表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガチレズ教師が吸血鬼になったら。  作者: 猫又二丁目
第4章 クエスト~ヴァルバナの宝花の採取~編
21/29

異色の瞳

遅れてしまい本当に申し訳ございません。<(_ _٥)>

「はぁ...はぁ...はぁ...りょ、涼香。ここどこじゃ。」

真竜神様がしんどそうにして私に声をかける。

「分からないわ。」

一面が草原...。先に何があるのかも分からない。

「はっ...はっ...はぁ...涼香が使った転移とやらも気になるが、一体どうしたんじゃラヴィ...。」

真竜神様は息を整えながらラヴィに真剣な表情で話す。

ラヴィは何も言わない。

「ほんとよ。ヤバいやつってどんな奴だったの?」

私が問うてもラヴィは真っ青な顔をしたまま言葉を発さない。

「ぁ...くぁ...」

ラヴィは不意に、小さく甲高い悲鳴のような声を出した。

「何?」

「どうしたんじゃ。ラヴィ?」

ラヴィはどうも様子がおかしい。尋常じゃない量の汗をかいている。

「あがっ...いぎ...が...あ゛ぁ.....!!」

突然ラヴィが太ももあたりを爪でえぐり出したのだ。

本当におかしい。どうなっているんだ。

「ラヴィ?ラヴィ!?どうしたの!?やめなさいラヴィ!!!」

手首を掴むと、ラヴィが顔を上げた。

「何をしとるんじゃラヴ...ィ...。」

私と真竜神様は絶句した。ラヴィの顔、いや、正しくはラヴィの目を見て言葉が出なかった。


ラヴィの()()()()()()()()()()()

まるで墨汁でも零したように、目の全体が真っ黒なのだ。怪物じみたその目は嫌に気持ちが悪かった。


「...何よこれ...ラヴィ、声聞こえる?ねぇ?」


「まさか...ヤバいやつとやらが、呪いをかけたのか...?」

真竜神様でも分からない症状らしい。

「何か...いい魔法は...。」


(僕もそれは見たことないね。無闇に魔法をかけたら本当におかしくなってしまうかもしれない。危害は加えてこなさそうだし、ある程度分かるまでは何もしない方がいいと思う。)


アルヴァちゃんは、冷静に、淡々と話してくれた。おかげで私も少し落ち着くことが出来た。


(涼香、僕と真竜神の言葉である程度は分かったと思うけど、間違いなく()()()()()()()()()()()()()。神でも原因が分からない異変が。)


「何よそれ...冗談じゃない。」

「涼香?」

それだったら、ヤバいやつが何なのか調べるしかないわよね...。

(多分、涼香でも殺すのは難しいよ。調べてるうちにプチッと死んだなんてシャレにならないからね。あと、調べるのは涼香の仕事じゃない。僕達、天使と神の仕事だ。)

でも...。

(それまではあそこに近付かないようにギルドとかに報告しておいて。)

「...っ、」

分かった。

「涼香、どうするんじゃ?」

「とりあえず、ラヴィは寝かしとく。」

いまだに甲高い小さな悲鳴を口から漏らすラヴィに半ば強引に真竜神様がもっていた眠り薬を飲ませた。

「ぁ...ぅう...。」

「じゃあ、街に戻るわよ。」

「いや、しかしのここがどこか...あ、転移とやらか。」

「そうそう。さてと、転移。」

ラヴィが眠ったところで、街に転移をする。

ラヴィの寝顔はいつも通り可愛かった。目さえ開かなかったら、いつも通りの可愛いラヴィだ。



「ぬおっ!!なんだ...お前達か。」

ギルドの受付の前まで転移でなだれ込む。周りにいた冒険者や依頼者が何事だ、とぞろぞろとこちらに集まってきた。

「ハローおじさん。急で悪いんだけど、フィアーの森には誰一人近付かないように王都のみんなに言っといて。正体不明の化け物がいる。姿は分からないけれど本当にやばいやつだから。信じて。」


「お前の言うことなら俺は信じるが...。他の奴らがどうかは分からん。というか、誰も行けんだろう。フィアーの森なんぞに。」


「それならいいんだけど...。とりあえず国自体に言えないかな。フィアーの森に行ったら目が真っ黒になって自我を保てなくなるって。」


国に報告してもらえば事の重要性を村人にも知ってもらえるだろう。でも、一冒険者が言ったことをやすやす信じるか。証拠ならラヴィがいるけど、宗教系にハマってるヤツらが、悪魔だ、とか言って殺そうとしないかも不安だ。


「は!?目が真っ黒?自我?どういうことだ。」

おじさんは見るからに戸惑った様子だ。

「っ...ラヴィが、今その状態に...なってる...。」

何も出来なかった。助けることも出来ず、ただ一緒に逃げてただけだった。悔しくて悔しくてたまらない。

「...そう...か。すまん。こちらがクエストの危険性を熟知していたらこんなことには...。」

おじさんも、申し訳なさそうに目を伏せる。

悪いことしたな...。

「多分ね、あれは私には殺せないし、この世界の人達にも殺せない。」

「...数で押せば...。」

「無理よ。いくら数を集めても、無理よ。頂上までたどり着くのに時間がかかりすぎるし、全滅なんてことも有り得る。そんな危険な橋は渡れないし、渡らせない。」

リスクが高すぎるんだ。もっと、『ヤバい何か』の情報を集めないと、弱点も何も分からない。

「...じゃあどうすればいいんだよ!!!」

1人の冒険者が、ガンッと木の机を叩いた。

「...それが分からないから、下手な行動は取らないようにと言ってるのが分からないの?」

なに急にきれてんのよ。気持ち悪い。

「お前がそんなバカみてぇなクエスト受けて、勝手にやべぇやつ見っけてよ、それでどうして俺らがこんなに不安にならねぇと行けねぇんだよ。」

どうやら酒に酔っているようで、訳の分からないことをつらつらと言い出した。

「私達だって不安なのよ。大切な仲間がこんなことになって。もしあなたの受けたクエストでこんなことになった場合、さっきのあなたの言葉を受けてみなさい。「はぁ?」ってなるでしょう。私達のせいでもないし、あなた達のせいでもない。逆にこの事を知らずに対処せず、放置して王都全滅崩壊なんて信じられないわ。」

酔っぱらいは黙ってて欲しいわね。鬱陶しい。

「はぁ?!なん...」

「そのぐらいにしておけ。お前のストレス発散に時間を割いている場合ではない。とりあえず国に報告する。その間、お前達はギルドの地下で休んでてくれ。上の命令が出るまでクエストを受けることはさせん。一致団結してこの問題を解決しよう。ギルド長の命令だ。」

おじさんが止めてくれたおかげで、酔っぱらいは大人しくなってくれた。というか


えっっっ...ギルド長だったの...えっっ.....。


って、私含めここにいた全員がそんな顔をしていた。


「「「「「「おーー!!!」」」」」」


なんとかノリで合わせたもののやっぱり違和感しかない。

とりあえず、ラヴィの症状が日に比例して良くなれば良いな、と思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ