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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第十章 魔王という名の
143/230

143話

「ニャニャニャ…せくしぃ……おっぱいもあるニャ!…………服はどこへ行ったニャ? ご主人様、フクは裸の女の人に変身してしまったニャ……」


 ポージングして手の甲から長い爪をシャキーンと出したり入れたりしてるし。あれだね、ヒュー・ジャックマンみたいだね。


「凄いです!可愛いです!」

 セシルはフクに抱き付いてモフモフしている。


「ちょっと……マジで?」

 皆、フクの変身を目の当たりにしてウズウズしだした。


「待て待て待て! 変身するなら全員集合してからにしてちょーだい!アイリスと大将を連れてきてから、ね? 特に猫ちゃんずは我慢を覚える事。我慢できたら肉のご褒美をあげるから、ね」


 猫ちゃんずの食いつきはよかった。

 三元豚と山形牛を買いに行かねば。


「ん?他の皆も肉食べたいの?」


 ダチョウと鯨の刺し身とかもよさそうだよなぁ。

 はっ!

 王様をスポンサーに肉々しいポーリィ開催?どうせ魔王と戦う羽目になりそうだし……そうなりゃ、死ぬかもだし。


「アイリスを預かってあっちに行って、あっちの肉を食べるか、大将に連絡して肉を手配してもらいつつ持ってきてもらうか」


「大将に頼んだ方が早くない?プロなんだし」

 ラムの言う通り、それが一番か。


「って、指輪の変身能力の話だった……脱線しすぎだわ。まぁ、肉ポーリィはするよ、しますから!さ わ が な い ! 静かにしないと先生怒りますよ!」


 騒いでいるとサラがようやく起きてきた。

 最近は魔法少女の格好でいる事が多くなってきて、アンバーでは確固たる地位を築いているのだった。


「おはようございます。皆さん何騒いでるんですか?……ど、どなたです?」

 フクを見て驚いているサラ。


「フクだニャ」


「フク…ちゃん?」


「皆にあげた指輪って、変身能力が授かるみたいでさ。フクは我慢できなくて変身しちゃいました。成長して全身モフモフな爪が武器の女豹ってところだよね。で、皆がどんな姿に変身するのかは、ここにいない人もいるので、全員集合してから確認します。あと、肉ポーリィします」


「え?え? 情報量が多過ぎて……私って魔法少女以外にも変身できちゃうんです?」


 サラは異世界を行き来した事の副作用で、魔法少女に変身できる能力を手にしていた。いたんだよねぇー。

 でも、二つも変身できるって戦力的には大きいよね。サラには…その時が来たら前衛で戦ってもらう事もありそうです。

 そんなサラの周りをちくわとささみがクルクル回っています。


「午前中はトダ村に顔を出してくるか。ナターシャには大将への連絡を頼もうかな。それと、他の人はこのタブレットでヒーロー物でも観て、変身した後の参考にしてみて下さい」


 サラが魔法で壁に映像を投影しだした。そんなのができるんだったら、早く言ってよ~。

 小さい子達の食い付きはもちろん良いんだけど、ナターシャが大きいお友達になっていくのにかなり驚いてしまった。サラが隣で色々と説明しているのが微笑ましい。流石、元アニソンカラオケバー店員。


 それから朝ごはんを済ませて僕はトダ村の大五郎んちへ。村への一本道は朝から行き来する人が多い。


「大五郎さん、いるー?」

 蔵かな。


 母屋の裏にデカイ酒造りの蔵がある訳で、そっちへ移動してみるか。

 中に入るといたいた。

 大五郎一家と手伝いに来ている人達で撹拌作業をしているところだった。蔵の中は酒のいい香りでいっぱいになっている。スーハースーハーしていると、目ざといアイリスから見つけられてしまった。


「ケンジさーん!」

 樽上からのフライングボディアタックは止めてください……。ただでさえ腕力がないんだから。


「ケンジ、エロい手で触んなよ?」


「触らないよ!」


「触ってよ!」


「あらあら」


 明らかに遊ばれている……。


「大五郎さん、カレンさん、アイリスを一日お借りしたかったのですが」


「よかったわね、アイリス。ケンジさんも遂にその気になったみたい」


「何?そうなのか?まだ早いんじゃねえか?」


 違いますから。


「何だよ、魔王絡みか。アイリスを巻き込みやがって、ケガでもさせたらぶっ飛ばすからな」


「わかめ酒のオッサンにぶっ飛ばされたくはねーな」


「なっ……!」


「わかめ…酒って? お父さん、わかめ酒って美味しいの?」


「……後でケンジに聞きなさい」


 カレンさんは心なしか赤くなっている…って事は……知ってるな。そして、もしかしたら……おぉ、ブルっときた。






「ケンジさんに何か届けられましたけど…」


 ケンジさんがいないので代わりに受け取ったのですが、何でしょうかこの箱。

 鍵は付いていないようです……。


『キョロキョロ』


 誰もいません。

 少しくらい見ても平気ですよね。


『チラッ』


 えっ!!

 これってエルフが描かれてる本。トダ村のダンジョンから出たレアアイテムかも…。


 私は師匠に連絡するのも忘れて、それを読み耽ってしまったのです………。

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