148話
森永にまともな服を着せて、今度はラッテに変身してもらおう。
「猫ちゃんずは野良猫だったんだから、こうして人化しているだけでも凄い出世なんだよなぁ」
「私も大人の姿に変身できるかニャあ」
ラッテはメイド服でクネクネしている。
「どうだろうねぇ」
「やなの! ラッテも大人になるの!」
「もう、ラッテちゃんは可愛いわねぇ」
ナターシャはいつの間にか仲良くなったのか、ラッテとはよく話したりしているし、頭をなでているのを見かける。
「変身するの!」
さて、ラッテはどんな姿に変身するのかな。期待と不安にドキドキです。
最初に服が消えていき、謎の光が局部を覆います。人前の変身も問題なくできますね。そして、徐々に身体が大きくなっていき、丸みやくびれが出てきます。
そして、髪が腰辺りまで伸びて、どこからともなくピタッとした黒いスーツが身体を覆っていき、マントを羽織ります。顔の上半分を隠すマスクが装着され、変身は完了みたいです。
「むー、マスクが邪魔ですね」
ラッテはマスクを取ってしまいました。
「フクも猫ちゃんずも変身すると綺麗になるんだね……」
つい口から漏れてしまいます。
ラッテは女豹のポーズをとり、僕にウィンクをしてきました。
「これは、ブラックキャットとかそんな感じですかね」
「んー、ラッテは索敵や無音走行ができそうです。早速ですけど、五秒後にマイヤーズさんがドアをノックします」
『コンコンコン』
「どうぞ」
「お邪魔します。セシルさんを訪ねて男の方が来ているんで連れてきたんですけど」
おー、ラッテの能力すげー。どれくらいの範囲を索敵できるんだろう。
「ケンジさん、どうしましょう」
セシルが言う。
「わざわざすみません。フク、マイヤーズさんに冷たいお茶をお出しして。お客さまもどうぞ中へ」
マイヤーズさんに続いて入ってきたのは、何とあの露天商だった。
「エリック!」
「やぁ、セシル。ようやく会えたね。うん、タイミングバッチリ」
「あの、セシルさんとはお知り合いですか?」
「ケンジさん、またお会いしましたね。うーん、ストーカーのクセにアイツはいないんですね。まぁ、いいか。えーと、皆さん変身中でしたか?」
「ええ」
「どうぞ、続けて下さい。全員が終わったら、私から色々とお話する事がありますので。これでも二月ほど寝ていないのですよ……少し眠らせて下さい……」
言うだけ言って、あっという間に空いていたソファで寝てしまった。
「こいつは皆がしている指輪の製作者、エリック。ハイエルフなんだけど少し変わっていて、異世界からの転生者なんだ」
何と、だんごと一緒で転生者なのか。
「この人には聞きたい事は沢山あるけど、言われた様に変身の確認を続けよう。次はアイリスだね。さあ、こちらへ来て変身してくれるかい」
トダ村にいて、こっちの事情には詳しくないアイリスなので、色々とこんがらがっているのは見て分かるんだけど、落ち着いて変身できるかどうか。
アイリスは目を閉じて祈るような姿勢で変身した。
ブロンドのボブになったアイは、黄色と黒のレザーの服を大胆に纏っている。たわわになった胸に、ほぼ出ているお尻……そして背中には長く黄色がかった透明な翅が一対。長い黒革の手袋に、同じく黒いロングブーツを履いていた。
「女王蜂……かな。しかし、これまた大胆な……大五郎が見たらおったまげるぞ」
「キャッ! ほとんど裸になってますーっ!」
「いやいや、アイリスよ、余がケンジなら簡単に落ちてしまうだろう。自身をもって魔王と戦わねばならぬ」
王様がナイスフォロー。
アイリスは少し立ち直った。
「ケンジさん……どうですか?」
「ぎ」
「ぎ?」
「ギャップ萌え!」
空から攻撃できるのは強みだし、前衛で戦ってくれたらお尻見放題だなぁ……。
「ご主人様からはつじょーの匂いがしてきたのニャ!」
フクの尻尾ビンタで我に返る。
「アイリスからは甘い香りがするニャ…………ペロペロ」
「フクちゃん、こそばゆいです……」
「はちみつニャ! 全身はちみつコーティングされてるニャ」
アイリスミードが造れるじゃん!とか思ったけど、誰にも飲ませたくない、かな。
40話まで改定作業を終えました。