97話
なんやかんやあって、あり過ぎてスルーしてしまっていたけど、だんごちゃんはボクっ娘だった!背中を流してやろうと一緒に入ろうとしたら女の子でした。ハナのジト目に言い訳するのに小一時間もかかりましたよ…トホホ。
「そういえばエミリーさんが渡り鳥を獲りに行くって言ってました。どんな料理にしたらいいと思いますか?」
ナターシャは、耕ちゃんやイシカワさんから教えてもらったり、見て盗んだコツや技術で凄く前向きになった。
「渡り鳥ならロースをハーブを使って蒸すのは試したいかなぁ。皮と肉の間に脂が沢山付いてるから、厚めに切って、醤油ベースの少し甘いソースか果物のソースで食べると美味しいんだよね。これにはマスタードが合うよ」
「お、美味しそうですね」
リビングにいた面々が生唾を飲み込む音が艶めかしかった。
「チコリ、寂しがってないかニャ」
「大丈夫だろ。てか、フクが寂しがってるんじゃないのか?んー?」
「寂しいのニャ」
珍しく素直だ。
「行きたいの?」
「行きたいニャ」
「行くか?」
「行くニャ」
「ん?」
周りがこちらをチラチラ見ている。
「皆で行くか?」
こうして、半ば強制的にあっちに行く事になった。
「お、兄ちゃん、また来たのか…って、えっ?今度は誰なんだよ!」
すまんの、サラは知ってるだろ。
「サラちゃんは知ってるよ…うわぁ、ブロンド美人って耳!耳!」
エルフだよ、本当にいるんだよ。
「ちっこくて…って、耳!耳!」
フクはお前も東京に遊びに来た時会ってるだろ。
「うわぁ、黒髪美女!」
リリィに惚れるなよ。
「この人は…あれ?どこかで会った事あったっけ?」
「ひ、人違いじゃないかしら?」
「何焦ってんだ、ラム。ほら、皆も靴を脱いで上がった上がった」
茶の間に上がらせると畳が珍しいのかフクがゴロゴロしだした。それにマサが猫パンチしだして、それをチコリが真似をする。
「寝っ転がると気持ちいいだろ?」
僕も久しぶりに寝っ転がると、皆も真似して横になった。
「畳…持って帰るか?」
雨が止み、草いきれが凄い午後、ようやく家族が戻って来た。
「…!大五郎!大五郎だぁんろ!まんずおがってしまったなゃ」
「婆ちゃん…ただいま」
やはりこの世界が一番好きだ。
思いっきり風邪をぶり返してしまいました…咳が止まらなくて辛い…薬もあまり効かないし……。




