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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十二章 侵略
197/230

197話

「サラの家族は来なかったね……」


「私は知らせてませんから」


 笑顔でそう答えられても、どうしていいか分からないよ。


「健在……なんだよね?」


「はい。ただ……家出同然で飛び出してきたので……顔を見せたと思ったら、結婚しますというのは……」


 確かにそれはそうなんだけど、いずれ挨拶に行くなら、早い方がいい訳で。


「けっこん、けっこん、けっこんニャ〜」


 フクとチコリがけっこんの歌を歌いながらクルクル回っている。更にそれを見ていた猫ちゃんずがウズウズとしている。ちなみにこの子達もしっかりとウェディングドレスだ。


「アンタがロリコンだったなんてね」


「母ちゃん、それはないよ……」


「だって、あの子達とも結婚するんだろ?」


「猫から好かれたら結婚するしかないだろ? そんなの当然じゃん」


 ため息をついて苦笑いの母ちゃんと、隣で笑っている親父(おやじ)。猫のままの姿を何匹も侍らせて、コイツら俺の女房、とか言わないだけマシだろうが!


「いいよなぁ、兄貴はモテて」


「すまんな、リリィも覚醒したらまた俺に惚れちゃったし」


「くぅ……思い出すからリリィの事は言わないでくれよ。俺も王都に支店を出そうかな……ブツブツ…………」


 アンバーは冒険者や商人は増えたけど、比率は男性が多いしねぇ。家族で越してきても、女の子だもんねぇ。普通は範疇外だし。冒険者の女性は筋肉ムキムキが多いから、好みが分かれるし。


「お前、エルフがいいんだろ?」


「なっ! 何言ってんだ! トラウマだっての!」


 んな事言っても、どっかの島の冒険奇譚に出てくるエルフのポスターを部屋に貼っていただろうに。


「それじゃあ、そろそろいいですかな?」


 結婚式は俺ららしく、修道院でやる事になった。すぐにパーティーができるし、できたてのエールも飲み放題だしね。






 ここの結婚式は簡素で助かった。

 誓いの言葉を言う必要もないし、大勢の前でキスもしなくていい。

 但し、新郎はその職業に準じた事を皆の前で披露し、新婦を大事にするという宣言をしなければならなかった。

 俺の場合は酒場で働いているという事で、大ジョッキに注がれたエールを飲み干して、そのジョッキを掲げさせられた。


「俺様光臨〜」


「だ、誰?」


「バカ、俺だよ。バッカスだよ」


 は? ザシャじゃないじゃん。


「光臨時は素の姿になるんだよ。さて、そんな事はどうでもいい。ケンジよ、神より祝福を! そして、その伴侶達にも祝福を!」


 眩い光を放って、バッカスは消えていった。その時に、「たまには俺からも酒をおごってやるよ」というセリフを残し、酒樽を山の様に積んで帰っていったのだった。


「うわ……美味っ。何だこの酒……」


 バッカスからの贈り物はとてつもなく美味い酒だった。無色でアルコール度は高くなく、花の様な香りがする。

 その酒を俺と奥さん達で来場者に配り、パーティーはスタートした。

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