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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十二章 侵略
198/230

198話

「ワシからもケンジにお祝いを申し上げる。そうだ、グリーンカードを進呈しよう。バカンスは是非とも我が国へ」


 本国では新たに大統領選が始まろうとしていますよー!

 グリーンカードもきっと発行されませんよね。


「マクダウェル大統領……国には帰らないんですか?」


「帰っても大統領は続けられないしな。それに、ここのファンタジーな生活が気に入ってしまったのだよ。腕時計とカフスボタンを売ったら、結構な金額になったからな。ワシも店を出す事にした。その名も『マクダウェルバーガー』だっ!」


 ハンバーガーショップですか。確かに目の付け所はいいかも知れないなぁ。ハンバーグはつくねの延長線上にあるから、すぐに受け入れられるだろうし。パンは前から食べてるしね。


「とりあえずは立ち飲みチコリの隣に出品する事にした。来週からはライバルだな。今日はうちで出す予定のハンバーガーを差し入れにやって来たんだ」


 フクとチコリが、口の周りをソースでベタベタにしながらかぶりついている。それを猫ちゃんずが生唾を飲み込みながら見ているし。彼女らには少し大きいかな。


「ありがとうございます、大統領」


 こうして、この世界にもジャンクフードが流通し始めてしまった。見た目と同じに高カロリー。しかも、ライトなビールまで持ち込んできやがった。

 こうしてハンバーガーは一気に広まり、立ち飲みチコリの支店横に次々と出店していくマクダウェルバーガー。どっかの弁当屋みたいな戦略だな……。




「ケンジ……飲んでる?」


「飲んでないよー。挨拶ばかりしてるし、それに、皆のキレイな姿を写真におさめておきたいしね」


「ふふっ、それじゃあ、後でゆっくり飲みましょ? 黒ポッピーも持ってきてるから」


「黒ポッピー?」


「初めて隣りに座った時、ケンジが飲んでたのが黒ポッピーだったから」


「よく覚えてたなぁ」


「あー、何二人でイチャイチャしてるのよぅ〜」


 ラムといい雰囲気になっていたら、どこからともなくリリィが割って入ってきて、反対側の腕に抱き付いたのだった。


「猫ちゃんずもウズウズしてるくらいなら来なさい」


「「「「「ニャー!」」」」」


 せっかくの衣装もしわくちゃだが、人生で今が一番しあわせだよ。あーあ、爪も立てられちゃって、買い取りだなこれ。






 アンバーの人達はこんなにも祭り好きだったのか……。

 三日間夜通しの祭りが終わり、色々と片付け終わったのは四日目の夜だった。


「お疲れ様でした……従業員の皆さんは、特別ボーナスをもらったら帰って休んで下さい。明日、明後日と店は休みにします。それと、奥さん達は疲れていると思うけど、明日は日本でも結婚披露宴がありますので、準備だけはしておいてね」


「ニャー……凄いハードスケジュールなのニャ」


 フクが膝を付いて脱力中だ。


「それにな、ナターシャと大将の結婚式も明後日行われるんだよ。そっちは瞳子が仕切ってるみたいだから、今回の祭りにも来ていなかっただろ?」


「そういえば見かけなかったのニャ」


「何だか楽しそうだな」


「うわっ! 大統領! なんでいるんですか!」


「ワシも日本に行ってみたいのだ」


 こうして、マクダウェルバーガーの日本進出一号店は、山形の田舎に出店されたのだった。

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