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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十二章 侵略
192/230

192話

 王都からは転移魔法で来たらしいSランクパーティ。パーティ名は『Reviving GoId WoIf』略してRGWは店内に入って来て、断りもなく魔道具で調べ始めたのだ。


「ちょっと、困りますよ!」


 注意すると、マッチョの額傷男が睨んでくる。


「勝手に店の中をいじられると困るんですけど」


「ん? お前、王都の酒場にいた……」


「前に一度お会いしましたね。ここが本店なんですよ。それでですね、これから仕込みをしなきゃならないので、勝手に動き回られると困るんですよ。何か用事があるなら仰って下さい」


 トダ村のダンジョンのおかげで、お客さんはかなり増えてきているので、仕込みの量も半端ではないのだ。


「ここにブラックドラゴンの反応を追ってきた。来たことがあるだろ?」


 また、ブラックドラゴンかよ。その内、そこ名前でカクテルでも売り出そうか。


「ルナですか? この前も来ましたけど、戦うつもりなら止めておいた方が……」


「それはお前には関係ない。情報だけ教えてくれ」


「ルナはブラックドラゴンが人化した少女だけど、今は神と結婚していて俺の実家に住んでるよ」


「神、神だと?」


「邪神かしら」


 金髪グラマーが言う。当たりっちゃー当りかもな。


「酒の神、バッカスですよ」


「アチャー」


 ドワーフのオッサンが額に手を当てるベタなリアクションをすると、リーダーの女性が俺に近付いてきた。顔が近いです。


「な、何か?」


「何故、王都ではブラックドラゴンの事を話してくれなかったのですか?」


「何故って、ルナは友達ですし、それに悪いやつじゃないんですよ。皆さんは悪い(・・)ブラックドラゴンを探してるんじゃないんですか?」


 だって、知り合いを売るような真似ができる訳ないじゃない。長い事生きているんだろうけど、人の姿の時は少女なんだしさぁ。


「ふむ……誤解させている様ですから言っておきます。私達がブラックドラゴンを探しているのは、あるアイテムを探す依頼を受けたからなのです…………失敗してしまいましたけど」


「なるほど、アイテムをね。どんなアイテムなのか聞いても?」


「そうですねぇ、まぁ、いいでしょう。探しているのはオリハルコンとミスリルの指輪です。何でもハイエルフが造った物だとか」


「それがブラックドラゴンと関係があるんですか?」


「ブラックドラゴンはそのリングの持ち主の周りに現れるのです。今までは全て、去った後でした。しかし、ここには真新しい反応があるようです。そのルナさんに会わせてもらうことはできませんでしょうか」


 そう言って、俺の右手を両手で握りしめてきた。それは見た目の麗しさと違い、ゴツゴツとした手だった。

 俺はそこに左手を添えた。


「えっ!」


「はいぃ?」


「そ、それっ! それは?!」


 急に大声を出すので、他のメンバーもこっちへ寄ってくる。


「それは……オリハルコンの指輪!?」


 あー、そういえば嵌めてるのが自然で、すっかり忘れてましたわ。これがあるから異世界でも安全に暮らせていたんだろうな。


「あ、ええ、オリハルコンの指輪ですけど」


「ご主人様ぁ、フクは飽きてきたニャ」


 俺の背後からフクが抱き付いてくる。


「んぁっ!」


「今度は何ですか」


「それっ! それっ! 貴女っ、その指輪は?!」


「俺があげたミスリルの指輪ですけど。この指輪から出てくるんですよ」


「見つけた……フフフ………見つけたわ…………これで失敗が取り戻せるわ!」


「これはあげませんよ?」


「えっ?」


「え、じゃなく。これは俺のですから渡しませんって」


 リーダーの女性は俺の両手を取って、自分の胸に押し付けた。ほほぅ、餅の様ですなぁ。うあっ、フク、引っ掻くなって。腕を噛むな。


「譲って下さい」


「上目遣いされても駄目なものは駄目です」


「そこを何とか」


「んーって、悩んだりもしませんよ! これは大切な思い出がつまった指輪なんですから」


「お姉ちゃん、指輪が欲しいニャ? お向かいの中華酒場に行けばいいのニャ」


「フク、中華酒場に行くとどうなるんだ?」


「ハイエルフの人が飲んでるニャ」


 ん?

 あの人がアンバーに来ているのか?

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