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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
145/230

145話

 ロリはロリです。15歳です。

 トダ村は遊び相手が少なくて寂しかったけど、ダンジョンができたのでとても賑やかになりました。


 アイリスはアンバーにいるオジサンに恋しちゃって、あまり相手にしてくれなくなったし……。

 シャノンも怪しいんだよね。オジサンに興味津々で、家に泊まったらしいし。アイリスでさえまだみたいなのに。人の物が欲しくなるタイプだから、生温かく見守るしかないわね。


「ロリちゃん、屋台の飲み屋さんで働き始めたんだってね。今度行くからサービスしてね」


 畑仕事をしていると、通りかかる人達が声をかけてくれる。メイド服も好評だったみたい。でも、まだあのエッチな視線は慣れないわ。

 でも、あの服は理にかなっていて動きやすくてよかったわね。


「ロリー! ちょっと街までお使いを頼まれてくれんか」


 爺ちゃんからの頼まれ事は、どうせいつものアレよね。キンミャー焼酎とかいうお酒。


「キンミャーを買ってきてくれんか」


「キンミャーなら、はい、これ」


「おお、どうしたんだ、買い置きがあったのかい?」


「週末だけ屋台酒場を手伝ってるでしょ? そこで使ってる道具とかお酒とかをうちに置いてるのよ。これは売り物だからお金は頂戴ね」


「そうかそうか、はい、お金。それじゃあもらっていくよ」


 補充してほしいって連絡しないといけないわよねぇ。結局、アンバーまで行かなきゃならないし。まぁ、いいか、オジサンをからかいに行けると思えばいいんだから。


 アイリスんちまで来たら、何とケンジさんを発見ー!


「やっほー!」





 本当について来たよー。

 ロリはレズっ娘だから、うちの娘達が心配なんだよ。


「あ、イナゴだ」


「すごい飛ぶんだよねー」


「佃煮が懐かしい」


「え?ケンジさん、イナゴを食べるんですかっ!」


「え?食べないの?」


「オジサン、気持ち悪ーい」


「虫は食べませんよ……?」


 どうやらこの世界では食虫の習慣はないみたいだな。散々変態扱いされてしまった。


「それじゃあ、アイリスは虫を食べる口とはキスしたくないよね?」


 意地悪するつもりもなかったんだけど、そう言ったら、アイリスは涙をためて無言になってしまいました。ごめんなさい。


「そろそろアンバーだけど、ロリちゃんは少しだけ自由行動をしていて欲しいんだけど……」


「イヤ!」


 口を尖らせて嫌がらなくてもいいんじゃないのかなぁ。少しだけなのに。


「婚約者同士の話し合いなんだよ。だから、ね?」


「イーヤ!」


「ロリちゃん、もしかして……ケンジさんの事が好きになっちゃったの?」


「それはない!」


「なら、少しだけ我慢してよ。あ、後でキスしてあげるから」


 アイリスの捨て身の攻撃が効いて、ロリは渋々承知してくれたのだった。

 暇つぶしに蛮杯屋のオーナーに会わせてみたら、やはり波長が合うみたいだった。二人共変わり者だからね。


 立ち飲みチコリまで来ると、ナターシャも大将を連れてきてくれていた。


「今日は何の用なんだい?」


 ナターシャは特に説明もせずに連れてきたらしい。


「これ、この指輪の話なんですよ。大将もあのエルフからもらったみたいですし、うちの店にも同じ指輪をしたエルフが来まして、指輪の持つ能力の事を教えてくれたんですが……それが変身能力だと言うんですよ。フクなんか成人した獣人戦士みたいになりましたよ。まぁ、本人はすごく喜んでいたんで良かったですが」


 とにかく中に入って色々と相談もあるし、魔王との対決に役立つ変身なのかも確認しないといけないし。

 そして、王様と騎士ノーラに宮廷魔術師ニコルにも来てもらった。


「そうか、伝説の指輪がここに集結したのだな」

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