天使の加護(仮)
どうも、猫又です。あけまして、おめでとうごさいます!今年もよろしくお願いします!(言い忘れていた)
リアルタイムで言うつもりだったのですが、なんともゴタゴタしたり、大晦日にうるせぇ友達共が家に押しかけにきやがりまして、うつらうつらしながら、徹夜しました☆ …ほんとに死ぬ。
まぁ、なんとも言えませんが、今年も、私の作品を読んでいただいてる方や、ブックマーク、お気に入りして下さっている方、そして、これから読んでもらう方など、今年も温かい目で、私の作品達を見ていただけると嬉しいです。
さて、前置きが長くなりましたが、『ガチレズ教師が吸血鬼になったら』今年初の投稿、読んでいただけるととても嬉しいです。
ゴオォー
遠くの森の木がザワザワと、悪い予感を感じさせるように怪しく揺らめいた。
「なんか、嵐の予感がするわ。」
遠くの木の配列を眺めながら、私はそっとつぶやく。
「あらし〜?何よそれ。」
ラヴィは私の呟きが聞こえていたのか、眉間に皺を寄せて不機嫌そうにぼやいた。
あら?この世界には嵐って無いのかしら。
「嵐、知らないの?」
「何よそれ。あらし?」
...あーね、知らないのね。
ふぅ、とため息をついてから、嵐の説明をする。
「嵐っていうのはね、暴風と大雨を混じえた自然現象のひとつよ。」
「あー、モンスーン?」
さも、当然のようにサラッと間違えるラヴィ。可愛い。
「えー、それ台風じゃない?」
ま、似たような感じに思えるけど、台風って熱帯気圧とか南シナ海に存在するとかじゃなかったっけ。あと最大風速17m/sじゃないとダメとかだったわよね。
「たいふー?」
あー、そういうのもダメなのね。
「嵐って言うのは、モンスーンと違って、明確な規律がない感じかしらね。大雨と物凄い強い風が吹いたら嵐って言えるのよ。」
「あー、神の怒りっぽいやつね。」
...もういいや。やめよう。
さてと、今の先の見えない会話は忘れて、私達は今、新しいクエストを受注し、クリアしようとしているのです。その名も『ヴァルバナの宝花の採取』です。物凄い希少そうな花の名前でしょう?...そうなのよ。めちゃくちゃ希少なのよ。これ一本あれば、魔力回復ポーションが1000本作れるそう。でも、やっぱり高価なものには凄い対価が必要なのよね。冒険者でも立ち入らないと噂のフィアーの森という禍々しい森の頂点に青と紫の混ざりあったようなとても綺麗なヴァルバナの花があるらしい。
...まぁ、そこまで辿り着くのが問題らしいけど。
モンスターはAランク〜Sランクのモノばかり。そして一番おっかないのが、上に行くにつれ、気温が急激に下がるという。まぁ、夜寝る時は、空間魔法の中で寝ればいいから他人事なんだけど。
「さてと、そろそろ寒くなってきたわね。」
「そうじゃな、寒くなってきおった。手が氷のように冷たいわい。」
「うぅぅ...耳が冷たいし痛いわ。」
真神竜様は自分の手をさすり、ラヴィはとんがったエルフの耳を真っ赤にさせ、震える。
「...暖かくしましょうか。」
「「へ?」」
早く暖かくしないとこの子達の可愛い顔が霜焼けになりそうだわ。
目を瞑り、私達3人に魔法と物理攻撃を防げる障壁を張るように、その中が適温になるように、想像する。
そっと目を開けると、透明な膜が、私たちの周りを囲み、さっきの寒さが嘘のように暖かくなる。
「...は?」
「...どうしたの?」
「な...なんじゃこれ...。」
「何って魔法だけど。」
どうしたのかしら。
「...これって、魔法攻撃防ぐやつよね...。」
「物理攻撃も防げるわよっ。」
「...は?」
「ん?」
「ぶぶぶ物理攻撃を防ぐじゃと...!?」
何がそんなにおかしいのかしら。
「...もう...こんなの最強じゃない...。」
「...まぁ、耐久性は優れてると思うけど。勇者とか魔王とかに本気で剣ぶっ刺されても大丈夫だと思うわよ。多分。」
「...ど、どのくらいもつのじゃ?」
「一生もつわよ?」
「はぁぁぁ!?なんじゃよそれ!?!?」
「...あー、もう涼香には常識を期待しちゃいけないってことが分かったわ。ふふふふふ。」
...な、なになに。なんで真神竜様はそんな驚いてんの。ラヴィはなんでそんな光のない目をして微笑んでるの!?怖いわよ...。
「...あ、暖かくない?真神竜様もラヴィもまだ寒かったかしら?」
「...!」
ハッとしたようにラヴィは私を見る。そして、頬を染めて、優しく微笑んだ。
「ありがと、涼香。もう痛くないし、寒くもないわ。」
「...そう、良かった。」
「...あ、ありがとの。涼香。」
ラヴィは優しく微笑み、私の腕にきゅうっと抱きつき、真神竜様は恥ずかしそうに人差し指で頬を掻き、私にお礼を言ってくれる。
……うん、最強で良かった。いい感じの魔法使えてよかった……。
そう言えば、『六角オウガイノシシ10体の討伐』のクエストクリア後、私達はギルドで一気に有名になり、前のようにおかしなことをしようとする輩はいなくなったが、逆にパーティに入らないかと誘われることが増えた。真神竜様が膨大な魔力を露出していたことや、私がラヴィに近付き、ラヴィの肩に手を回すハーレム気分を味わうギルドでも強いと言われている外人風のイケメンを秒でぶっ倒したことがあってか、皆私達を恐れ近づくことは無くなった。
(もちろんハーレム気分を味わうイケメンに付いていた美少女達は少しだけ私にメロメロになるようにしておいた。少しだけよ。これは私の固有魔法のようなもので頬に手をやり少し耳元で囁けば……(以下略))
あ、もちろん受付のおじさんには高価なワインと度の強い焼酎のようなお酒を送っておいた。おじさんは目を真ん丸にして断ろうとしてたけど、無視して帰った。
グルルルルルルル……ヴヴヴァヴ!
「ん?」
回想をしていると目の前に10体ほどのブルーウルフが腰を落とし戦闘態勢に入っている。
「……ここはわしが何とかしよう。」
「いや?別に大丈夫よ。」
「何を言っておる、相手はSランクのモンスター10体じゃ。わしでもそう簡単に……」
「てい。」
ヴヴヴァァァァァァァァァ!!?!????
10体程のブルーウルフは一瞬で赤黒い炎につつまれながら悲痛な声を出し、焼かれていく。
あー、もう本当に強くてよかったー。少し膜を張って温かくしたらラヴィと真神竜様があんなに可愛い顔でありがとうって……もうっ、嬉しすぎてとろけそうなくらい……。はぁ、他にもっと褒められることないかしら……。あ、私飛行魔法持ってたよね。あー、でもあの魔法って確か吸血鬼だけ持ってる魔法で、またなんかややこしいことになるわよね……。
てか、お腹空いてきた。アルヴァちゃんの甘い甘い血液が飲みたい。
……そう言えば、アルヴァちゃんの部屋?っていうか真っ白な部屋に行って話してから声聞いてない気がする。…いや、気がするじゃなくて……。
「……か、りょ……か……涼香!!」
「ひぇ!」
あーびっくりした。なになに。
「…ちょ、真神竜様!こんなこと涼香にとっては普通のことじゃない……そんなに怒らなくても。」
「違うんじゃラヴィ。……これ、天使の魔法じゃろ…?なんでお主が使えるんじゃ……?」
あれ?なんかややこしいことになってるわ……?
「……え、ちょっと待って。天使?」
天使ってアルヴァちゃんの……?いや待って。ブルーウルフに魔法かけたのは普通に燃やせって言う脳内命令であって何か変なことあった?
「……そうじゃ。あの赤黒い炎は神の中でもトップに君臨するマルクス・ウィルズリー様が幼子達に贈った造物じゃよ。」
マルクス・ウィルズリー?そんな人は知らないけど。
「……。」
「……何故お主が使えるのじゃ。まさか、ウィルズリー様の幼子を手にかけたか……!」
……どうしよう。これ、おかしなことを言ったら真神竜様と決闘することになるわよね。なんて言おうかしら……。
「……て、天使の加護を受けてるらしい…わ。」
……何を言ってるの…私は……。というか天使の加護って何よ……。あーもう、ダメだ。てか加護って厨二病なの……?もう馬鹿みたい……。
「……どうしてそれがわかった。」
さっきから、真神竜様は魔力を露出したまま、私をギロリと睨んでいる。
「なんか、頭に声が聞こえたのよ。あなたは天使の加護を受けてるのよ〜って。」
……ははは。狂ってるわね。なんで、急に頭に声が聞こえてあなたは天使の加護を受けてるのよ〜って何言ってんのあんた。ってなるくらいに頭のおかしいことを言ってるわよね……。
「……そのものの名はなんと……?」
「それはさすがに真神竜様だとしても言えない。」
アルヴァちゃんの血を吸った時、バレたら消滅させられる、と言っていた。今回も、アルヴァちゃんの血を吸ったことからか、アルヴァちゃんが私にその能力を渡してくれたのが理由なのだとしたら、アルヴァちゃんが私のもとから、いなくなる可能性がある。真神竜様が神様であることから、アルヴァちゃんの名前をマルクス?さんから直接聞き、説明でもしたら、アルヴァちゃんが本当に消えてしまうかもしれない。
アルヴァちゃんを私から奪う要因になることは許さない。それが例え、真神竜様であっても、殺せるくらいには許さない。
「わしを信じれんと。」
「えぇ。」
「……!」
ここで信じてるけど……と、焦ると、もっと深く聞かれることになる。甘いことは出来ない。
それに、私はすごくイラついている。なんでアルヴァちゃんのことをそんなに知ろうとするのか、それは私が天使の持つ魔法を使えている意味を知りたいから、もしくは私の事を心配してくれていたのだとしても、アルヴァちゃんが私のせいで危ないことに巻き込まれるのは違う。
「……そ、そんなに信じれんか?」
真神竜様は悲しい顔をして、目を伏せた。
「彼女のことは絶対に喋らない。絶対に。」
「……涼香、その人のことが好きなの?」
ん……!?ラヴィは急にどうしたのかな!?
「……何を言ってるの?ラヴィ。」
「だから…そんなに護りたいって…好きなのかなって……。」
じわぁ……と、目に涙をためるラヴィ。
「……要するに、妬いてるの?」
少し前に動けば、キスが出来るほど近くに顔を近付ける。
「……うるさい……わよ!」
真っ赤な顔で、ぺしっと私を軽く叩いた後、恥ずかしそうに私の目を見て、目を閉じた。
「ふふっ、素直じゃないわね。……ん。」
小さく震えた、ラヴィの唇に私の唇を重ねる。
少し湿った唇は私の唇に上手く密着し、とても気持ちいい。
「ん……んん。」
ラヴィの唇を私の唇で、柔らかに噛む。
「ん…。」
少し目を開き、フルフルと震えるラヴィを見る。
「…っっ!?…何をしとるんじゃ!!いいい今大事な話をしとったところじゃろ!!いい加減にせんか!てか、ラヴィずるい!なんで涼香とキスしとるんじゃ!わしした事ないのに!!」
真神竜様があまりにも大きな声を出すものだから、ついびっくりしてラヴィから口を離してしまったわ。
「あーごめんなさい、真神竜様。つい、ラヴィが可愛すぎたせいで。」
「ちょ、なっ、何言ってるのよ……!」
怒り口調ではあるもののラヴィはどこか満足気で、少しだけ笑みが零れていた。
「……ま、まぁ涼香が天使を殺めるどころか人を殺めるような外道な者じゃないことぐらい初めから分かっていたのじゃが、どうも不安でな…探るようなことを言ってしもうて…申し訳ない。」
人を殺めるような外道、信じていてくれているのは素直に嬉しかったが、その言葉が引っかかった。
…だって私はつい最近、人を殺めてしまった。それも、死体を残さずに。罪を償わず、罰せられずに。存在を抹消したことから、証人がいたとしても、確認出来ないため、罰せられないらしく、私はこの罪を人生の中でずっと引きずることを決めた。
「……ごめん、真神竜様…違うの……。」
「……?なにがじゃ。」
「私は人を一人……」
「……っ涼香!!」
殺めてしまったの、そう言おうとすると、ラヴィが私の腕を強く引っ張った。
「ラ……ラヴィ…?」
「ひどい顔よ。顔が真っ青だわ。はやくこのクエストを終わらして帰りましょう?」
そう言って、ラヴィは私の手をひき、上へ進んだ。
そりゃまぁ、真神竜様は怪訝な顔をしていたけど、後味悪そうに私達の後ろを着いてきた。
……あのことを思い出したから血の気が引いたって言うのもあるけど、血が飲みたすぎて死にそうなのも理由の一つなのよね。
今年も、本当によろしくお願いします。読んでみて、面白かったら、ブックマークお願いします。
猫又の作品は、短編小説と、連載小説(これを含め)2つあるので、そちらもよろしくお願いします。
それと、今年も、読者の皆様に支えられて、この小説達を書けていることに、感謝したいです。本当にありがとうございます。