殺した罪と罪悪感
遅れました〜!今回も変態ガチレズ教師を見守って下さい〜!最後シリアスです...。
現在
「りょ...涼香。本当にここにするの?」
ラヴィが物凄く心配そうな顔...いや、焦ったような顔で覗き込んでくる。
「...嫌かしら?」
「えっ!?嫌ってわけじゃないけど...。」
ジロリと目の前の建物を見る。
「...?」
「さすがにこれはね...やりすぎだと思うのよ...。」
ラヴィがそう言って見た建物は、白と金色のめちゃくちゃ大きな宿屋だ。見た途端ドンッと効果音がなりそうほどに風格がある。この宿屋は王都の中で最も綺麗で、清潔、そしてなんと言ってもお金が物凄くかかるのだ。1泊20000リゼ。日本円で言うと20万円。(異世界では金の単位はリゼ。)
それなのに涼香は『それがなにか?』と、へっちゃらな顔をして、中に入ろうとする。(急いで止めた。)
...涼香って何者なの?
「こんな所で止まっててもしょうがないでしょう?早く入りましょう。」
そう言って涼香はラヴィの手を取って中に入る。
...何これ。ちょっと待ってよ...。力いっぱい踏ん張ってるのに...びくともしない!?こんなの人族の力じゃ無いでしょ...?!
「いらっしゃ...え!?」
中にいた、ゴーレムのお姉さんが私(涼香)を見て驚いた顔をした。
「3日泊まります。予約とか必要でしたか?」
宿泊客や、従業員がその言葉を聞き、ポカァァーンッとしている。
「ブッ!ヒャハハハハハハッ!」
1人のガラの悪そうな虎の獣人に思いっきり笑われる。
「何が面白いのかしらね?まぁ、いいわ。お姉さん、良かったら、今日の夜私の部屋に来て下さらないかしら?」
手の甲をスルリと撫でて顔を近ずける。耳元で、ねぇ、いいでしょう?、と息を荒らげて言う。
「...ひゃっ...んっ...。」
ブルッと身体を震わせてプルプルの唇を震わせ、
は、と発音すると、私の肩に虎の手が乗っかっていた。
「おいおいねーちゃん。人族がそんな金持ってねぇだろぉ?俺の部屋なら泊めてやっても...」
「涼香に触るな。」
ラヴィが、冷たい声でそう言って、腰に刺した刀をさやが付いたまま虎の獣人を弾き飛ばした。
ドガンッと壁に激突して、バタリと倒れる。
「ラヴィ...。ありがとう。怪我はないかしら?」
「...涼香、それ私が言う言葉よ。」
ギロりと睨まれた。でもそれは言葉を取られたからでは無いような気がする。心なしか受付のお姉さんを睨んでるし。多分これは...。
「ラヴィ...ヤキモチかしらぁ?なら今日のデザートはラヴィにしようかしら。今夜は寝かさないわよ?」
そう言って、軽くキスをする。
「~〜〜っ!?りょっ!?涼香!?なにをして!?」
すると、受付のお姉さんが、
「えっ!?私は...?」
と物凄く不服そうな顔でこちらを見る。
「ごめんなさいお姉さん。3Pは好きじゃあ無いのよ。また明日お相手...」
(貴様...あれほど浮気をするなと言っておいたのにまたか...そこの獣人の小娘だけでは足りず...そこの女にも...?警告通り...殺す。)
アッアルヴァちゃ...!?
サァーっと血の気の去っていく音がする。
...いやちょっ!?これほんとに血がなくなっていって!?待って待って待って!?アルヴァちゃんとエッチしたいです〜!!今日の夜相手して下さいぃぃぃ!!お願いしっ...。
(今日は...私が相手する。明日も...明後日も...。)
よしっ...。
「涼香...どっちを選ぶの?」
気づくとラヴィがこちらを睨んでいた。
「え!?えっとー...今日はやっぱり早めに休もうかな〜なんて?」
「まぁ、いいです...。3日で60000リゼですが...40000リゼにおまけです...。」
二へッと柔らかく笑う。可愛いなぁ。
「ありがとう。助かるわ。」
お詫びに頬にキスをする。
「...へ!?え...う、嘘ですよ...ね?」
...んん??何がか意味わからん。
「え?な、なにが?」
分からずに首を傾げると受付のお姉さんはどんどん顔を真っ赤にしはじめる。
えーー、なになになんなの。ラヴィは物凄く怒ったような焦ったような悲しいような複雑な顔してるし...。もうなんなのよ〜!?
「...ほ、頬にキスってなんか意味あんの?」
すると、ピキっと何かの音がした。
「意味わからずにあんなことしたんですか!?最低ですよ!!」
そうして、ゴーレム特性グーパンをくらわされた...ようにみえたのだが、実際は当たっていなかった。私の頬が霧と化したのだ。灰色の細かい粉がお姉さんの手にサラサラと滑り、また私の頬の形に戻っていった。この一部始終を見ていたのは僅か1名。殴ろうとした張本人、受付のお姉さんのマリー・ダリーンだけだった。
「...え?」
恐ろしい物を見る目で涼香の顔を見る。左右に揺れる淡い緑色の瞳は何処か虚ろで、その後マリーはフラッと冷たい大理石のような床に倒れ込んだ。
「...!マリー!?」
何故かその名前を口に出す。
「ちょっとお姉さんっ!?しっかりしなさいよ!」
スローのようにマリーは目を閉じる。冷たい床に倒れ込んだマリーは血色の良い肌のまま男の作業員に運ばれていった。
涼香は何故か、マリーの情報を把握できていた。
マリー・ダリーン
性別 女
22歳
生年月日 不明年3月7日
血液型 A
種族 ゴーレム(植物・スイレン)
故郷 ストラップ東地方ゴーディン村
家族構成 父・母・弟(両親死亡) その他
不明年...。両親死亡...。故郷まで...。何故こんなにも個人情報をぬきだせたのか。
「ねぇ...涼香!あなた何したの!?」
ガシッと肩を掴まれる。多分だけど彼女が倒れたのは霧化が原因だと思う。だけど今はめんどくさいのは困る。知られるのも問題があり過ぎる。
「なにもしてないわ。殴ってきたのを避けただけよ。」
「そう...。もう1つ聞くわ。何故あの子が倒れた時まるであの子の名前を知っているようにマリーと叫んだの?」
鋭いわね...。
「...昔の友達にマリーという人がいてその人が倒れた時を思い出したのよ。あの時と似てたから多分無意識に言ったのだと思うわ。」
すると、ラヴィが私の額に手のひらをかざす。
どろりと何かが入ってくる。文字が頭に書かれる。嘘探知魔法。うわ、そんなのもあるんだ。
「涼香。それは本当ね?」
だめだ。これはヤバイ。どうする?どうにかしてまぬがれるか?出来るのかしら。
(涼香。僕の事は好きかい?)
...急にどうしたの!?
(いいから。)
好きよ。
(本当に?)
本当に!
(涼香は浮気するしなぁ?嘘じゃないの?)
本当に!信じなさいよ!
(えーー?好きじゃないでしょ?)
こんの...。
「本当だって言ってんでしょ!」
あ、やべ。現実で喋っちゃった。
「っ!ごっごめん!そんなに怒るとは思わなくて!疑うようなことしてごめん!」
ラヴィが急いで手を宙でバタバタしながらあやまる。
「...え。あ、あぁ、いいのよ。こっちも大声で叫んでしまってごめんなさい。」
ごめんアルヴァちゃん。ありがとう。
(いえいえ。涼香ももっと頭を使わないといけないね。)
うん...本当にありがとうね。
(本当に日本人はありがとうを馬鹿みたいに連打するね。)
感謝はありがたく受け取っておくものよ。
(はいはい。ありがとう♪)
「...一体お姉さんはどうしたのかしらね。」
「...本当に。ね。」
「はっ、人族さんがゴーレム倒せるわけねえだろ?さっきは急だったからやられたけど、獣人でもこれほど細い腕してんだもんなぁァ?」
先程ぶっ飛ばされた虎の獣人が、ラヴィの腕を掴んで舐めずりをする。こいつは絶対に女をセックスする玩具としか思ってない。しかも私のラヴィの腕に触った。=死あるべき。
「...っ!離せっ...。」
ラヴィが掴まれた腕を離そうとする。
「私のものに触ったのなら覚悟は出来ているのかしら。」
「っあ?」
「別に出来てなくてもいいわ。命令殺傷。空中に100個の爆発物兼刃物。建物の1ミリの破損もないようにしなさい。ターゲットに向けて一斉発射。」
空中に浮いた剣を浮かべる。当たったときに爆発する所を思い浮かべ、この建物を壊さないように、殺す。
「え...ちょっ...まっ!?」
一斉に刃物が虎の獣人を狙い撃ち、刺さり爆発するのを20秒位見る。煙が消えてからドンッと床に落ちて現れたのは真っ黒になった無残な死体だけだった。建物に1ミリの被害はなく、ジュウーという焼焦げた死体の音だけだった。宿泊客はこの虎だけなんだろう。他の客は見あたらなかった。
「...な、何今の...。りょ、涼香!?あなた何したの!?一体これは...っ!?」
真っ青になりながら焦っているラヴィを無視して魔法を続ける。
「...酸素にして消しなさい。」
そう言うと虎の獣人の死体は灰のようになって空気と同化した。
「涼香...っ!?」
ラヴィにもショックや驚きが多いのだろうが、私も結構ショックと驚きが物凄い。
こんなに簡単に人を殺せるのか。
初めて人を殺してしまった。
そのふたつが頭にぐるぐるとして、挙句に殺した物をこの世から無くしてしまったという罪悪感に見舞われる。1人の女子高校生を自分の身を殺して助けたのに、1人の男を自らの手で殺してしまった。
「ごめんなさい...。ちょっと1人にして欲しいわ。」
「涼香...。」
消えそうな声で私を呼ぶラヴィをほって私は宿屋から出た。