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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
161/230

161話

 目の前の少女は首を傾げているだけだった。

 余りに暇だったので、息抜きの為に外に出てみたら更に違う世界に来たというのか。


「ここの近くに村や町はあるの?」


「ムツって街があるよ」


「歩いてどれ位か分かる?」


「んー、お父さんは朝出かけると昼には着くって」


「朝ってご飯を食べた後にすぐ?」


「うん、そうだよー。お日様が出たら起きるからご飯はそれから一時間後だよ」


 うーん、何時に日の出なのか分からないからなぁ。

 七時くらいには食事をしていたとして、四時間ちょいは歩くのか。二十キロ前後はあるとみていいか。


「ありがとうね」


 バイバイして少女と別れた。

 お金もないし、どうするかと考えていると、ふと目に付いたのが大木を切り倒そうと躍起になっている男だった。


「大変そうですね」


 声をかけるが、少女の姿になっているのでチラッと見ただけで応えてくれない。


「切り倒せばいいですか?」


「……お前なんかにできるものか」


「簡単ですよ」


 懐からビームセイバーを取り出して木の根元を一刀する。更に倒れてくる大木を斬りつけていく。見る見る内に木材へと変わる大木を、男は驚きの目で見ていた。


「なっ、何だそれは……」


 いくら手入れのしてある斧でも、所詮ただの斧ですからねぇ。


「木材サイズにしてみましたけど、これでいいですか?」


「あ、ああ、それでいい」


「……ジーッ」


「な、何だ……」


「別にお礼はいいですよ」


「……ありがとう」


「フフッ」


 この姿だと我ながら演じられるなぁ。癖になりそうで怖い。


「あんた、何者だ? 身なりも立派だし、まさか貴族なのか?」


 この手の世界は身なりが立派だと貴族扱いされるのか。


「私は旅をしているただの平民です。ムツという街まで行くところなのですよ」


「信じられるかっ! 大体何なんだ、その、その光る剣はっ!…………はっ! まさか……まさかだよ………」


 男は急に黙ってしまった。まさか何なんですか。


「まさか、勇者様!? そうなんですね? その光の剣……紅き光の剣を持つ者、魔王を倒しこの世を平和に導く…………こうしちゃいられない、村長に知らさねば!」


「おーい! 自己完結するなー!」


 走っていってしまった。

 勇者様だと? 何言ってんだか。


 んー、面倒くさそうだからムツを目指すか。

 ムツって青森っぽいよなぁ。それとも無手の最強なんかなぁ。


 マモル、探してんだろうなぁ。

 何か怪しい奴だったからまぁいいか。

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