※アルヴァ目線~あの時のように覚悟を決めて~
すみません猫又です。すみません。ほんとにすみません。遅れてすみません...うぅ(´°̥̥̥ω°̥̥̥`)怒んないで。遅いとかなにインフルなってんだよ。馬鹿じゃねーのとか言わないで...違うの...違わないけど...ごめんなさい...。
またアルヴァ目線の話です。遅くなってしまいすみません。どうぞ。
...待って待って待って。どういうこと!?
私の手の中にある死亡者リスト。キチンと私達が転生させてあげないといけない人達。そんな所に何故か、愛しいあの人の妹の名前が強く刻まれていた。
『名前 結城 夏風
死亡原因 窒息死(自殺)
ポイント計数 86223
異点 前世の記憶の抹消が困難である。
ポイント計数が指数を超えています。
死亡時の心肺停止方法が何者かにより操作さ
れています。
アルヴァ・リファード・ウィルズリーン、転生後、
異常な心肺停止の原因を調べてください。早急に対
応をお願いします。
マークス・ウィルズリーン 』
あぁ...なんと面倒くさい命令だ...。てかなっちゃんまで記憶のこるの。どんだけポイント高いの。涼香にそっくりだね。本当に。何となく分かってたからおどろかないけど?てか誰に心臓止められてんの。なにしてんのまじで。
「...ほんとにふざけんなクソジジイいいいいいいい!!」
「はぁ...はぁ...早急にって...遠回しに今やれって言ってんじゃん!!本気で言ってるの?」
もう一度、書類に書いてあるなっちゃんの名前を見る。
...あぁ、頭痛い。ほんとに頭痛い。
「今...ねぇ。会いたくないなぁ...。窒息死...自殺...かぁ。今まで...どんなに辛かったんだろう。私が死んだ時の涼香くらいに苦しかったのかなぁ...?私...一番さっきに死んじゃったから...分かんないや...。本当に大切な人が、...愛した人が死んじゃったら...どんな絶望なんだろ...。」
こんなことを考えていると、毎回、心が黒くくすんでいきそうで、意味もわからず怖くなる。
持っている大きめの判子を朱肉につけ、目の前の書類に付けようとするが、うぅん、と唸り手を止める。
また、書類の中のなっちゃんの名前を見る。
「ほんとに...うざいなぁ...。」
まただ。またもやもやが頭を支配する。黒く黒く、どんどん深いドロドロのインクに身体が沈んでいく。
「アルちゃん。」
「...!」
後ろからトン、と肩を叩かれ、透き通った声で、この人しか呼ばない呼び名で名前を呼ばれる。
振り向くと、そこには真っ白な髪の毛と肌のなかに強く燃え上がる真っ赤な目をした女性が立っていた。
その人は、ほんとに存在する生き物なのか分からないほど透き通った人で、たまにゾクリと背筋が凍る時がある。
「...リディ姉さん。」
「大丈夫?声をかけても反応しなかったから心配したのよ?」
心配そうに紅い目で私を見つめた。
「...あー、ごめんね。ちょっと、考え事してて...。」
「...あまり、溜め込んじゃあだめよ。また、結城 涼香のこと?」
後ろから、ゆっくりと抱きついて、はぁ...と甘美な吐息をもらすリディ姉さん。
一途な私でもさすがにドキリとする時がある。
「...うん。」
「...どうしたの?また、アルちゃんがヤキモチ妬いちゃうことでもしたの?」
ゆっくりとねっとりと間を開けて、息を吸い、また透き通った声で、言葉を紡ぐ。するりと耳に入ってくる話し方で、心が浄化されるように落ち着く。
リディ姉さんと話していると、夢の世界にいるようなフワフワした気持ちになる。なんとも言い難いのだけど、時間がゆったりしてると言うか、空気と喋っているような気持ちになる。体温も、血も通ってるのに空気だなんて変だよね。
「...違うの。涼香の妹がさ、死んじゃったの。私が対応するように言われちゃって。ほら、これ。」
そう言ってペラリとその紙をリディ姉さんに手渡す。
「...あらぁ、涼香さんとまるで一緒じゃない。記憶の抹消が困難で、ポイントが高いのね。さすがに涼香さんのはポイントには、追いつかないかしらね。」
残念そうにほぅ、とため息をついた。
「そうだね。涼香は凄いもん。」
「...そうね。アルちゃんが夢中になるくらい...ね。」
ぎゅ、と私を抱く力が強くなる。
「...リディ姉さん?」
どうしたのかな。なんか余裕ない?リディ姉さんらしくない気がする。
「...なぁに。どうしたの?」
クスクスと笑いながら、スリ、と頬にリディ姉さんの頬を擦り付ける。
「...なんでもないよ。」
「アルちゃん、変なのね。」
するりと腕をほどき、私から一歩下がる。
「...ねぇ。リディ姉さんはさ、前世はどんな恋をしたの?」
じっとリディ姉さんの紅い目を見つめた。
「...私は...ねー...そうね...一度だけ、熱い恋をしたわね...好きで好きで...死にそうなくらいに甘くて...それで...。...ごめんなさいね、アルちゃん...たくさんありすぎて...覚えてないわ...。」
クスクスと静かに笑ってゆっくりと息を吐いた。
「楽しかった...?」
ピクリと一瞬怖いくらいに静かに無表情になってから、いつもの甘い笑顔に変わった。
「そうね、あんまり...いいえ、...全然、楽しくなかったわ。...私の恋は...報われなくて、あなた達みたいな恋ほど、甘くなんてなかったもの。」
そう言って、静かに私を見据えた。
最後に、目を細めて、「ね。」と取って付けたようにニコリと微笑んだ。
「...そ...っか。」
こんなに優しい笑顔なのに。いつものような甘い声なのに。なんで。なんでこんなに瞳が冷たいの。いつもの燃え上がるような赤い瞳が温度をなくした無のようで、すごく怖い。それなのに彼女の口からでる一つ一つの言葉が火傷をしそうなくらいに熱くて、苦しい。
これ以上、踏み込んじゃいけないんだ。リディ姉さんはこんなに取り乱さない。この話題はリディ姉さんにとって好きじゃないんだ。話題を変えないと。
「...り...リディ姉さんってさ。」
「ん?」
「いつも付けてるそれ...凄く綺麗だよね...気に入ってるの?」
指さした先には腕に付けた、青い金属のブレスレットだ。ワンポイントでリディ姉さんの瞳のように真っ赤な宝石が埋め込まれている。
「これね、友達に貰ったのよ。」
...!!変えたつもりなのに、全然変えれてない!!
「...へ、へー。」
「...可愛いでしょっ!」
愛おしそうにリディ姉さんはそのブレスレットに口付ける。
「...凄く大切な友達だったんだね。」
暖かい気持ちになって、胸がいっぱいになる。リディ姉さん可愛い。
「...今も。」
「...へ?」
「今も...今も凄く大切な人よ。ほんとに、会いたい。」
眉を八の字にして、目を瞑り額をブレスレットに当てる。
「リディ姉さん.....。」
「あはは...ごめんなさいね...。少し、あの頃の余韻が...」
「会えるよ。」
「...」
「...リディ姉さんは優しいし、凄くいい人だもん。会えるよ。絶対に。リディ姉さんが会いに行かなくてもその人から会いに来てくれるよ。こんなにも幸せそうで、優しい顔したリディ姉さん見たことないもん。絶対会えるよ。大丈夫だよ。」
リディ姉さんなら大丈夫。私の知ってる神様は、こんな人に祝福をもたらす人だもん。
「...あ...」
ポロリと一粒の涙が真っ白な頬を伝う。
「え!?リディ姉さん!?」
「あり...がとう...アルちゃん...ありがとう。」
泣きながら、私を強く抱いた。
「リディ姉さん...大丈夫だよ。私だって会えたんだもん。会えるよ。」
私も涼香に会えてよかったって、本当に幸せでとろけそうな程に熱くなるのは本当に会いたかったから。リディ姉さんも会ったら、本当に幸せになれるよね。お父さん。叶えてあげて、私の恩人なんだから。
「...えぇ。」
リディ姉さんの身体が、するりと水になり、私の腕から消えた。
...ありゃりゃ、行っちゃった。
...あ、言っとくけど成仏とかそんなんじゃないからね。自室に帰っただけだからね!
「...さてと。私も覚悟決めますか。なっちゃん、ドンと来い!」
そう言って、了承の意味の判子を紙に押し付けた。
ブワッと紙が光り目の前には懐かしいあの子の大きくなった姿が映画のレコードように映った。
今まであったことを全て映し出し、紙はチリのように消えて、記憶だけがその持ち主の元に帰った。
キィィィィン.....
目の前に強い光が瞬いた。
「...どこ...ここ...。」
さて、覚悟は決めたんだ。あの時のように。平気な顔して挑んでやる。
「こんにちは、結城 夏風さん。僕はアルヴァ。少しの時間だけど、よろしくね?」
次話から(投稿早くするの)本気出す...。