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第3節、10話 勝利の歓喜から・・・

同時刻、ナイナーズのロッカールーム。

一人の男の悲鳴が、部屋中に響き渡る。

「おわあぁぁぁ!いーででででで!おい、クラリス。ひ、膝裏は、もう少し優し・・・いーででででで!あー効く、そこそこ」

今シーズン初出場のゴルドは、クラリスからマッサージを受けていたのだ。

「ハイハイ、世話の焼けるこって」

「しかし、いいタックルを貰っちまった。まだ首がジンジンするぜ」

「若い頃は、すぐにボウルを投げ捨てて、ガッチリガードしていたのになあ」

「今は、やる必要が無くなったからな」

「やる必要が無くなった?どう言う事ですか?」

ゴルドの言葉に反応するカズミ

「昔はな、豪快なタックルが観客受けが良いと、レイトヒット(パスを出して、無防備な状態のQBに対しタックルや攻撃をする行為)を許されていたんだ」

「パスを出した後に、タックルや攻撃をする事は、大怪我に繋がるので許されていないのに・・・」

「まあ、そんな時代があったっ事だ。おい、そろそろFFL倶楽部の時間じゃないか?リモコンは・・・」

「ほらよ!オヤジ」

クラリスがゴルドにリモコンを、渡す。

「チャース!FFL倶楽部の時間です。本日もファンタズムボウルの情報を、盛りだくさんでお伝えします」

番組MCのワカバが、いつもの謎挨拶をし、放送が始まる

「さて、最初のコーナーはサスガの現地取材だったのですが、何やらトラブルがあったらしく、サスガの現地生解説に変更になります。あらかじめご了承下さい」

サスガさん、大丈夫かな?ダークネス化の影響で、体もキツいはずなのに・・・」

「プロとしての意地だろうよ。どんなにキツくても歯食い縛って、仕事に向かう。俺は好きだぜ」

カズミの心配の言葉に、ゴルドが答える。

「あたしはそう言うキライだぜ、どっかのクソオヤジ見たいに、無茶をする奴は」

ゴルドの言葉に、あからさまに不機嫌な顔をするクラリス。彼女がドクターであることを鑑みれば、当然の反応であろうか。



「まずは、トレードのニュースです!

オリオールセイントナイツにレンタル移籍中の、トウカ・サカザキ選手がトレードでの完全移籍で合意。

セイントナイツは、召喚権3回+リリィ・バーンズ選手の計4名。アイアンマインズは、トウカ・サカザキ選手1名。4対1のトレードで合意しました。

「ほう」

トレードのニュースに、興味を示すクラリス。

「4対1?アイアンマインズが、損をしていませんか?彼女ほどの選手なら、6対1でも不思議はありませんよ」

トレードの内容に、訝しげな表情を見せる、スズネ。

「いや、マインズの泣き所の、リッカ・サカザキの後継者を補強出来るんだ。今回の話、損と言う程でも無いだろう。それに・・・」

「それに?」

「トウカ・サカザキが、マインズのシステマチックなフォーメーションに、全くと言っていいほど噛み合っていない。彼女はバトルアスリート出身で、ファンタズムボウルに関しては、ド素人だ。フォーメーションに拘束されず、自由にプレーさせた方が能力を発揮する典型さ」

「マインズは、そこをつけこまれた?」

「だろうな。しかしこのトレードを纏めた奴、相当なやり手でだよ。一度でいいから、顔でも拝んでみたいね」



「では、順位表です。まずは|ファンタズム・フットボウル・カンファレンス≪FFC≫。東地区は、開幕3連勝の、サーティーナイナーズが首位。2勝1敗で、セイントナイツ。1勝2敗で、デスサイズスが3位。昨シーズンの東地区王者、ファイヤーズは、開幕3連敗で最下位です。

続いて北地区。1勝1敗1分で、アイアンマインズとブラウニーズが首位。2位は、1勝2敗でシーザーズ。開幕3連敗のブルースキンズは、最下位と低迷しています。

次は南地区。2勝1敗のアースクエイクスとナイトメアラウンズが、同率の首位。最下位は、3連敗のバンディッツとトレインズとなっています。

最後に西地区。こちらは1勝2敗で、キャップス、ホワイトリンクス、クラッシャーズ、ヴァルチャーズの4チーム並ぶ展開。西地区の全チームが、他地区や他リーグのチームに負けている影響が大きいですね。

次は、|オルタナティブ・フットボウル・カンファレンス≪OFC≫。東地区はコールドアイズが3勝・・・」

ピリリリッ。

広いロッカールームに、クラリスの携帯電話の音が響き渡る。

「悪い、ちょっと外す」

クラリスは部屋の隅に行き、電話をポケットから取り出す。

「申し訳ない、出るのが遅れた。で、イリーナの状態は?そうか・・・オヤジや首脳陣にも許可は取れているし、情報はいつも通りで。ああ・・・頼む・・・・・・」

「クラリスさん?イリーナのいる病院からですか?」

カズミの疑問に、クラリスが答えようとしたときだった。


「今入ってきた情報ですが、残念なニュースです。先程の試合で、右肩の負傷で途中交代したイリーナ・バニング選手。診断の結果は、右棘上筋(肩を挙げる為の筋肉)部分断裂。全治は不明、開幕3連勝のナイナーズですが、戦力の低下は免れないでしょう」

イリーナが、全治不明。ロッカールームに、衝撃が走る。


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