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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十一章 惹かれ合う世界
172/230

172話

 ラストオーダー後に洗い物をして、皆も掃除をしながら徐々にお客さん達もはけていき、店を閉めていつもの様に家に帰って風呂につかり、あとは寝るだけ、ってな感じだったのよ。フクがモソモソとちょっかいを出してきたけど、疲れていたんでいつの間にか眠ってしまったようで。

 起きたらパンツは脱がされてるわ、シーツは汚れまくってるわで、流石に参加した者達を正座させて怒ったんだけど、ラムがノックもしないで瞳子を連れて部屋に入ってきた時はビックリしたよね。小さい子相手に下半身丸出しで説教してんだから。二人にビンタを往復で頂いて、壁に飛んでってぶち当たって失神しちゃいました。




「イタタタた……手加減なしなんだもんなぁ」


「当たり前でしょ! フクちゃん達の暴走であっても、パンツも履かないで何やってんのって話でしょ!」


「側にパンツがなかったんだよ! それに、フクとか猫ちゃんずとかチコリには入んないから」


 今度はグーで思いっ切り殴られました。


「ヒリヒリするわ……しかし、あれだなぁ、日本で働いてる事になってる会社はどーすっかなぁ……もう辞めてもいいよね?」


「そうね、それもいいんじゃない? 」


 そんな時だった、空から懐かしい音が聞こえてきたのだ。


「飛行機のエンジン音?」


 飛行機雲を作りつつ、高度を飛んで行くジェット機が見える。


「何故?」


「街の皆が見あげてるな……こりゃあ、王様も何か言ってくるに違いない。もう、面倒くさい事はないと思ったのになぁ」


 町長になりたての騎士団ノーラさんの元へ、ラムと瞳子を連れ立ってチンクエチェント(フィアット500)で向かう。

 こいつが町中を走っていても子供くらいしか騒がなくなったなぁ。町長宅前に停めると、子供はベタベタと

触ってきたが瞳子は放ったらかしである。


「こんにちはー」


 ドアをノックするとすぐにメイドさんが応対してくれた。うさ耳の獣人メイドさんはバニーガールよりいいかもしれない。

 案内されて部屋に入ると、いつもの甲冑姿ではないノーラさんが待っていた。珍しくワンピース姿だ。


「どうしました? 三人揃ってお出でになるなんて。代わりに町長になる覚悟ができたとか?」


 ノーラさんは町長を俺に代わって欲しいらしく、会う度にこれなんだよなぁ。


「町長なんてやりませんよぅ。柄じゃないですもん。今日はですね、この世界にうちの世界から空を飛ぶ乗り物が迷い込んだようでして……さっき空から大きな音が聞こえませんでしたか? こう、何かゴォォみたいなのが」


「確かに聞こえてきたが……空を飛ぶ乗り物とは一体」


「ノーラさんが着る甲冑の様に金属でできた、とてつもなく大きな羽のある乗り物なんですけどね。燃料大丈夫なのかなぁ……」


「あ、すみません、会社から電話が……」


 瞳子が部屋を出る。


「ケンジ達が異世界から来ているのは一部には知られているが、アンバーでもほとんどの民は知らないんだぞ……大騒ぎにならなければいいが」


「問題は着陸する場所……いや、飛行機に連絡するすべがないのか」


 飛行魔法で誘導っても、機長は驚くだろうなぁ……うーんどうしたものか。


「た、たたたたたた、た!」


「瞳子、どうした」


「大変なんですっ!」


「新聞社が倒産でもしたのか?」


「それだったらまだよかったですよ! ビックリしないで下さいね! この世界とあっちの世界が一つになったみたいです! 地球が大きくなっちゃった……」


 興奮しすぎる瞳子を落ち着かせ、自分のスマホでニュースをチェックしてみた。すると、地球が大きくなって今までの太平洋の場所が広がり、その場所にこの世界の大陸が出現したらしい。なので、飛行機も通常ルートを飛んでいたら知らずに新しい陸地に差しかかったらしい。


「どーすんのよ、これ」


 せっかく新しい酒を造ったのに意味をなさなくなっちゃうじゃん!

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