地球に帰れない可能性が急上昇
「あぁそういえば、もう元の世界には帰れんぞい。多分。」
奴が出し抜けに、そんなことを言い出した。
「あ゛ぁ゛? どういうイミナノカナ? それは。」
「あくまで可能性がゼロに近いと言うだけの話じゃ。この世界はさっき言った通り下位世界じゃろ? で、主がいた世界は上位世界。ここまではいいかの?」
「お、おう」
いきなりシリアスムードになったのには、流石の俺もタジタジだ。唐突すぎて驚いたが、取り敢えず返事を返す。どうやら本当に全うな理由があるらしい。前科のせいで信じきれないが。
「……コホン、(思考漏れることやっぱり忘れてない?)
上位世界から下位世界に行くのは以外と簡単なのじゃ。単純に考えると位置関係としては……、あくまで概念じゃぞ? 概念じゃからな? わかっておるかの?」
「しつこいっ! 次行け、次」
「これこれ落ち着くんじゃ。急いては事を仕損じる、と言うではないか」
「誰のせいだと思ってるんだ、誰の。」
「儂じゃな」
「即答!? ……自覚あんのかい。ほんと、質悪ぃな。」
「コホンコホン、元に戻してもよいかの?」
「どうぞ、お好きな様に……ハァ、疲れる」
今に始まったことではないけどな!
「この次元を一つの建物だとすると、この世界は1階で地球は5階と表せるのじゃ。で、主がこの世界にくるときに使われた転移魔法陣は鈎縄にあたるのじゃ。それを伝って降りてきたのが主という訳じゃな。まぁ、無理矢理降ろされた、と言った方が正しいのかもしれんのじゃが。それはひとまず置いといて、元の世界に戻るにはその鈎縄を己の肉体のみで登らねばならないのじゃ。想像しただけでも、なかなか大変ではないかの?」
おうふ、シリアスさん、お勤めご苦労様です。……正直まだ続くの? って感じだが、俺のためらしいし切り替えるか。
よし、……確かにその通りかもしれないが、力をつければなんとかなりそうではある。消防でも似たような訓練している所をテレビで観たことがあるような気がするし。
が、次の瞬間そんな淡い期待は木っ端微塵に砕かれた。岩を落としたら風で破片が飛ぶくらい木っ端微塵だ。もはやサラサラだ。地学で言う泥だ。……何がいいたいのかわからない? 大丈夫。俺もわからない。
「そもそも2回目の異世界転移を行った場合、魂と肉体が耐えられずに消滅するがの。神でない限り。」
………………ていうか最初からその一言で終わらせれたんじゃないんでさかねぇ?
ということで絶望テキデース。わーい、わーい(棒) 未練なんて無いけどね(ボソッ