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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十二章 侵略
195/230

195話

 あれから一週間が経った。


 エルディンガー二世が大統領を斬るのに使った剣は、国宝の魔剣であった。

 そして、その魔剣は邪なモノだけを斬る事ができたので、斬られた大統領はいけ好かない人から真逆の……とてもいい人になってしまった。


「大統領、凄くいい人になってしまって気持ち悪いニャ。フクの頭を撫でてくるのニャ」


 言葉通り、フクは大統領から頭を撫でられていたけど、何故か満更でもないような表情だ。納得いかない。


「ま、まぁ、いい人になるのはいいけど。急に人が変わって、洗脳でもされたんじゃないかと疑われたりしないか?」


 俺の問にラムは首を横に振る。


「いつもの気まぐれって思われるわよ。それでなくても大統領になってから色々と悪影響が出てるから、とりあえずは歓迎されるんじゃないの? ただ、いい人になったからって、いい大統領になるとは限らないけどね」


「そ、そうか。ところでラム。もう、国の仕事は終わりなのか? そろそろ店の仕事もしてほしいのだけど。ほら、王都店も盛況だし……」


 さくら(だんご)に生き別れの兄たもつ(みりん)が会いに来て、これからどうなるか分からないし。


「……だんご、いや、彼女はさくらって名前だったんだけど、お兄さんが会いに来たから、今後も王都店の店長をやってくれるかは分からないんだよ」


「その辺は安心して。私もサラも今日から復帰するから。それに、助っ人のあてもあるのよね」


 うん?


「それじゃあ、ラムは王都店。サラはトダ村店に行ってもらおうかな。俺は本店の揚げ物の仕込みをしなくちゃ。その後ろの発泡スチロール箱、中身はアジだったろ」


 こうして、大統領は放置プレイで仕込みを始めた。






「あれ? 大統領はどうした?」


「ワシはここにいるが」


「うわっ! まだいたんですか」


 大統領は肩を落として店の隅に座っていた。


「まだいたも何も……連れて来たラム君とサラ君は出かけてしまったし、帰り方も分からんのに……ワシはどうしたらいいんだ。こんな異国で一人……」


「スマホは持っていないんですか? ここ、電波は繋がりますよ」


 上着の内ポケットをあさる大統領。


「……ああ、スマホは禁止されとったんだった………」


「ええ……いい大人なのに?」


「余計な事を呟くからと補佐官から取り上げられたのだ……何もやることがなくなった。ワシもその仕込とやらを手伝おう」


 結局、この大統領は国に帰らずにアンバーに居座る事になった。その結果、大統領が行方不明扱いになり……軍の捜索隊がこの大陸に来たけど、うちの猫耳にヤラれて、メンバー全員がミイラになってしまった。


「店員が増えてよかったじゃない」


とは、ラムの弁だが、イカツイおっさんが増えたので客足が遠のいてしまったんだけど……。











 そして、長らく有耶無耶に先延ばしだった結婚をする事となった。

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