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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第八章 酒の為ならどこまでも
117/230

117話

「えーと、ノーラさん?こちらの方は?」

 騎士ノーラは一人ではなかった。


「ニコルですけど?」

 ニタニタしている、昨夜出会った店員がそこにいる。


「それは分かってます!酒場で会いましたから…って、僕が言いたいのはそうじゃなくてですね…」


「ケンジさん、ニコルも一緒にアンバーに行くんですよ」

 ノーラさんの笑顔が眩しいっ!


「何故?、と聞いてもいいですか?」


「ニコルは趣味で酒場の店員をやってますけど、実は宮廷魔術師なんです。それで、陛下の許しも得たので一緒にアンバーに行く事になりました。この短期間で、王都にもアンバーからエールの新しい醸造技術が入ってきてたでしょ?ケンジさんなら分かるはず。陛下にとってアンバーは守るべき要なんですよ」

 えっへん、と言わんばかりに胸を張りながら言う。単に酒飲みが飲めなくなるのは困るから、お前、行ってきて守れ、って言われている様なものなんだけど…。


「なるほど…ニコルさんが城のお偉いさんなら高給取りなのも納得だわ」

 彼女なら問題なくオリハルコンのアクセサリーも買えるし、色んな知識もありそうだなぁ。これは勉強できるいい機会かも。


「それなら紹介させて下さい。彼女はサラ。魔法使いで立ち飲みチコリの店員です。移転魔法が使えるので、こうして遠出する時は一緒になります。この娘はフク。僕が飼っていた猫の生まれ変わりです。ちくわとささみは普通の猫だったんだけど、飛んだり、人の言葉が話せるようになってしまいました…だんごは異世界から召喚された勇者です」


「これは…陛下から聞いた以上に面白い人達ですね…中年男に魔法使い、そして猫、猫、猫…フェイントで勇者とは……あ、この耳と尻尾は後付です。魔法で肉体と融合させてはいますが私は人族ですので」

 えっ!そんな事ができるのか。ぬぅ、宮廷魔術師って凄いな。


「ニコルさんの方が面白いよ。なんでケモ耳と尻尾なんですか。魔法使いそうもない格好って」


「それ!それだよ!使いそうもないってのを実践しているのさ。相手を油断させる事も時には大事だからねぇ。まぁ、酒場ではモフモフな部分は人気があったんだよ…それに、尻尾でお尻を触ってくる手を叩ける」

 ケラケラと笑いながら話すニコル。今も例のホットパンツ姿だ。


「それでは明日の昼にアンバーに発つことになりますので、それまでにやる事は終わらせておいて下さいね。それでは」

 二人はドアを閉めて部屋から出ていった。


「やる事なんて…そうだ、お土産を買いに行こう」

 皆も賛成してくれたので、そのまま街へと出かけたのだった。






「こんなものかな。皆も欲しい物は買えたのかな?」

 王都には土産物屋があったので、無難に焼菓子詰め合わせと可愛らしいハンカチを人数分選んだ。皆もそれぞれに買い物はできたみたいだった。


「あら、ケンジじゃない。悠長に買い物なんかしていていいのかしら」

 バッタリとルナ、マーズの姉弟に会う。


「あれ?あっちの世界にいるはずじゃなかったのか。それにバッカスは?」


「バッカスはまだ酒を堪能してるわよ。私達はアンタの助けにやって来たんじゃない。おかげで城は無事だったでしょ?」

 腕を組んでフンスと胸を張るルナ。


「俺は姉ちゃんが暴走しないか見てたんだ」


「火を消してくれたのはルナだったのか。助かったけど、何でわざわざそんな事をやってくれたんだ」


「バッカスの命令なんだもん」


「そ、そうか」

 バッカスに行けって言われたら行くのがルナか。

「二人とも、ありがとうな。もう大丈夫だから、あっちに戻っていいんだぞ?」


「命令は続行中なのよ。だからアンタ達についてくから」


「命令って…」


「ケンジ、アンタはもう少し緊張感を持った方がいいわね。私達はこのままアンタの護衛に付くわ。だからついてくのよ、分かったかしら?」


「これって、僕がお父さんでサラがお母さんの子沢山家族みたいだよね」

 つい口から緊張感のないセリフが出てしまう。

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