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歴史の話って脱線するものよね


 あっという間に旅立ちの日。天気は曇り空が一つもない晴天。昨日の大雨が嘘のようだ。


 これから目指すのはリゼリア伯爵領と呼ばれる辺境伯爵領だが一言で田舎だ。

 旅立つ前日に母が教えてくれたのだ。そこに行けば私はただのルルとして生きていく手筈になっているのだとか。


 真名(まな)は魔法を使う上で自分の本名が必要な場面が出てくる。

 出来るだけ目の色を隠すようにはするが、魔法の適正等で魔法が発動しなければセンスがないと判定される。

 燃料はあるけれど肝心の道具はないみたいな感じかな?

 センスはないと思わせた方が何かと生きやすいだろうとのことだった。


 確かに、辺境とはいえ戦力等にされても困る。

 ウィルには冒険者になると言ったが私は成る気はない。私は穏やかに慎ましく暮らしていたいのだ。

 魔法は生活魔法が有れば楽だったから使えるようになっただけだし。



 現在は戦争はなく平和であるといえるだろう。何処の国も大きな戦争をする余裕はない。


 それは何故か?一つ昔話をしよう。

 これはウィルに何故冒険者ギルドや騎士団の魔物討伐の頻度が多いのか?と聞いたことがあった。丁度歴史の勉強をやった所だったみたいで得意げに教えてくれた。



 昔々ある国にいた癒しの一族という一族が滅んでしまった。唯一無二の超回復や常態回復魔法の使い手であった。

 回復魔法は教会が独占し派遣するがその一族は教会に所属することなく小さな集落で暮らしていた。教会は昔から戦争に関わらないとのことだったので癒しの一族が戦争に召集されることが多かった。

 教会に所属している者はみな優秀だったが瀕死の状態からの回復や常態異常は彼らには回復できない。

 戦争で致命傷や毒を使っても癒しの一族がいる限り回復される。噂では戦時中は誘拐されたり、一族特有の力を邪魔になった何者かによって滅ぼされた等色々ある。

 表向き癒しの一族は賊によって滅ぼされたとのことだった。


 そんな癒しの一族が滅ぼされてから奇妙な事が起きた。魔物が急激に増え、凶暴化しはじめたのだ。人々はこれは癒しの一族の呪いだと恐れた。


 だが、それは違った。


 ある日、王が妖精の森に入り魔物の凶暴化や増加をどうにか出来ないかと願いに来た。

 すると王の目の前が光だし手のひらに乗るほどの羽の生えた小さな妖精たちがいた。


『クスクス、愚かな人間どもめ。お前たちが愚かな事をするから。世界が死にはじめた。クスクスクス』


 何が可笑しいのかずっと笑っている妖精が告げる。

 

「愚かな事とは何だろうか。我には心当たりがない。国のためにずっと最善を尽くしてきた。」


『心当たりがないとは何だと!唯一世界を制定することを任された一族を滅ぼしたではないか!!』


 怒ったら顔をした妖精が厳しく告げる。


『うぅっ、我らの愛し子。我らの愛し子をかえして』


 ずっと泣いている妖精が告げる。


「……愛し子とはまさか、癒しの一族か?」


 一つ王は心当たりがあったので妖精に告げる。


『アハハッ。そう、そうよ!人間たちには癒しの一族と呼ばれている愛しい一族よ。』


 歌うように軽くクルクルと回りながら妖精が告げる。


 それを聞いた王は顔色を変えた。


「すまない。君たちの愛し子を返すことは出来ない。皆死んでしまったのだ。」


『クスクス。知っているわ。だから世界のバランスが可笑しくなってしまったのだもの!』


「世界のバランス?まさか一つの一族が滅んだのが原因だというのか。まさに呪いではないか。」


『呪い!呪いだと!!ふざけるな!悠久の盟約を交わし、盟約を忘れた愚かな人間せいであろう!』


『……あの子達は贄よ。可愛そうな贄。世界を廻すための……』


『哀!それ以上は禁句だ!』


『アハハ、まあまあ怒はピリピリしすぎー』


 妖精たちは目の前で言い争いをはじめた。


「……では妖精たちよ。詳しくは聴きはしない。どうしたら魔物たちの活性化を止めれる?」


『クスクス、活性化は止められない。唯一の歯車が取れてしまったもの。』


『アハハッ!でも一つだけ緩和することは出来るよ!』


「それは真か!頼む教えてくれ!」


『では、まずは約束をしてもらおう。』


「約束?契約ではなくてよいのか?」


『馬鹿め!人間と妖精の契約では此方に割りがあわぬ!……ごほん。約束はこうだ。

一つ、この妖精の森に子どもを遊ばせること貴族平民身分は問わん。

二つ、子どもの安全を確実にすること。

三つ、妖精の森の大樹を(けが)さないこと。以上だ。』


「子どもたちを遊ばずだけでよいのか?」


『グスッ、人間の子どもは愛し子の代わり、世界の浄化に必要な魔力を別けてもらうためなのです。』


『別に危害を加えるわけではないからいいでしょー?アハハハハッ!』


「……あぁ、命の一つを捧げるのも覚悟したものだ。わかった。約束をしよう。」


『ただし、魔物の凶暴化は抑えれるが魔物の増加は抑えることは我らには出来ない。そちらはそなたたちがやれ』


「わかった。すまない。何から何まで。」


『クスクスいいえ?約束が護れないならば世界は滅ぶだけですものクスクスクスクス』


 こうして王は妖精の森の周りを手入れし、子どもたちが怪我をしない程度の森の整備の許可を貰ったのであった。

 こうして王は戦争する前に魔物を倒さなくては国や世界が滅ぶ事を国々告げた。

 騎士団だけでは手が足らず、魔物を狩る専門のギルドができた。


 こうして冒険者ギルドはできたのであったのだ。


 







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