スゴイヤサイ
…この世界に来てはや数年、私は今二年目の中学生活を堪能しています。
実は、この世界に来て気づいた事が有ります。
この世界には飢えている国が無いのだ、正確にはある人の研究が飢えを無くした、ですね。
その人は名前を一切記載せずに論文を発表し、成果を無料で配る様にと論文に付け加えていたそうです、こういう所はなんだか勇者に似ていますね…彼とはスケール違いますけど。
コレが二十年前の出来事ですか〜
私はわざとらしくとある人を見ながら言ってみます。
「狂酔な奴も居たもんじゃの〜」
…お爺さま、もう調べがついていますからね?
「みのり、メシはまだかの?」
「はいはい、もう少しですよ」
ですからお爺さま…
「真央よ、調べたところでどうする気じゃ?」
…何故名前を書かなかったのですか?
「ワシは別に恩を売るつもりは無いからの、ワシは飢えが何をもたらすか、何を奪うのかも経験した、だからこそじゃ」
だからこそ何年も研究して、成果をあっさりと手放した…
「どんな土地や気候でも育って収穫できる野菜…スゴイヤサイって名前は息子が付けたんじゃ」
まんまですね…
「まぁセンスはの…息子はその後研究を引き継いだんだがな…」
…お爺さまが言うには、お義父さんは研究成果を発表する前に亡くなったのだとか。
「ワシの野菜ではまだ病気に弱いからの、息子はその辺の研究をしておった…完成品ごと行方不明だけどな」
周りは亡くなったと言っているのですよね。
「現場には何も無かったらしいですよ、それなのに捜査は打ち切りになってしまいましてね…」
「いや、何も無かったというよりは誰も…死体すら無かったというべきじゃの」
「開かずの箱が、そういえば遺留品として帰ってきましたね」
二階に置いてある大きな白い箱ですか?
「どうやって開けるのか、中身は何が入っているのか、それがどうしても解らないの」
…二階に置いてある2人程入れそうな開かずの箱、私が魔力でスキャンしてもダメだったあの箱の中身を見てみたい気は確かにある。
崖崩れでも傷一つつかず、中身を守り続けているその箱を何とかして開けてみたい…けど、継ぎ目一つ無いのよね〜…
とりあえず触って材質でも見てみようかな。