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現実を知った俺は異世界での経験で独り立ちをする  作者: ホットパイ
現実と別れ
6/9

達也!あんた翔太に何をしたの!

俺は2年間異世界で生活をしてきた。

異世界と言えば魔法だ。

しかし、期待は裏切られた。


たしかにあっちの世界には魔法があった。

でも、何をやっても平凡以下な俺には才能がなかった。

しかし、そんな俺でも1つだけ使える魔法があった。


治癒魔法。それが俺が唯一使える魔法だった。

だからと言って誰よりもその魔法が使えたわけではなかった。

それでも、俺は自分の才能の限界まで治癒魔法を使えるようになった。

その結果、骨折程度の傷は治せるようになった。


でも、それは俺の才能の限界であって一流の治癒魔導師なら体の欠損部分まで治すことが出来る。


しかし、そんな俺の治癒魔法でもあっちの世界では大変助かった。

治癒魔法は病気までは治すことが出来ない。


でも、傷は治せる。たとえ精神的なものでも。


だから、あの拷・・・・お仕置きには役に立った。


傷は癒せるし、最後には治癒魔法をかけてやれば精神的もばっちりである。

もちろん、俺の才能では完全に精神面を治すことが出来ないので結果として・・・・・


俺は教室に入るとき井上翔太と鉢合わせた。


「はぁ、はぁ」


井上翔太は達也を見るなりすごく息を荒げ冷や汗をかいている


「どうしたの翔太?大丈夫」


井上の隣にいる美波が翔太を心配する。


「ああ、悪いちょっと保健室行ってくるわ・・・・」


そう言って井上は廊下をふら付きながら歩いていく。


こういうふうに、精神の傷の原因の出来事を忘れることで一時的に治すことが出来るが原因で出来たトラウマまでは消えないものになる。


まぁ、結果から見たらこっちの方がいいのかもしれない。

もうあいつらは悪さをすることが出来ない。いや、出来ないようにトラウマを作った。


だから、やろうとしても心のどこかでトラウマが蘇り体が震えると思う。

なんせ、俺を見ただけであれだ。たぶん、間違いなくそうなるだろう。


さーて、何故俺がこんなことをやったか気になる人もいるだろう。

俺の編入試験は土曜日である。それなのにあいつらは俺の邪魔ばかりする。

これ以上邪魔されるのも面倒であるからやったのも最大の理由だ。


そして、最大ではない理由が「巣立つ鳥は跡を濁さず」と言うではないか、だから争いの種になりそうな連中が固まったあの時にその種をなくすためにした。

ああ~本当に平和って良いよな!






―――――――――――――――――――――

美波視点



今朝から翔太達の様子もおかしい。

教室に入ろうとしたら急に過呼吸になり、翔太はすごい汗をかいていて保健室の方に走って行った。

それにならって他の2人も青い顔をしてどこかに出て行った。


私も最初は本当に体の具合が悪いだけなのだと思っていて、翔太の後を追いかけた。

翔太はすぐに追いついた。

なぜなら、翔太は廊下の最初の角を曲がったすぐのところでうずくまっていたからだ。


「ごめんなさい、ごめんなさい・・・・」

翔太は何か小さな声で呟きながら両手で頭を押さえながら全身を震わせていた。


「どうしたの翔太!」

私は翔太の肩に手を置き聞いてみるが何も反応がなく。

ただただ震えていた。

何で急にこうなったのだ?

登校しているときは普通だったのに・・・・・


しかし、教室に入った途端に1,2秒固まった後、すぐに逃げ出しこうなってしまった。


「そう言えば・・・・・・」

美波は数分前のことを思い返す。


「あの時、翔太の目線は誰かに集中していたような??・・・・・・・・・」


私はさらに思い出そうとこめかみに親指を当て考える。


「そうだ、あいつだ!。」

翔太は私が1番知っている奴を見ていた。

そう、遠藤 達也

翔太はあいつを見た瞬間おかしくなった。


私は翔太を保健室に連れて行った後、教室に戻った。

その頃には1時間目が始まっていたが事情を説明したら遅刻にはならなかった。


キンコーンカンコーン、キンコーンカンコーン

チャイムが鳴り1時間目が終わった後、私は早速、達也の席に向かった



「ちょっと、達也来て頂戴!」

私は達也の返事を待たず翔太の腕を掴み廊下に出る。

私はこの時間誰もいない屋上に達也を連れて行く。


「達也!あんた翔太に何をしたの!」

私の大きな声で言うが達也は何も驚かず真顔のまま私を見る。


「何かとは?」

「とぼけないで。翔太があんたを見た瞬間おかしくなったのよ」

「だから、原因は俺にあると?」

「そうよ!」

「本人には聞いたのか?」

達也は落ち着いた様子で美波から背を向けフェンスの方に歩きながら言う。


「いや聞いてないけど・・・・・」


私もそうしようとした。でも翔太はずっと震えていて聞ける状況ではなかった。


『なら、俺に聞かずに本人に聞けばいいだろう?』

「そうだけど・・・・・」

達也はフェンスを片手で掴みながらずっと校舎の外を見ている。

「・・・・・・・・」


私達の沈黙が続いたあとキンコーンカンコーンとチャイムが鳴る。


「もう予冷だな。じゃあ、俺は教室戻るから。」

そう言って達也は屋上を出て行った。

私は達也と一緒に教室に帰ろうとは思わなかった。


なぜか、達也の校舎の外を見る姿がどうして脳裏から離れない。

まるで、達也がこの場から消えてしまいそうな気がした。


「はぁ、私も戻らないと!」

私は全力疾走で教室に戻り何とか2時間目に間に合った。




―――――――――――――――――――

達也視点



達也は学校から帰りしだい早速自分の部屋に戻り勉強をする。


「ここ・・・・・」

俺は教科書とノートを見ながら睨めっこする。


「だぁ~クソわかんね~~」

もともと勉強ができる方ではなかった達也には2年のブランクはデカかった。


「あと2日しかないのに・・・・・」

達也は壁に刺さっているカレンダーを見た。


「はぁ~誰か教えてくれる人は居ねえかな・・・・・」

達也は頭に腕を組み足で椅子を回しながら考える。


「あ、確か小春って勉強できたよな」

早速、聞きに行くか。



「嫌よ、何であんたに勉強なんか教えないといけないのよ。」

結果は惨敗だった。


「そうか・・・・」

達也はすぐに諦め次の方法を考える。


「てか、テストの時期はではないのに、なんで急に勉強を熱心にするようになったのよ?」

小春は学校の宿題をしていたので、背を向けたまま達也に聞く。


「ああ、土曜日に試験があるんだ」

「へえ~ってか、土曜日?明日じゃない。大丈夫なの?」

「だから、教えてもらおうと部屋を訪ねたのだけど」

「はぁ~分かったわ。少しだけ見てあげる。」


それから10分くらい教えてもらっていると


「それで、あんた何の試験を受けるの?」


プルルルーーーー


達也は「編入試験」と言おうとする前に電話がかかってきた。

達也は机の上のスマホの画面を見ると叔母さんと言う文字が出ていた。


「悪い、ちょっと待ってくれ」

「あ、うん」


「はい、達也君かしら?」

「はい、そうですけど叔母さん」



「一昨日電話してくれたこと本当なの?」

「ええ」


俺は一昨日の時にメールで叔母に自分はいいので小春だけでも引き取って欲しいと頼んだのである。

「あなたはどうするの?」

「めずらしいですね。あなたが俺のことを心配してくれるなんて。」


「それは、書籍上、私達があなた達を引き取っていることになっているのだから。」


「その点では心配いりません。自分で1人暮らししますから」


「何を言っているのよ!1人暮らしなんてお金が掛かるだけじゃない!」


「安心してください。お金はいりません。まぁ、行く当てが付いたと思ってください。」


「まぁ、それならいいんだけど。」

「では、その話は小春にも伝えときます。」

「ええ、お願いするわ。」

「はい、では。」


達也は電話を切りポケットにしまう。

「誰からの電話だったの?」

「叔母さんから一緒に暮らさないかって」

「それで、どうしたの?」

「オッケーを出した。あっちもお金がキツイらしく。このマンションの家賃でも苦しいらしいからな。あまり迷惑はかけられないだろう?」


「うん、そうだね。じゃあ、学校は?まさか転校?」

小春はおずおずと質問をする。


「それは大丈夫だ。叔母さんたちも先月転勤してこの町に住んでいるらしい。だから、転校する必要はなんだって。」

「そうなんだ。」


小春は胸に手を置き一安心する。

「じゃあ、いつ頃に引っ越すの?」

「それはお前が叔母さんと相談しとけよ。」

「オッケー分かった。」


小春もうすうす気が付いていたのか。

ずいぶんと冷静であった。


いや、もしかしていたら叔母さんから聞いていたのかもな・・・・・


「じゃあ、俺も部屋戻るから。お前も少しは引っ越す準備はしとけよ。」

達也はそれだけ伝えて小春の部屋を出た。




―――――――――――――――――

小春視点


「ああ、結局聞くの忘れたな~。」


小春は達也が何の試験を受けるのか聞き忘れてしまった。


「まぁ、いいか~」


小春は自分の宿題に再度取り掛かるのであった。

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