夜の会の6人
「引きこもりって…ユキノさんのことだったのか」
「え…私は…すみません」
「すぐ謝るところも変わってないな」
ようやく、全員が揃った。
「これで全員か?」
土を操るシュウジ
「とりあえず、だね」
草花を操るユウキ
「七瀬とマヒロも入れると7人だな。王女様は…別として」
空を飛べるテッペイ
「あの…王女様も、異世界から?」
引きこもりのユキノ
「私も数年前にここに来たのよ。あなたたちとは別の世界からだけど」
龍使いのテスラ
「ま、そういうことで協力関係にあるわけ」
その龍に変化する俺
計6人が俺とテスラの部屋に集結し、食卓を囲む。俺の右隣には近い方からシュウジとユウキが、向かいにはテスラが座り、その横にユキノとテッペイが座った。
「まず気になっていることがあるんだけど?」
最初に口を開けたのはユウキだ。周りからは親しみを込め「ユウキ先生」と呼ばれていたが、今やそう呼んでくれた連中はいない。
「ユキノちゃんの能力って何なのかなって?」
「え…⁉わわわ私ですか…?」
「うん、だって僕らとは違う、いわば第3の世界から来たテスラさんでさえ能力を持っていたんだ。何かしらあるんじゃないかな?」
「それは俺も同感だ」
ユウキの質問にテッペイも頷き、少々慌てるユキノは…確か、クラスの女子最大派閥のボスである夏子から「ユッキー」と呼ばれる駒だったような気がする。いつもあの態度のデカい女の後ろに身を潜めていた彼女があいつと一緒じゃないなど珍しい光景だ。ちなみに夏子とマヒロは犬猿の仲である。原因はテッペイにあるらしいが、今は関係ないか。
「まぁまぁ、ユキノちゃんはまだ能力を使わざるを得ない状況に遭遇しなかったんでしょ?浮島の蜘蛛に襲われそうになった時に私の旦那が引き連れて行っちゃったみたいだし」
「旦那…あ、はい。大きな白い龍が頭上を飛んで行ったんです。そしたら…私の周りにいた蜘蛛がそっちを追いかけて」
「それで俺とマヒロの近くにいた蜘蛛も引き上げて行ったのか。サードの龍の力は引き寄せる力もあるのかもな」
それらを聞く限り、俺は意外と人を助けているのかもしれない。池口や湯川は助けられなかったけど…
「たぶん俺はその時、七瀬を運んでいたんだと思う。あいつを抱えて飛ぶと…ウジャウジャ蜘蛛が湧いて来やがったから」
「七瀬か…それでサードに心酔しているのか?」
「シュウジの言う通りかもよ?彼女の顔、恐ろしいほど狂ってたし」
ユウキとシュウジの言ったことは思い出したくない記憶だな。何かに取り憑かれたような七瀬の笑い声は今でも頭に響いてしまう。
「私が気になったのは七瀬ちゃんの能力なんだけどさ。一応、私の護衛隊に被害も出たわけだし」
「七瀬の能力か…戦闘中は俺やシュウジはいなかったから」
七瀬の戦いを見たのは俺だけ…
「速く動いて、強烈な拳と蹴りがあった。俺は横っ腹を蹴られて吹っ飛んだし…その拳が心臓にヒットすると心臓が止まるようだ」
「それなんだけど…守護兵団の死体を調べたら、中身が全部液状化してた」
「ウゲッ…テスラそれ以上は言うな…」
「つまり、サード君と王女様の話をまとめると…物理攻撃は最強ってことだよね。たぶん拳がヒットするととんでもない衝撃で臓器丸ごとスクランブルエッグって…」
「サード、七瀬が遠距離攻撃を行ったことは?」
「…そうだな………あ、メイリス=カーチェスの連中のほとんどが目を1本の針で刺されていたらしい」
「メイリス=カーチェスが…⁉」
「王女様?一体どうしたんです?」
「メイリス=カーチェスは殺し屋集団。腕の立つ連中よ。そんな連中の目を潰せるなんて…どんだけ精密なのよ」
「七瀬さんの趣味ってダーツだった気がします」
「ユキノちゃん、それ本当に?」
「夏子ちゃんが…言ってました」
七瀬の話題で持ちきりになるも、彼女の能力の詳細は皆無だ。高速移動に…内蔵をスクランブルエッグにしてしまう強力な拳、俺やイレンを吹っ飛ばした蹴り…投げ道具の精密さ…ダーツが趣味…
「わからないけど…最強じゃない?」
ユウキが何気に呟いた最強の言葉。それらを照合して導き出される答えは…
「身体能力の急激な向上。なのかもよ?」
俺が口を開けようとした瞬間、テスラに先を越される。まさかこの女…
テスラ、俺の心を読んだなら頷け
そう思って向かいに座るテスラを見ると、ニコリと笑って頷きやがった。龍使いってんのは…厄介な能力だ。
「身体能力の急激な向上…なるほど。だから速く動けて攻撃も強い。元々ダーツをやっていたなら針で目を狙うなんて身体能力が向上していたら簡単かもね」
そんな俺とテスラをよそに皆はそれぞれが頷いた。
「結論を出すには早いが、仮定としてそれでいいとしよう」
何が「いいとしよう」だ。テッペイの野郎…相変わらず上からだな。
「ユキノちゃんと七瀬さんのことは終わり。そろそろ本題に行こうか」
それに比べてユウキは相変わらず司会向きだな。
「そこからは私が、愛しのサードたちのために話すわ」
「愛しの…ね。サード君、隅に置けないね」
「ユウキ、あんまりからかうな」
「そうそう。サード君ってつれないのよ~」
「テスラも!」
本題に関してはテスラの方が圧倒的な情報量を持っている。彼女は元の世界に帰るため、数年間も情報収集に動いたのだから。
余分な話抜きで早く進めろ
「それでね?この前なんか…」
テスラめ…ここぞという時にいつも無視しやがる。最低にもほどがあるぞ。
俺はテスラの話す内容を知っているため、しばらくの間、外部とのやり取りを切断した。
「釜谷君…」
しかし…妙にユキノからの視線がこちらに向いていたのは気のせいだろうか?
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