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現実を知った俺は異世界での経験で独り立ちをする  作者: ホットパイ
現実と別れ
7/9

試験!不動産!お婆さん?

俺は現在、新城学園の編入試験がある会場に来ている。


流石に編入試験だけであって受けている人の数は自分を含めて2~3人だけだ。


「では試験開始。」


試験管の始めの合図により試験が開始される。

裏に向けてあるプリントを表に返す。


やべ~全然わかんね・・・・・。



「はい、そこまで。」





「終わった・・・・・・」


正直、出来た自信がない。

マークシートの半分は適当である。


「はぁ・・・・・」


残りは英語だけだが、俺は昔から英語が1番苦手だ。


そして、唯一英語は出来ないと思って最初から諦めていた教科なので教科書すら開いていない。


達也は「あがいてやる!」という思いで教科書を鞄から出すと


「それでは、最後のテスト英語を始める。」

と試験管も無情な声が響いた。


俺は右手に掴んだ英語の教科書をいそいそと鞄に戻した。


「では、はじめ!]


俺は試験管の開始の声とともに、終わったという思いでプリントを表にする。


「えっ・・・・」


分かるぞ。


俺はかつてないほどすらすら問題を解いていく。


今まで気が付かなかった。

異世界に行っても言語が分からないことが無かった。

それは「全語訳」と言う異世界転移の特典みたいなスキルがあったからである。


しかし、それがまさかこの世界に帰ってきてからも使えるとは・・・・・・


俺は30分もかからず英語の試験は終わった。


正直、マークシートではなかったら一問も解けなかっただろう。

「全語訳」は読める、聞こえたり、話すことは出来るが、唯一の欠点として文字を書くことは出来ない。


これで、合格か不合格かは分からなくなった。



まだ、可能性がは残っている。達也はその思いを励みに面接を受けた。




結果としては大した問題がなく、普通の受け答えが出来たと思う。


「はぁ~終わった!」


俺は両手を上げて固まった筋肉を伸ばす。


合格が分かるのは3日後らしい。

俺はそのまま家に帰ることにした。






次の日、俺は新しく住む場所を探すために不動産に行った。


未成年では不動産と契約を結ぶ事が出来ない。


しかし、親の同意があれば可能である。

叔母さんは俺のことなんて邪魔としか思っていなくて、その結果、簡単に同意を得ることが出来た。


家賃5000円、そのアパートからは駅までかなり遠く、何よりいわく付き場所であり、なんでも前の人がそこで死んだとか。そんな場所であったために格安の家賃を俺はネットであらかじめ予習していた。


達也は不動産の人に1度そこの部屋を案内された。


部屋は普通の1kの部屋であり、別に汚いと言うほど汚くはなくごくごく普通の部屋であった。


もし、普通に借りるのであれば4~5万の家賃が掛かっていただろう。


達也は迷わずそこを契約をしたのち不動産を出た。



――――――――――――――――――――――


時間はもう夕方になっており、太陽は山に隠れようとしている。

達也は歩いていると、あるものが目に入った。



達也が見た先にはおばあさんが横断歩道でこけているのとそこに向かって走ってくる大型トラック。


「危ない!」


俺は考えるよりも前に体が先に動いた。


俺はおばあさんを抱え大型トラックを躱す。

だか、完全には躱し切れずに足だけひかれ「ゴキ!」骨が砕けた音と骨が砕けるとともに体ごと飛ばされる。


おばあさんだけはと思い抱えていたおばあさんを飛ばされる前に離し、達也はそのまま歩道の壁ににぶつかった。


達也が飛ばされる前に話した結果、おばあさんはいちようは無事であった。


俺も無事ではないのだが体のあちこちを粉砕骨折をしていたが治癒魔法でどうにか歩けるぐらいにはなった。


大型トラックは壁に激突していてたぶん運転手は・・・・・・・・・


あれはもう生きてはいないな。


トラックの運転席はぺしゃんこでところどころに血が飛んでいる。


たぶん、俺は運転手1人分の血ではない。通行人も何人かはひかれたのではないだろう。


まさに、今達也の目の前に映っている光景は地獄絵図だ。


その光景を見た通行人たちは叫び、泣き、吐いている者までいた。


しかし、達也の瞳には何も映らなく。何も感じなかった。




――――――――――――――――



それから少し時間が経ったのちに警察が来て事情聴取を受けた後、解放された。


しかし、そのせいで外は真っ暗である。


ちなみに電車では帰ることが可能だがもうバスはもうない。

ここから家までなら電車よりバスの方が安い。


そして、現在俺の財布には電車で帰る程のお金はない。


「本当にどうしたもんか・・・・・・」


達也は頭を抱えていると


「お兄さん、先ほどはありがとうございました。」


一緒に事情聴取を受けていた。おばあさんがお礼を言ってきた。


「いえ、おばあさんこそ大丈夫ですか?」


「ええ、あんたのおかげでね。」


「それはよかった。」


「それより、なんかお困りかい?」


「はいそれが・・・・」

俺は、ばあさんに今日は家に帰る方法がなくなったこと伝えた。


「じゃあ、良ければ家に来ないかい?」


「えっ、いいですか?」


「ええ、じいさんはもう逝ってしもうたし、娘も嫁いでしまって、今じゃあ私1人だよ。」


「そうですか・・・では、お言葉に甘えさせてもらいます。」

俺はばあさんの家にお邪魔することにした。


「ここが、おばあさんの家か」

そこは昔ながら木製で作られた瓦建ての家だった。

金城・・・・・


「おっと、忘れていた私は金城 幸恵74歳だよ。」


「えっと、遠藤 達也です。16歳です。」


「あんた、16歳かい?」


「はい」


「いや~、大人びているからてっきり大学生かと思ったよ。」

幸恵さんは笑いながら言う。


それは俺があんに老け顔って言いたいのだろうか。

確かに時々俺は年上と間違われることがあった。


でも、まさか初対面のお婆さんから言われるとは・・・・

達也は内面でショックを受けていた。



「達也君はこの街の子ではないだろう」


「はい、そうですね・・・東京からやってきました。」


「東京かい、そりゃまた遠いとこからご苦労さん。玄関で話すもなんだし。ささ、入ってくれ」


「はい、お邪魔します。」




「達也君、ご飯は食べたのかい?」


「いえ、まだです。」


「じゃあ、ちょっと待っとき。」


幸恵さんはエプロンを着てキッチンの方へ消えて行った。


しばらく待っていると「出来たよ」と言う声と共に幸恵さんが両手に料理皿を持って台所から出てきた。


メニューは肉じゃがと金平ごぼうとホカホカごはんと熱い味噌汁であった。


「では、いただきます。」

俺は肉じゃがを口に含む。


「おいしい・・・・」

俺は次々に箸を動かし口に運ぶ。


「おっ、さすがに若い子は良い食べぷりだね。」


幸恵さんのご飯を食べていると何か忘れていた何かを思い出しそうになる。

でも、思い出すことが出来ない。まるで、パズルの1ピースがそろわない感じだ。


気づけば、幸恵さんが作ってくれた料理は空っぽになっていた。


「おいしかったです。ありがとうございました。」


「どういたしまして。それより、達也君はなんで1人でこの街に来ていたのさ?」


「えっと、それは・・・・・・」


「言えない事かい?」


「そうですね。言いたくないと言うほどではないんですが・・・・」


「もし、よければ聞かせてくれるかい?」


「・・・・・はい、いいですよ。えっと少し長いですが良いですか?」


「大丈夫だよ。」


達也は幸恵さんに大体のことは話した。


自分の母親が浮気してどこかに行ってしまったこと、そして、父親も死んでしまって今は兄弟2人だけだと言うこと、妹は優秀で自分が平凡で妹からもその他の者達も馬鹿にされてきた人生のこと、叔母が優秀な妹と一緒に暮らすのはいいが自分はいらないと言ったこと、だから新天地でやり直して生きていこうと決めたこと。


もちろん、自分が異世界で生活したことや自分の周囲の関係は話していない。話したのは親族や自分の周りことだけである。


自分も思い出しながらの話ではあったがため、いろいろ抜けているところもあって正確に伝えれたか分からない。

それでも幸恵さんは俺の話をしっかりと聞いた後、涙を流しながら「大変だったね」と言ってくれた。


それを聞いて瞬間、俺は心にほんわかした。

もしかしたら同情なのかもしれない。でも嬉しかった。俺の話をこんなに真剣に聞いてくれるなんて・・・・・・


「達也君、君これから住むとこはあるのかい?」


「はい、いちよう住む場所は決まりました。」


「いつからだい?」


「金曜日から暮らせるようです。」


「それまでは?」


「すいません、考えていません。」


「じゃあ、それまで家にいなさい。」


「えっ、でもさすがにそこまで迷惑をかけるのは・・・」


「そんなわけあるかい。それに私の子供たちもみんな社会人になってこの家は1人は少しさびしかったんだよ。だから、ちょうどいいさね。」


「ありがとうございます。」


こんな人もいるんだ・・・・

達也は初めてであった。

こんなにも自分のことを心配してくれる人がいるなんて・・・・・・

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