男と雑貨店
ベルさんが飲み物を出してくれた。
(あっ、この飲み物...紅茶かな?でも香りも味も美味しい。)
「シュウのお口に合えばいいのだけど...」
「大丈夫ですよ、美味しいです。」
ベルさんは半分笑いながらそしてもう半分は心配そうな顔をこちらに向けていたが、感想を聞きホッとしたようだ。
今、俺はベルさんが商いしているお店の椅子に座っている。
初めて会った後、ベルさんは何を思ったのか俺を連れてきた。
この服装も目立つのか?後ろに付いて歩くだけですれ違う人達からは凄く見られている。
それでも、ベルさんは何も気にしてない様子で歩きながら色々教えてくれた。
「シュウは気が付いたら倒れていたんだね?その前の記憶はないのかい?」
「記憶はありますよ。」
「名前もどんな仕事をしていたのかも覚えてます。ただ、ここの世界ではないかなって思ってます。すれ違った騎士とかは探せば居るかも知れませんがミリーの様な空飛ぶ猫は居ませんね。」
「にゃー」
(騎士はまだ居る可能性あるけど、流石に空飛ぶ猫は...)
若干、もう諦めた感のある思考でミリーを撫でながら歩いている。
(やっぱり別の世界なんだろうか?昨日の夜は帰宅して仕事で疲れててベッドにダイブしたとこまでは覚えているけど...その後が記憶にないんだよなぁ。)
歩きながら色々教えてくれた。
この国がサンマリア王国と言う王政の国で、向かっている町が王国内で三番目に大きいリオンという町。
色々な人が居てベルさんの様に商人として働いている人も居れば、政治に携わっている人も、あるいは冒険者など色々だ。
そして日本と今までいた世界と絶対に違うところは...
(え~...ミリーの次は魔法かぁ。絶対に異世界だよ、この世界。)
はははっと口が開いた状態で笑っていた俺でした。
ベルさんのお店は商店街の一角の「ベルサウンド」と言う雑貨屋さん。
そこに帰る途中で袋に沢山のリンゴを購入したベルさん。
今日はリンゴのパイを作るみたいで果物販売店で購入して、店員さんから袋を貰ったとき。
「あっ!?」
貰った拍子にリンゴが一個袋から落ちて地面に...
「wind」
落ちると思い焦って手を出したのだが...
出した位置よりも少し上でリンゴがふわふわ浮いて、それを見てベルさんが優しく笑っていた。
(浮...浮いてる)
「ベ...ベルさん...リンゴが浮いてる。」
「浮いてますね。シュウのその顔面白いわよ。」
「だって、だって浮いてるんですよ?!」
「それ位の魔法なら私でも使えるからね。」
手で受け止めれると思っていたら、魔法で浮いてびっくり?!
当たり前です...
(空飛ぶ猫と魔法で異世界確定でした?!)
びっくりしている内に連れられてたんでしょうね。
お店の前まで付いてました、入り口まで帰ったベルさんが振り返り...
「ようこそ、私のベルサウンド雑貨店へ。」
ベルさんの笑顔に迎えられお店に入った。




