父の奇妙な経験
今回短目
エーテル…数年前に俺が見つけ出した色々な可能性を秘めた粒子だ。
この星の至る所に存在し、色々な事象に関与・作用している。
…この物質を発見した時は科学がひっくり返る衝撃と同時に、使い方次第で起こり得る恐怖に襲われたね、軍事利用なんてされたら…
だから隠しておきたかったが…運悪く国家プロジェクトだった訳だ。
あの日、俺は家族と後輩を逃す為に嘘をついた…いや、もちろん逃げ切るつもりでは有ったが、戦闘未経験の俺にはいくらバトルスーツを展開出来ても勝てやしない。
結論から言おう、俺は軍に捕まり軟禁状態で研究させられている。
バトルスーツを完成させれば開放するとか言っておきながら、俺は死亡扱いされている様だからまぁ嘘だろう、え?俺が使ってた奴?武装無しの張りぼてに何か出来ると思うか?防御力はかなりあるけど。
(ワタシが力不足なばかりに)
いやいや、バトルスーツって名目だけど作った当時は工事現場の保護具が目的だから
(プロトタイプのワタシはそう言うコンセプトでしたか)
工事現場にバズーカもマシンガンも要らないだろう?
(工具一式は欲しかったですね)
デザイン仮組み状態だったんだよ、出れたら実装してやるさ
(…不思議なのですが、ワタシやエルフに感情AIを搭載したのは何故です?)
メカと対話って、カッコイイじゃん?
(あ、エルフが再起動した様ですね)
聞いといてスルーって…
(メッセージが来ています、読み上げます)
「義理の娘を名乗るエーテルを精製出来る少女がお迎えに向かうそうです、バリアを展開して身を守って下さい」
…は?どういう…
俺が言葉を言い切る前に軍事施設を凄まじい揺れが襲った。
咄嗟にバリアを最大出力で展開して難を逃れたが…
…軍事施設はガレキすら残らず、クレーターと化していた。
「お父さま、お迎えに上がりました!」
そして、俺の前に少々が現れてこう言ったのだ。
死者は一人も出てません。