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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第六章 特異点「立ち飲みチコリ」
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65/230

65話

 立ち飲みチコリは一日の休みをおいて営業を再開した。一日休んだだけで口開け前の列が尋常ではなかった。その列を見ているとあのアンバーがここまできたかと感慨深いのだった。


 隣の空き店舗の壁が取り壊され、一日でこちらの店舗と繋がった。壁を背にして調理をしていたのがなくなって、グルリとカウンターで囲まれた。王様が気張って世界樹の一枚板カウンターを設置してくれたらしく、そこで飲むと悪酔いしないとか。


「はい、ナターシャに新しい包丁のお土産」

 出刃包丁と三徳包丁を渡す。


「これからは魚を切る機会も増えると思うから、その時はこっちの出刃包丁ね」

 鍛冶の技術的にも高い包丁に感激しつつ、仕込みにも力が入る。


 あれやこれや買ってきた調理器具などはこっちにはないものなので、今後は効率よく調理できるんじゃないだろうか。特にゴム手袋、ラップとタッパーは便利らしい。



「んぅ?」

 出勤してきたチコリの目にとまったのは台車だった。おもむろに乗って、こっちを見上げる。


「それは荷物を運ぶ道具なんだけと…チコリ号にしてあげるよ。ほらっ」


『ガラガラガラガラガラガラ…』

 ただ歩きながら押しているだけなので速くはないけど楽しいみたいだ。道行く人達に手を振っている。

 チコリは可愛いのだ。


 ついでなのでいつもは行かない地区にも行ってみる。

 通りから小路に入り、クネクネと曲がっては更に進んでいく。途中の空き地で猫の集会を見た。チコリは台車を降りて猫達に近づいていく。


「んー!」

 見た目エノコログサを束にして抱え上げる。

 とたんにワラワラと集まってくる猫達。そしてもみくちゃ。


「脱出〜」

 猫達の海からチコリを抱き上げて台車に乗せる。

 何故かついてくる猫達。チコリは猫リーダーになった!


「猫使いだな、チコリは」

 ついてくるものは拒まない。更に街中を走るコースを取る。

 教会もあるんだなぁ。隣には孤児院かな?小さな子供達が遊んでいるのが見える。チコリのどう年代の遊び相手はフクしかいない。ここに遊びに来るのは駄目なのかしら。

 ガラガラガラガラ進んでいく。


 街の外れにはスラム街もあるみたいだな。

 チコリには似合わない場所だからUターンだな。


 そうこうしていると、リリィとケイティが所属するギルド前に来たら、僕らを見かけた職員が慌てて飛び出してきた。


「ケンジさんですよね!」


「はい、ケンジですけどどうかしましたか?」


「承っていた猫人族一家への連絡の件ですが、土壇場でつきませんでした。 職員が家に伺ってもどなたもいらっしゃらなかったようです」


「誰もいなかった?一体どうしたんだろう…後で当人に聞いてみますね」

 ベニちゃんがいなくなったのに旅行に行ったりする訳ないしな。事件に巻き込まれたとかじゃなければいいんだけど。


 ガラガラ台車の旅は終わりだ。

 ギルドを後にしてチコリと二人、早々と店に戻って報告せねば。




「と、いう訳でフクの一家は留守だったそうなんだけど…」


「心配だニャ…」

 耳をペタンと伏せて、いつもの笑顔がなくなっている。そんなフクについてきた猫達がワラワラと群がる。ペロペロと顔をなめる猫達。


「にゃんこ達、元気づけてくれてありがとニャ」


 しかし、この猫達どうすんだ。





「………ん?ここはどこだ……」

激務期間なのでこんな時間の更新です。

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