敗北と出会い
内容をまとめるのが難しい。
他の人はどうやってるのだろう…
敗北と出会い〜魔王視点〜
痛い…寒い…
見知らぬ土地、しかもよりによって冬に飛ばされたようだ。
元いた世界では魔王ともてはやされ、調子に乗って世界を征服まで企み、幼馴染に討たれた。
魔力も尽きて、体も子供に戻り、もはや生命の維持すら出来ない…
魔族は死なないってのは嘘ね…
薄れ行く意識の中で、最後にそれを呟いた…迄は覚えている。
だけど、死ぬ事は無かった…私は見知らぬ天井を見つめていた。
ここは…私は…?
「おぉ!起きたか!おーいミノリ、起きたぞ!」
「シゲゾウさん、落ち着きなさいな」
幸いにも言葉は通じる様だ、私が起きた事を喜んだのか、私の顔を覗き込み、頭に響く程の声で誰かを呼んだ。
シゲゾウというのは彼の名前だろうか、だとするとミノリは仲間…いや伴侶か?ともかく、敵対する気は無さそう。
次に自身の現状確認…
体は…新生化してるけど何とか5才くらいで止まったみたいね、魔力も僅かに残ってる。
赤子に戻るよりはマシだと思うしか無い。
「そうだ、嬢ちゃん名前は何じゃ?何処から来たかわかるか?」
…魔族には明確な名前は存在しない、代わりに称号が名前だ、だから魔王というのが正解だと思う…
でも、流石にこの世界では通じるとは思え無い。
ここは記憶が無いと通すべきだろうか?
そう考えたところでお腹が鳴ってしまった、なんだろ…すごく恥ずかしい。
「あらあら、先にご飯ね」
「ミノリは粥でも作ってやってくれ、ワシは警察呼んでくる、熊が出没したやもしれない。」
「真冬日に熊が出る訳ないでしょう…でもそうね、こんな日に子供が一人で倒れてるなんて異常だものね、こっちいらっしゃいな、お粥ちゃんはもう作ってるわ」
老婆が手招きをする、促されるままについて行くと、美味しそうな匂いがする。
どうぞと出された入れ物には、スープに似た白い料理が入っていた…恐らくコレがオカユなのだろう。
…私は恐る恐る口に運ぶ、オカユはどうやらライスを煮込んだものの様ね、だけどなんだろ…ほんのりと甘い?何か別のモノを混ぜた感じ…ではないみたいだけど…
ふと横に小さな器を置かれた、中にはシワシワな赤い実がいくつか入っている。
「ウチで漬けた梅干し、元気出るわ」
ウメホシと言われた漬け物を言われるままに食べる…物凄く酸っぱい、でも美味しい。
あっという間にオカユとウメホシを平らげてしまった。
「いい食べっぷりじゃな、警察はもう来るってよ」
「この子を預けるの?」
「老人が預かるよりは安全じゃて」
何やら話している、私をケイサツという人に預けるつもりらしく、いつのまにか呼んだそうだ。
何故だろう、その人の元にはあまり行きたくない…そう感じた。
置いて行かないで…
…置いて?何故そんな言葉を言ったのかな。
初対面の人なのに、私にはそんな風に思え無い。
昔の…生まれる前から知っているかの様な不思議な感じ。
「…何か訳ありの様ね、シゲゾウさん、やっぱり…」
「嬢ちゃんが泣いてる理由は分からんが…」
泣いてる?私はが?
頬に手を当ててみると、温かい液体が有った。
置いて…行かないで…おじいちゃん!
いつぶりだろうか、私は泣き崩れ、ミノリはそんな私を何も言わずに、優しく抱きしめてくれた。
「おじいちゃんか…孫が亡くなって以来じゃなぁ…」
「もう十年…ちょうど今頃かしら?」
…二人の会話。
災害で息子夫婦と孫娘を亡くして随分と経っているのね。
「シゲゾウさん、この子を養子にするのはどうかしら?」
「ミノリ⁈何言っとるんじゃ⁈」
「養子ですよ、孫娘として迎えるんです」
「いやいや親が居ないとも限らないじゃろ、それにワシらは生い先短いジジィとババァ、何があるか…」
「親が居たとして、この子は明らかに虐待を受けているわ、あちこちに切り傷とか打撲があるのよ?」
ほれ見なさいとミノリはボロボロになったマントをめくる。
どうやら戦闘の傷とは認識されていない様で、親からの虐待だと解釈したらしい。
シゲゾウはそれを見て、しばらく考え込み…
「わかった、警察にはそう話そう、記憶が無い見たいじゃしよっぽど怖い目に遭ったんだろう…じゃが…」
「向こう二十年くらい心配ないって言われた人が何言ってるの…」
「うぐっ…」
「どうせ農作業以外する事無いんですから、それに…」
こんなに期待した目を見て置いて行けるの?と私を見て言った…そんな顔してるの⁈何か恥ずかしい!
…その後、私はケイサツさんに事情(記憶喪失設定)を話して、ミノリさんが養子縁組を提案した。
シヤクショという場で後日手続きが必要なのだそうだ。
「それでは、こちらにこの子の名前を記入して下さい」
田畑真央、コレが私の名前となった、年齢は5才。
タハタマオと読むらしく、タハタは苗字と言うものだそう。
ここから私の人間としての物語が始まる気がした。
設定とか解釈とか世界観とか、そう言うのも書いとくべき?