵を返そうとした由岐は、それを止める様に抱きついてきた咲桜と、帆乃佳、わかなの総攻撃と言える程の、抱き付き、腕組み、手を繋ぐの三連コンボで、それすら出来なくなる。


「いや、待て。なんで咲桜、わか(ねぇ)がいるのさ?」

「え? だって、本妻候補だもん」

「今日はお店の手伝い無いし、生徒会も引き継ぎしてるから?」


「いや、わか姉。生徒会長の任期まだあるでしょ?」

「ん~、この時期のイベントは必ず次期会長にさせる取り決めだからねぇ」

「なにそれ……」

「だから、去年は入学式が全部終わるまでゆきちゃんと遊べてないでしょ?」


 言われてみれば、確かに入学した一週間は平和だった。


 その後、今の現状に至る程の事が一気に起こり、『裏山けしかランキング』の序列を不動のものとした事件も起こった。


 新入生歓迎キャンプで、由岐の入浴中に乱入、寝床に侵入、添い寝と本当に一気に起こったのだ。


 だが、そこは次期会長、問題にも関わらず、幼馴染みだから不問という謎の教師の理解によりお咎め無しだった。


「さ、早く行かないと売りきれちゃう!」


 そう言って握った手を引く帆乃佳に、連れられながら四人は移動をする。


 左腰に咲桜、右腕にわかな、左手は帆乃佳と、両手どころか、身体まで華に埋め尽くされながら。


 やはり、世界の改変は起こり、『由岐のハーレム』という、事象はその結果なのだと、由岐は確信する。


 元々、不仲の咲桜は元より、帆乃佳はこんなに積極的なスキンシップをしてこない。わかなに至っても、入浴中に乱入とか、ベッドに侵入は有っても、それは『幼馴染み』としてで、異性としてではなかった筈なのだ。


 元からスキンシップ過多ではあるものの、このように、腕を絡ませ歩く等、今まで無かったのだ。


 周囲の刺すような視線を受けつつも、由岐は一人取り残される気分のまま、三人に連れられ歩いていった。


 これが、まさか序の口で有るとは予想だにせずに。

 次の一話は、ほぼ、ハーレムデート?描写かなりはしょってます。もし、もっと詳しく。と思っていただけたら、メッセージなど送ってください。


 改稿していきます。よろしく、お願いいたします。

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