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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
163/230

163話

「どっと疲れた……」


 チコリを肩車したまま祭りを巡ってみたものの、今回はくじら肉がメインなので、殆どの客がステージと立ち飲みチコリに集中してきていて、戻るのにも人垣を掻き分けてこなければならなくて……店内でまた溜まっていた洗い物をやってけている。


 アリスも手伝いたいと言ってくれたけど、クジラの体内から出てきたばかりなのでマイヤーズさんの店内で休んでもらっている。

 瞳子さんはここぞとばかりに、一眼レフカメラを取り出して祭りの様子を撮影していた。


「瞳子さんはスマホ持ってないの?」


「もちろん持ってますよ。でも、それがどうかしたんですか? 異世界なんですから使えないですよね」


「アンテナ見てみたら?」


「……あれ? 異世界なのに電波を受信してるんですか?」


「何でか知らないけど、気付いたら使えるようになってたんだよね。記者として世間を騒がしたいなら動画でも配信してみたら?」


 瞳子はなるほど、それもありだな、って言いながら動画サイトのアカウントを作成しだしたので、後片付けは参加してくれよと念を押しておいた。


「ん!」


「今度はどうしたんだ?」


 チコリは視力もいいようで、色々発見しては俺に教えてくれる。さっきも流れ星を見つけて教えてくれたし、二人で願い事をしてみたよ。


「おトイレ」


 いそいそとチコリをトイレに連れて行った……。






 結局、村を出る前につかまってしまった。別の姿に変身しておけばよかったけど、少女の姿にハマってしまったのがいけなかった。


「勇者様、是非とも我々の願いを叶えて下さいませ」


 顎髭が仙人みたいな村長に、最近村に来るようになった魔物を退治してほしいと頼まれる事になった。正直、暇から逃げてきたけれども面倒くさい依頼だ。


「魔物ってどんな感じですか?」


「ミノタウロスをご存知か? それの特殊個体という事で、村の家畜を食い荒らしているのです。いつ、我々も食われるか……村には戦闘力のある者はいませんのでの……」


「まぁ、いいですけど。私、無一文なんですよね」


「ははっ、それはもちろん、報酬は差し上げますので」


 街まで無一文なのは辛いので、辛気臭い村ではあるけど少しもらってもバチは当たらないだろうし。


「それじゃ、これから行ってきますよ。報酬を用意しておいて下さい。街まで急いてますんで」


 村長の家から二十分の所によく出るらしいので、とりあえずそこに行ってみますか。




「あー、いたいた。デカイなぁ……」


 ゲームでよくある、キャラクターより大きいモンスター。でも、実際に目の前にしてみろよ、ジャンプしても膝を攻撃できるかどうかだぞ。デカイ剣も、重くてあんなの振り回せる訳ねーだろ!


「まぁ、ビームな(やいば)もチートだけどもっと」


『ザシュっ』


「はい、終わり」


 ビームセイバーを投げたら簡単に突き抜けたなぁ。避ける間もなかったし。だんだん人間離れしてきてる。

 角を持っていけばいいかな。二本共根本で切断して村長の家に戻った。


「それは……ミノタウロスの?」


「死体は置いてきたから処分は任せる。さ、報酬を頂けますか」


 口をパクパクさせている村長を無視して、テーブルに置いてある袋の中を見る。金貨が何枚か入っていたが、大きい貨幣はその辺じゃ使いにくそうだ。銀貨だけを取り出して部屋を後にした。


「さてと、時間を食ったけどお金は手に入ったし、ついでに馬も頂戴しよう」


 さっき見かけて目を付けていた馬に乗り、ムツを目指す。

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