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魔汁キンミャー焼酎を異世界で  作者: 水野しん
第八章 酒の為ならどこまでも
103/230

103話

「どこに行ったんだよー…うっうっ……お出かけしてきますって、書き置きだけでいなくなってたんだよぉー!」


 大五郎達は実家にいるからねぇ。


「大将、ごめん!黙らせるから」

 んったく!他の客の迷惑になるだろ。


「ルナっ、弟をどうにかしろよ」


「イヤよっ!介抱でもしようものなら逆に押し倒されるわよっ!」

 くっ、マジかよ…。

「既にやられちゃってんのかよ……ドラゴンてスゴいな………」

「っ!やってないわよ!何で弟とやらなきゃいけないのよ。とにかく!もうっ!」


『ボゴっ!』


 弟くんは沈黙した。

 そして、何故だか拍手が沸き起こったのは綺麗なパンチだったからだ。



 皆もお腹いっぱいになってきたので、そろそろお勘定だ。ははっ、結構な金額だよ!あっちから持ってきた金貨でも鑑定してもらうかなぁ。どのぐらい混じりけがあるか、そのへんは気になる所だけど、予想外に出品がちゃったし。


 とりあえずバッカス達は居残りたいらしいから置いといて、僕らは異世界の家に戻ってきた。大人数泊まる部屋もなければ布団もないのだよ。


「どうだった、僕とラム、フクのいた世界は」


「自動車が凄かったですね。あんなに早く移動できたら、こっちでも買い物が楽になるのに」

 リリィは車をこっちに持っていきたいと最後まで言ってたっけ。でも、なかなか高い物だしガソリンの問題もあるからと言い聞かせたんだけど。魔法でどうにかなったら、その時はね。


「ナターシャはコンビニが気に入ったみたいだったな」


「ええ、お弁当という概念が変わりました。あんなに沢山の料理があって、組み合わせで色々と楽しめます。それに、あの箱で温め直せるなんて!あれがあれば今までできなかった事ができるようになるのに」


「電子レンジか…サラと研究してみようかな」


「本当ですかっ!よろしくお願いします!」


「ナターシャ、くっつき過ぎ。ところで明日はどうするの?流石に店は開けたいし」


「明日は僕だけあっちの世界に戻る事にするよ。バッカス達はうちの家族だけじゃ手に余るだろうし」

 本家にも連絡しておかないとなぁ。


「ケンジ、それじゃあ今夜は久しぶりに一緒に寝ていい?」


「はいぃ?交代制もなんとなく自然消滅してたのに、どうしたんだよ」


「いいじゃない、皆も一緒に寝たいでしょ?」


「そういや留守番組の猫ちゃん達はもう寝てるんだろ?むくれられても困るんだけど」


「明日一緒に寝れば大丈夫よ」


「そんなもんか?まぁ、いいけどさ」

 バニラにチョコ、モカとラッテ、ミルクの野良ちゃんずに転生者のだんごにはお土産もやらないとな。てか、寂しがってないか心配でもあるのだが。だからこそ、か。


 お風呂に入って部屋に行くと、既に皆がベッドでゴロゴロしていた。あられもない姿でゴロゴロされると目のやり場に困ってしまう。


「お尻がプルプルしとる…」

 呟くと途端にオシリを隠してしまう。が、うーん、前も隠せよな。下着を付けているとは言え、人それぞれに形づいているんだから。


「ケンジも結構なエッチよねぇ」

 ラムがイジってくるけど、そうさせてんのは君らですよ!更にすんドめですから、この状況!


「ご主人様は前からエッチですのニャ」

 胸に飛び込んでくるのはいいけど、フクさん、色んな所のクンカクンカは禁止です!


「そう言えばバニラ達なりにメニューを考えたらしく、台所に料理が置いてありましたよ。朝にでも味見してみましょう」

 ナターシャは真面目な事を言いながらしなだれかかってきているし。


「ちくわとささみはあっちでトンボを沢山つかまえてましたわ。私は不思議な殻を…」

 サラは袋に大量のセミの抜け殻を……何だか衝動的に頭をなでてしまっていたよ。


「皆も疲れてるだろ、あれだけ色々あったし。もう寝ましょう」

 無理矢理横になって目を瞑るとすぐに夢の世界へ行ってしまった。身体がモゾモゾされてる様な気がするけど、それよりも睡魔が勝っていた。






「「「「「「おはようございますニャ」」」」」」

 バニラ達とだんごが挨拶してくる。手に絆創膏を貼ったりしているので、ポーションを渡しておく。


「さっき、皆が作ってくれたのを食べたよ。ミルクレープなんて良く知ってたね。凄く美味しかったよ」

 クレープみたいなものはあったらしく、それを重ねながら間にジャムやクリームを塗って、甘く仕上げていて、飲み屋で出すにはどうかと思うけど、立派なメニューになっていた。


「そうだ、今夜は皆と一緒に寝るからね」


「ゴロゴロできるんですかニャ」

「ぺろぺろしたいですニャ」


「それじゃあ、今日は店を開けるからよろしくね」


 だんごだけは真っ赤になって、何で一緒に寝るのニャ?とか呟いていた。

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