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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第八章 酒の為ならどこまでも
106/230

106話

「知らない天井だ……うひょう、言ってやったぜ……ゴホッゴホッ」


 まぶたを開けると、どこかの部屋のベッドに寝かされていた。

 関節痛が酷いが熱はそれほどでもない様だ。


「ケンジ、大丈夫かニャ?」

 布団からだんごが出てきた。


「は?ゴホッ…だんご?」


「寒い寒いって言うからこうして暖めてたのニャ。ケンジのは呪いはかかってないみたいだったけど、魔法を使い過ぎてちょっとしか効かなくてゴメンニャ」


 あれから何時間経ったのか分からないけど、一緒にいてくれたとは。


「僕のには呪いは無いのか…ホッとしたけど間抜けだな。こうしている内にアンバーで病人が増えていくかもしれないというのに」


「治癒魔法についてはボクが話しておいたから、ケンジはゆっくりと眠るニャ」


「ありがとう……、………」

 眠りにつくと同時にベッドから出ただんごは、スラッとした人族の姿になっていた…様な………。






「弟くんはこのまま戻っちゃうの?」


「え?うーん、アンバーを観光したいかな。リリィさん、案内してよ」

 言えた!言えたぞ!

 リリィさんは兄ちゃんの婚約者?なのかな。スラッとした容姿に長い黒髪が似合う艶っぽい女性だ。少し前から俺にちょっかいを出してくる。からかわれているだけだと自分に思い聞かせながらも、やはり少しは期待してしまうのだ。


「それじゃあ商店街へ行きましょう」

 そう言って腕を絡めてくる。リリィさんはどうしたいんだろう。


「リリィさんは誰にでもこんな感じですか?」


「違いますよ、賢輔さんだからですよ」


「名前、覚えてくれてたんだ…」

 弟、弟くん、弟さん…そう呼ばれるのに慣れていたのに。


「ほら、ここは武器屋ですよ。賢輔さん、興味有るでしょ?」

 ビームセーバーなんて物を造っているんだから、勿論、中世の武器も着になる。


「やっぱ切り裂くってよりは叩き斬る感じの武器ばかりか…日本刀でも持ち込んだら楽しそうだな。リリィさんは冒険者なんてやった事ないでしょ?」


「そうね、私は事務方でずーっときたから、武器を持ってモンスターと戦ったりした事はないわね。使ったとしてもせいぜいナイフくらいね」

 太ももにナイフをしのばせたらセクシーだと思うなぁ。


「露店も多いんだね。あ、これなんか似合うんじゃないの?」

 シルバーの鎖にブルーの石が付けられたネックレスだ。

「プレゼントしたいな」


「ありがとう、付けてくださるかしら?」

 髪を避けてネックレスを付ける。


「そうだ、私も賢輔さんにプレゼントがしたいわ。お揃いがいいわね…同じ石のネックレス」


 年甲斐もなく同じ物を贈り合う事に嬉しさを感じていた。




 胸元に輝くブルーの石が、知らぬ間に紅く輝き出していたのに気付いた頃には、俺はこの世にいなかった。

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