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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第八章 酒の為ならどこまでも
118/230

118話

 王様に帰る旨を伝えてから、皆揃ってサラの魔法でアンバーに転移した。

 幾分、人数が予定より多くなったので、家の部屋も増築しないと今後不便になるかもしれないので、早速マイヤーズさんに紹介してもらい、大工さんに工事をお願いした。

 既に土地も建物も立ち飲みチコリ名義になっていて、正式なオーナーはラムだけど、表向きは僕の家で通る様にしている。


「そう言う訳だから、一週間くらいオルカの宿に泊まってもらえるかな」

 今回も王様から資金を提供してもらえたから問題はないけど、うちの娘達がライバル云々とかでキーキー言ってうるさかったし。


「後発で駐在する騎士団員達が来ますので、それまでは建物の準備と町長選出ですね。ケンジさんは町長になる気はありますか?」

 鎧を脱いで普段着になったノーラさんだが、出で立ちはどこかの歌劇団男役風だった。それでいて、少し長めでカールしているくすんだブロンドは、凛として男社会の中でも文句は言わせない雰囲気がある。普段着になったとたんに、ラムなんかはキーキーからキャーキャーに変わっていたんだから間違いない。

 アンバーに百合が咲く日が来るかもしれない。


「町長の器なんてありませんので、他を当たってください」


「ま、言ってみただけでしたが、なってみたら意外にいけるかもしれませんよ?」


「ぶふっ、ケンジには無理だろ」

 ノックもなしにドアが開いたと思ったら母ちゃんかよ!


「母ちゃんも色々バレたら気軽に来るようになったな!」


「賢輔があんなんになっちゃったんだから、とりあえずはケンジと密に連絡取ってないとねぇ。ラムちゃんには話しておいたし、猫リーダーのフクちゃんも許してくれるよね?」

 母ちゃんは細いのに腕力はあるのか、フクを抱き上げて頬ずりしている。


「ご主人様の母ちゃんはフクの母ちゃんニャ」


 二人の周りをバニラとチョコにモカとラッテ、ミルクの野良ちゃんず、それと転生者のだんごにちくわとささみが何か歌いながら輪になって踊り出す始末。よく聞いたらグーグーの歌じゃねえか!


「おなかすいた…」


「うぉっ!どこからともなくチコリが出てきた!」


「まぁ、ここは賑やかでケンジはいいわねー。母ちゃんもお腹が空いたから、皆で外に食べに行きましょう」


「お前の母ちゃん、何だか凄いな」

 ニコルがケモ耳と尻尾を取った姿で言う。

「それじゃあ、私も一緒するかな」


 大人数の時は大箱の中華酒場がいい。フクのお姉さんのベニちゃんもいるしね。






「お姉ちゃん、大勢連れて来たのニャ」

 フクが我先と店内に入って行く。


「遅かったな…む、随分と賑やかになって」


「ちょ、ちょい、ちょいちょい!バッカスさん!何でいてるのーっ!」

 目の前には、椅子に座って紹興酒をロックでやってるバッカスがいるのだった。


「ダーリン!戻って来てたんだっ!」

 ルナの超近距離ダーイブっ!それを何なん受け止めながら、普通にエビマヨ食べてれぅ!

 更に頭ナデナデか…。


「あ、ベニちゃん、もうこのテーブルにして…んで、面倒くさいだろうけど注文もお願いね?」


 猫ちゃんずが初めての中華料理に興奮しだして、だんごとサラがなだめていると、ちくわとささみが母ちゃんから抱かれながら眠ってしまっていた。

 オハラさんも二階の対応から降りてきてうちらに付く。とっておきの老酒があるらしく、バッカスと盛り上がっている。


「ニコルも笑ってないで水を注ぐの手伝ってよ…あ、チコリはノーラさんの膝の上が気に入っちゃったの?」


 次から継へと運ばれてくる料理は、次々と皆の胃袋に消えていく…。

 し、支払いが怖い………。


 ナターシャは早々と仕込みに行っちゃったし、ラムも何だかんだで雑務を片付けに行ってしまった。


「そういや、大五郎さん達はこっちに戻ってるのかねぇ」


「とっくに戻ってるよ。こっちでの仕事も溜まってるって言ってたし」


「なら、店で出す日本酒も大丈夫だな」


「それより、アイリスとはどうするんだい?」


「どうするって…母ちゃんの従兄弟の娘だから結婚はできるし、大きくなっても気が変わらないなら結婚するよ」


「それならいいんだよ。思い込みの激しい娘みたいだったから気になったんだよ」


「ちょっと見ただけで分かっちゃうんだな」




 この日はちょっとした昼食のはずが、バッカスの酒代やおみや代まで払わされたのだった。

 オハラさんも請求書を渡す時に肩を叩くなよぅ…。


「ん?珍しく会社から連絡が来てるな」

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