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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
154/230

154話

「その気になったー!」


 瞳子(とうこ)さんがもらってきたクジラの子供を、一番好きな立ち飲み屋の耕ちゃんが捌いたら、中から少女が出てきてこんにちは。

 少女は『葉山アリス』と名乗り、僕とアイリスを両親だと言う。更にここアンバーは壊滅したと。


「アリスさんを着替えさせてもらっていいかな」


 何せ胃液か何かでベトベトヌルヌルなのだ。


「お母さん達に着替えさせてもらうのって久しぶり!」


 そうか、皆とも結婚する事になるのか。この辺、いつもモヤモヤしていたんだよね。

 フクとかアイリスなんかは分かりやすいけど、ラムとかサラは時々デレるだけだから、ホントに好いてもらっているのか分からないんだよ。猫ちゃんずは餌をあげてる人に懐くっていうアレだな。

 普通に戻ったリリィは普通に接してくれているし、だんごも友人として接してくれている。

 瞳子さんは現状を面白がってるだけかな。


「それじゃあ、クジラを調理してるから」


 耕ちゃんはカウンターの中に入って、クジラの全てを使って料理をしてくれるみたいだ。期待大!


「ん? 何やってんだ」


 アリスを取り囲んで女性陣が何かをやっている。


「お母さんって、私もなのニャ?」


「だんごは何を言ってるんだ?」


 それに、リリィがこっちを向いて赤くなっているし、合流した騎士のノーラさんも赤くなってクネクネしている。宮廷魔術師のニコルさんは王様と何やら談笑中だ。


「そんな……ケンジと結婚する事になるニャんて……」


 そんなに落ち込まなくても……。


「だんごお母さん、お父さんの事、好きじゃないの? あんなに毎日おはようのチュ…モガモガ」


 焦ったようにアリスの口を押さえるだんご。


「ニュワー、何なのニャ! そ、そんな事実はないのニャ!」


「ほら、アリスさんが困ってるから。離れなさいって」


 だんごを無理矢理引き剥がしたら、勢いづいて抱いたままゴロゴロと転がってしまった。手にムニュリとした感覚が。


「も、ももも、揉んだのニャ!」


「このやり取りも、お父さんとだんごお母さんはよくやってますよ」


「今後……だんごも戦線に投入されちゃうのかニャ……フクも負けてはいられないニャ!」


 フクがジェラシーをメラメラと燃やしている。しかし、それどころではない。


「だんご、ごめんって。ちょ! 勇者なんだからグーはダメでしょ!死んじゃうから!」


「興奮しているようですから、少し眠ってなさい」


 いつの間に来たんだ。オハラさんが|バルカンピンチ《首元を押さえると気絶ちゃうアレ》でだんごを眠らせてくれた。


「クジラと聞いては来ないはずがないじゃないですか」


 ハッハッハと笑いながら、立ち飲みチコリの店内に消えていきました。店はベニちゃんに任せっきりか。


「しかし、アリスさんは何でクジラに飲まれてたんですか?」


 この世界のクジラは、そう呼ばれているだけで見た目も生態も違うし、同じだとしたら大きさくらいだ。


「魔王との戦いの前に私を逃す為にクジラに飲み込ませられたんです」


 仮に結婚して子供がこれぐらいになるまで、魔王とは決着がつかないって事なのか?


「魔王……か」


「お父さん……苦しまないで下さい。叔父さんも既に自我はないんですから」


「叔父さんがどうしたって……?」


 アリスが娘だとしたら、この子の叔父さんは賢輔だよな。


「その身を乗っ取られて魔王になってしまったんですから、戦って勝たないとこの世界は滅ぼされていまいます。お祖母ちゃんも仕方がないって……」

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