わかってたんだ・・・・・
誤字やおかしな文がたくさんが出てくると思いますが宜しくお願いします!
世の中には自分が悪くなくても理不尽な目に合う人間がいる。
「今日はこのぐらいにしておいてやるよ」
そう言って財布からお札を抜いてから、空の財布を持ち主に投げつける。
強者いつも弱者から何かを奪っていく・・・・・
「今日みたいにお仕置きされたくなかったら、さっさと妹を連れてこいよ?」
校舎裏でクラスメイトの不良共に散々殴られてぼろ雑巾のようにされ、さらには金も奪っていくそう上に俺からこれ以上何を奪っていくつもりだよマジで・・・
「なぁ、いい加減こいつらの願い叶えてやれよ。てめえ、なんて虫けら同然なんだから、俺らの言うことを聞いてとけばいいんだよ。」
そんな不良共の中でもひときわ身長が高く、容姿が優れているリーダー格の奴が前に出てきて言う。
そいつはクラスメイトの井上翔太。
容姿も良く、運動神経抜群の彼は学校でも有名である。
「ただでさえお前はムカつくんだよ。単なる幼馴染の分際で俺の美波と付き合っていたんだってな。しかも、スゲ~可愛いい妹がいるんだって?どう考えても分不相応がろうがよ。」
井上翔太の言葉と共に自分の頭を踏まれる。
周りにいる連中の笑い声が倒れ靴で踏まれている自分の耳に届く。
「いいか、お前の妹をここに連れて来い。さもないとこれもずっとお前を殴り続けるからな!」
そう言ってケラケラ笑いながら「このあとこの金でゲーセン行くか?」などを話ながら翔太達は不良共は俺から遠ざかって行った。
俺はしばらく校舎裏で休んだ後、のろのろと立ち上がり帰路を歩く。
俺には同じ歳の妹がいる。もちろん血はちゃんとつながっている俺が4月生まれで妹が3月生まれなだけである。
妹の名前は遠藤 小春。
彼女は俺がいるのはありふれた普通の高校でなく、県でも名が高い進学校に通っている。
また、容姿は俺みたいな平凡な顔ではなく、本当に兄弟か?と思うくらい顔が整っている。
そう上、スポーツ万能、成績優秀の優等生である。
その噂は、妹の学校だけでなく周辺にある俺の高校まで噂されるレベルだ。
そんな優秀な妹に対して俺は特別何かが出来るわけでもない。すべてが並みかそれ以下である。
俺がのろのろと帰っていると分かれ道から一組のカップルが仲良く帰宅しているのに遭遇してしまう。
「翔太~今日うちの人いないから家に寄ってこない?」
「いいね~」
その2人は腕を組みながらイチャついている。
すると、2人は俺が見ていることに気が付いたようで・・・
「・・・・チッ、まだいたのかよ。目障りだぜ。」
カップルの男、翔太が俺の顔を見て顔をしかめる。
「はぁ~てっかあんた、ちゃんとした格好しなさいよ。いつもだらしなくて・・・・小春ちゃんが恥をかくでしょ!」
俺の着ている汚れた制服を見て蔑んだ目で見てくる夏川美波。
彼女は俺が住んでいるマンションの隣に住む幼馴染であり、以前はよく遊んでいた。
1年前まで付き合っていたが、一方的に振られ、現在は翔太と付き合っている。
確か高校に入ったころからかな?井上翔太が美波にことが気になり惹かれ始めた、また美波本人も翔太に惹かれて行った。
美波は日に日に俺への態度が変わって行き最後には「他に好きな人が出来たから、あなたとこれ以上付き合えないから、別れましょ。」と言われ一方的に振られた。
「もっと優しくしてやれよ。以前はこいつと付き合っていたのだろう?」
裏ではもっとも俺のことを馬鹿にするくせに美波の前ではいつもこの態度だ。
少しでも格好よく見せたいのだろう。もちろん、美波も翔太が放課後していることなんて知っているだろう。けれども、彼女はそれを傍観する。
「止めてよ。そんなの子供の頃の延長みたいなものよ。大きくなって世界が広がれば、こんな平凡な男なんてつまらないだけよ。」
これ見ようがしに翔太の腕に巻きつく美波
「そうだな。てっか、いつまで見てんだよ。さっさ消えろよ!」
翔太の威嚇した声を発すると俺はすぐにその場から背を向けて走った。
そんなみじめな背中を見て美波はニヤニヤと笑っていた。
―――――――――――――――
俺の家族は妹と俺の2人だけである。
母親は浮気をして親父を捨て、知らない男と一緒に家を出て行った。
それでも親父は挫けずに頑張って俺達兄弟を育てた。
しかし、俺が中学2年の頃に交通事故で死んでしまった。
親父が残したお金と生命保険からもらえるお金、そして、僅かに貰える国からの補助金をやりくいして今の生活をしている。
もちろん、俺は高校になってからすぐにアルバイトを始めている。
生活費は仕方ないとして自分の小遣いは自分で働いて稼がないといけない。
妹の小春は進学校で勉強が忙しくアルバイトをしている時間がないのでその分俺が小春の小遣い分も働いている。
俺はアルバイトのフャミレスに通ってから自分の家に帰る。
その頃には空には太陽がなく星だけが輝いている。
しかし、俺にはそんな綺麗な夜空を見る余裕などなく、疲れた体に鞭を打って帰宅の道を歩く。
「ただいま」
家に帰ると玄関には俺以外の靴があった。
もう帰ってきているんだな・・・・・
俺は自分の部屋に戻らずそのままリビングを通り、キッチンに向かう。
俺が冷蔵庫を開けて今日の献立を考えていると、階段を下りてくる足音が聞こえた。
「あ、帰って来てたんだ。」
声の主は綺麗な黒髪をポニーテルにしている美少女こと小春であった。
「お腹すいたからさっさとなんか作って。」
そう言いながらリビングにあるソファーに座りテレビをつける。
この家では家事はすべて俺がやっている。
妹の小春はケラケラ笑いながらテレビを見ている。
俺はその間に晩御飯を作る。
いつものことだ。
「出来たぞ」
そう言ってテーブンに料理を並べる。
俺は手を合わせて「いただきます」と言ってから食べる。
小春は関係なしにすでに晩御飯を食べている。
食べ終わると
ソファーに戻りまたテレビを見ながらスマホをいじる。
俺は小春の分の食器と自分の食器を合わせて台所に持って行って洗う。
これもいつものことである。
「そうだ、あとでこれ返しに行っておいて」
小春はそう言ってテーブルにレンタルDVDを置いて自分の部屋に戻って行った。
俺は洗い物が終わったあとでテーブルのレンタルDVDを持ち玄関に向かって靴を履き替え外に出る。
俺は妹の小春のことが好きだ。
もちろん異性としてではない。家族として
妹の噂を聞くだけで鼻が高いし、口では言わないけど心ではきっといつも俺に感謝しているものだと思う。俺はそれだけでどんなことにでも頑張れる。
こんな俺は世間で言うシスコンというものなんだろうか・・・・・・
ご飯は小春の健康を考えた献立にしてアルバイトで稼いでいるお金のほとんどを小春に回している。
それが俺が妹に送れる最大の愛だ!
そして、今日のことだって小春が外がこんなにも暗くなってから外出するのは危ないから代わりにこれを返しに行くだけだ。
けしって、妹の言われたからではない!自分からだ! はぁ・・・・・・・
俺は手に持っているDVDを見て無意識に溜息が出た。その時、自分の心のどこかでもやっとしたものを感じたが気が付かないようにした。
俺はDVDを返し終わって玄関に入る。
「ただいま」
「おかえり、今靴はいるよね?そのままコンビニでアイスとジュースを買ってきて」
小春は顔だけをリビングから出し言う。
「わかったよ」
俺はもう1度外に出る。
「久しぶりに聞いたな」
小春の口から聞いた「おかえり。」の言葉が俺の脳で何度も再生され、俺は嬉しい気分でコンビニに向かった。
―――――――――――――――――
認めよう、俺はシスコンだ。
もちろんシスコンとはいえ恋愛をしての意味で好きではない。
しかし、それでも俺はシスコンだと思う。
どんなに不良共にやられようが幼馴染の女の子に馬鹿にされようが、俺は絶対に妹を売るようなことはしない。
だって家族だから・・・・・・
俺はいつも通り校舎裏で散々殴られたられた後、帰宅する。
今日はアルバイトがない日だ。いつもより早く家に帰ってこれる。
帰り道の途中で小春の後ろ姿を見つけた。
小春以外にも2人の女の子がいる。
3人は楽しそうに話しながら歩いている。
俺はそれを見て安心する。
あっちの高校でも上手くやっているんだな・・・
小春達はだんだんと近づいてくる。
俺は慌てて脇道に隠れた。
すると彼女たちの会話の声が聞こえてくる。
「小春って兄弟いるの?」
「それ私も気になる」
「居るっちゃいるけど」
「なんであいまいな言い方なの?」
「それで上下どっち?」
「上かな」
「じゃあ、お姉さん?お兄さん?」
「でも小春の家族なんだから兄さんでもお姉さんでも絶対美形だよね」
「だね~~」
小春はくすりと笑い。
「写真あるけど見る?」
「「見る!」」
小春はケータイを取り出し2人に見せる。
「これが小春の兄さん?・・・・」
「なんか平凡と言うか全然似てないね・・・」
「それで、この人ってどんな感じの人なの?」
「う~ん、あれは兄弟というより私のパシリみたいな感じかな?」
えっ・・・・・・・・・・
「パシリって小春もひどいこと言うね~」
「実際、一緒に暮らしていてもマジでキモいだけだもん。ていうか、マジで消えてほしいww。」
「さすがにそれは可哀そうでしょww」
「いいの、いいの。」
「でも、確かにそれはねwww」
3人は笑っている声が俺の耳に聞こえる。
俺は何も考えれなくなってその場から逃げ出した。
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分かっていた。分かっていたんだ。
小春が俺に感謝なんか向けていないことも家族として見られていないことも知っていた。
でも、俺はその現実から必死に逃げていた。
でも気が付かされた。
俺にとって大切な家族は、小春にとってはただのパシリでいない方がいい存在に過ぎないことを・・・・
自分はこの世の誰からも愛させてもなく、必要ともされていないことを・・・・・
俺は無我夢中で走り続けた。
瞳から涙がこぼれるが気にしなかった。
止まってしまったら、自分と言う存在が消えてしまいそうな気がした。
疲れ果てたときには俺は知らない公園にいた。
時間が結構立ったのか外はもう真っ暗である。
「はぁ~なんで俺ばかりこんな目に・・・・・・」
もういいや、疲れたや・・・・・
俺はそのままベンチに寝転がり目をつむった。
そして、遠藤 達也と言う存在はこの世界から消えた。