145話
ロリはロリです。15歳です。
トダ村は遊び相手が少なくて寂しかったけど、ダンジョンができたのでとても賑やかになりました。
アイリスはアンバーにいるオジサンに恋しちゃって、あまり相手にしてくれなくなったし……。
シャノンも怪しいんだよね。オジサンに興味津々で、家に泊まったらしいし。アイリスでさえまだみたいなのに。人の物が欲しくなるタイプだから、生温かく見守るしかないわね。
「ロリちゃん、屋台の飲み屋さんで働き始めたんだってね。今度行くからサービスしてね」
畑仕事をしていると、通りかかる人達が声をかけてくれる。メイド服も好評だったみたい。でも、まだあのエッチな視線は慣れないわ。
でも、あの服は理にかなっていて動きやすくてよかったわね。
「ロリー! ちょっと街までお使いを頼まれてくれんか」
爺ちゃんからの頼まれ事は、どうせいつものアレよね。キンミャー焼酎とかいうお酒。
「キンミャーを買ってきてくれんか」
「キンミャーなら、はい、これ」
「おお、どうしたんだ、買い置きがあったのかい?」
「週末だけ屋台酒場を手伝ってるでしょ? そこで使ってる道具とかお酒とかをうちに置いてるのよ。これは売り物だからお金は頂戴ね」
「そうかそうか、はい、お金。それじゃあもらっていくよ」
補充してほしいって連絡しないといけないわよねぇ。結局、アンバーまで行かなきゃならないし。まぁ、いいか、オジサンをからかいに行けると思えばいいんだから。
アイリスんちまで来たら、何とケンジさんを発見ー!
「やっほー!」
本当について来たよー。
ロリはレズっ娘だから、うちの娘達が心配なんだよ。
「あ、イナゴだ」
「すごい飛ぶんだよねー」
「佃煮が懐かしい」
「え?ケンジさん、イナゴを食べるんですかっ!」
「え?食べないの?」
「オジサン、気持ち悪ーい」
「虫は食べませんよ……?」
どうやらこの世界では食虫の習慣はないみたいだな。散々変態扱いされてしまった。
「それじゃあ、アイリスは虫を食べる口とはキスしたくないよね?」
意地悪するつもりもなかったんだけど、そう言ったら、アイリスは涙をためて無言になってしまいました。ごめんなさい。
「そろそろアンバーだけど、ロリちゃんは少しだけ自由行動をしていて欲しいんだけど……」
「イヤ!」
口を尖らせて嫌がらなくてもいいんじゃないのかなぁ。少しだけなのに。
「婚約者同士の話し合いなんだよ。だから、ね?」
「イーヤ!」
「ロリちゃん、もしかして……ケンジさんの事が好きになっちゃったの?」
「それはない!」
「なら、少しだけ我慢してよ。あ、後でキスしてあげるから」
アイリスの捨て身の攻撃が効いて、ロリは渋々承知してくれたのだった。
暇つぶしに蛮杯屋のオーナーに会わせてみたら、やはり波長が合うみたいだった。二人共変わり者だからね。
立ち飲みチコリまで来ると、ナターシャも大将を連れてきてくれていた。
「今日は何の用なんだい?」
ナターシャは特に説明もせずに連れてきたらしい。
「これ、この指輪の話なんですよ。大将もあのエルフからもらったみたいですし、うちの店にも同じ指輪をしたエルフが来まして、指輪の持つ能力の事を教えてくれたんですが……それが変身能力だと言うんですよ。フクなんか成人した獣人戦士みたいになりましたよ。まぁ、本人はすごく喜んでいたんで良かったですが」
とにかく中に入って色々と相談もあるし、魔王との対決に役立つ変身なのかも確認しないといけないし。
そして、王様と騎士ノーラに宮廷魔術師ニコルにも来てもらった。
「そうか、伝説の指輪がここに集結したのだな」




