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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
167/230

167話

「さぁ、行ってらっしゃい」


 行きは母ちゃんの転移魔法でパラレルワールドに転移した。帰りは同行しているラムが連れ帰ってくれる予定だ。

 とにかく、アリスが送り込まれる少し前に飛ぶ事にした。その方が事を進めやすいしね。


 パラレルワールドの俺の家の場所には、やはり俺の家があった。中に入ると猫ちゃんずが出迎えてくれた。


「あれ? ケンジなのニャ? さっき出ていったばかりなのに戻ってきたのかニャ」


「バニラ母ちゃん、このケンジさんはお父さんじゃないの。パラレルワールドのケンジさんなの」


 首を傾げてニャ?ニャ?言ってるけど、理解するのは大変だと思うよ。


「分からないのニャ」


「ケンジの双子の京大とでも思ってくれたらいいよ。さて、ケンジの母ちゃんも助けなきゃならないし、大忙しだぞ。その辺の情報を集めないとな」


「情報はだんご母ちゃんに聞くといいですよ」


 こちらでも召喚勇者だというだんご。彼女が言うにはやはり魔王は弟の賢輔で、母ちゃんが囚われているのは敵の最前線基地らしい。その場所はなんと王城だと言う。城は落されていたのでした。


「作戦を立てなきゃな。俺は攻撃力は皆無だから、なるべくずる賢くコッソリとやりたい」


 こっちの猫ちゃんずはそれぞれがかなりの魔法を使えるようで、攻撃の要になっていた。


「転移魔法で奇襲でもかけますか?」


 猫言葉じゃないだんごだ。


「奇襲かぁ、奴らは肉体を持たない種族だろ? 乗っ取られた人を攻撃するのはなぁ……」


 殺してしまえば精神体は出ていくだけだろうし。そんなの犬死にじゃないか。


「オハラさんもこっちにいるのかな?」


 俺らでしかできないやり方がある。それをバカバカしいと言われるかもしれないけど、死人は出したくないんだから致し方ないよねぇ。


「オハラさんは麻辣(マーラー)居酒屋をやっていて、フクちゃんはそこでお姉さんと働いてますよ」


 こっちのサラが教えてくれたが、彼女はどうやら魔法少女ではないみたいだ。ちくわとささみと言うハリネズミを飼っている。


「オハラさんがいるなら大丈夫だ。これから話しに行ってみるよ」






「それはそれは、とても楽しそうですねぇ。パラレルワールドはよく分かりませんが、ケンジさんは私の知っているケンジさんと何ら変わりませんね。それでは皆で準備を始めましょうか。ふふふ、腕がなりますなぁ」


 オハラさんはいつも黒尽くめで少しO脚なのだが、それが過ごしだけカッコよく見えた。

 準備はすぐに終わったから、この世界でもやることは一つだ。


「とりあえず飲みますか」


 立ち飲みチコリは休業中なので、オハラさんの店で飲んだ。この世界のビールはIPAインディアペールエールだった。既に遠方まで輸出されているそうな。だから、腐りにくいIPAなんだね。修道院も酒造メーカーを別に立ち上げてるみたいだし、俺らも負けてはいられないよね。

 一口飲んだIPAはホップの苦味が効いていて、これからの戦いに緊張感をもたらしてくれているみたいだった。


「ご主人様二号には麻辣串をあげるニャ。ビールに合うニャよ」


「ありがとう、フク」


 中国山椒で凄く辛い串焼きが、IPAにはよく合うんだねこれが。


「ケンジさん、大魔道士ダイゴロウが来ました。話があるそうです」


 大魔道士? ダイゴロウ……。パラレルワールドのダイゴロウはとてつもないオッサンになってんのね。

 串焼きを頬張りながら、ダイゴロウの方へと振り向いた。

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