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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
155/230

155話

 賢輔が魔王だ……と?


 そんな事は認めん! ()は弟を奴から開放してみせる!

 リリィに乗り移って色々とやってくれたお返しは、キッチリと返してやるぜぇ。


「アリス、もうアイツの事は言うな。お前が父ちゃんだと言うなら、俺は父ちゃんなんだろう。それで、時空の行き来たが、大五郎なら知ってるな。伝説の王までやってたんだし、血筋だし」


 口開けまではまだ時間があるので、店の中でアリスに話を聞く。何かのスイッチが入ってしまった俺は、アリスを膝の上にのせて頭をなでていた。


「あ、あの……お父さんはお父さんでも、私が生まれる前の……お母さんとも結婚する前のお父さんですし……その、恥ずかしいです」


 あれだけお父さんお父さんと連呼して、女性陣をざわめかせたんだから、これぐらい我慢しなさい。


「俺にこんな可愛い娘ができるとはねぇ。しかし、未来では魔王との戦いでシリアスになってんのかぁ。立ち飲み屋の店員なのにねぇ」


「あれ? お父さんて猫のブリーダーから日本酒造りへ転職したって話してくれたのに」


「猫のブリーダーはやっだことがないなぁ。日本酒造りもアイリスの実家に頼んではいるけど、自分でやる予定もないし」


「え、え! でも、お父さんは杜氏だし……」


 うーん、この娘の父であるケンジは杜氏なのか。これってもしかして。


「パラレルワールドだな。アリスの父親は俺じゃなくて、アリスの世界のケンジなんだ。そうすると……クジラってのはズレてる世界間を行き来できるって事か」


 おもむろにアリスを膝の上から下ろして、椅子に座らせる。コホンと咳払いをして……


「ごめんなさい! 俺じゃなかったな。似てるけどアリスの父親は別のケンジだ。馴れ馴れしくしてごめんなさい」


「謝らなくていいですよ。何か難しいですけど、ここは破壊されたアンバーとは違いますもん。ちらっと見ただけなのに人も凄く多かったし……こんなに食べ物屋さん、なかったもん………」


 アリスはそう言いながら、どんどん小さくなっていく。

 パラレルワールドだと、やはり違いは出てくるようだな。


「困ったね、こっちもこれから魔王と戦おうとしてるんだけど、アリスの世界も助けないといけないよね」


 王様は暫く黙って聞いていたけど、手には既にジョッキが握られていてビールを飲んでいる。


「うむ、アリスとやらが別の世界のケンジの娘、というのは納得できた。しかし、そちらの世界に行くには大五郎でもどうなのだ、無理そうではないのか」


 確かに大五郎でも別世界に行くのはどうなんだろうなぁ。母ちゃんの方が何かしら知ってそうだけど……本家の婆ちゃんもその辺では何かしら知識はあるかも。


「って、神であるバッカスさんはどうにかできるんじゃないの?」


「呼んだか?」


「うおっ! 何でここにいるんだよ」


「飲んでるからに決まっとろーが」


 こちらも右手にはジョッキが握られていて、左手には猪串が食べかけで握られていた。


「ケンジさん、すみません。焼けって凄く言ってくるので焼いてしまいました」


 ナターシャがすまなそうに言うので、大丈夫だよと言って、そのまま皆の賄いをお願いする。今日は凄い人数だからバニラにも手伝ってもらわないと。


「賄いはここにいる全員分をお願いね。出さないとブーイングされそうだから」


「俺も食えるのか。なら、さっきの質問に答えてやろう。別世界に行けるのかと言われれば、行けるし、お前らを送り込む事も可能だぞ。チャチャッとあっちの魔王をやってくるか?」


 簡単に言ってくれちゃって。なら、こっちもどうにかして欲しいよ。


「なら、こっちの…」

「それは無理だ。担当世界の魔王には干渉できない決まりがある」


 何だよそれ。


「アリス、とりあえず安心してくれ。明日になったら皆でそっちの魔王をやっつけるから」

改定作業は51話まで完了しました。

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