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異世界行っても面倒なものは面倒  作者: くもりのちはれ
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ガチムチのおっさんに魔法を教わるとかなんかムカつく

 

 side.祐志


 めんどくせー。超めんどくせー。一気に帰って寝たくなってきた。何このテンプレリアルで起こるとか聞いて無い。ああいうのは力を持ってるから返り討ちに出来るものであって、今の俺らに力はねーんだが。ケンカしたらボコよボコ。ボッコボコにやられるわ。おっさんもなんか言ってやってくんない?

 目で訴えると、おっさんが頷いた。


「おい、お前ら朝から飲み過ぎだ。あと初心者に絡むな。そんなんだからBランクになれねぇんだぞ。」

「ああ⁉︎バカ言ってんじゃねぇぞ、ギルドマスター‼︎」


 後の講習で聞いたことだが、ギルドにはランクがある。E、D、C、B、A、Sの順に高くなっていく。ランクが上がるほどに難しい依頼が受けれるようになっていく。ランクを上げるには、指定された依頼をクリアするのが条件だ。ただし、Bランク以上のランクになるには試験官が付いての依頼になり、試験官にそのランクにふさわしいかどうかも試される。依頼を成功させても、人格が出来ていなければ失格らしい。

 ちなみにSランク冒険者は世界に6人、Aランクは一国に3〜7人ほどの人数らしく、「異名持ち」が多いらしい。


「とにかく!これ以上騒ぐな、分かったな!行くぞ、お前たち。」


 おっさんが受付の入り口を開け、俺たちに催促する。それに続く俺たちを酔っぱらい共は恨みがましく見ていた。


 はぁ・・・めんどくせー。



 場所を移して二階、会議室。ここで一時間ほど講習を受けた。ちなみに三階はギルドマスターや職員の休憩所、らしい。

 内容はギルドのランクや建物の説明、冒険者の心構え、といったところだった。心構えってのは他の冒険者に注意しろ、とか街に入るまで依頼が成功しても気を抜くな、とかだ。初心者にはよくあるらしく、それで金を盗まれたり、最悪奴隷落ちや殺されたりするんだそうだ。



 そう、この世界には奴隷がいる。

 法律では犯罪奴隷しか認められていない。しかし、実際には騙されて犯罪奴隷にされたり、強制的に奴隷にされたりする事も多い。もちろん表の奴隷販売にはそんな奴隷はいない。しかし、裏には沢山いる。むしろそういう奴隷の方が多いくらいだ。取り締まろうにも、相手の数が多すぎて捕らえきれない。出来るだけ捕まえてはいるが、次から次へとまた現れ、キリがないそうだ。

 これを聞いた橘君は激怒し、夢さんは泣き出してしまった。落ち着かせるのが大変だったよ。夢さんはしばらくは泣いていたが、なんとか泣き止ませられた。強い人だと思ったよ。ただ優しいだけならあんなことは言わないだろうし。

 橘君は止まらなかったから、気絶させて大人しくさせた。陛下が、だが。

 俺?橘君には逆効果だろうから手出ししなかったよ。夢さんに一言二言言っただけだし。なーんもしてない。



 まあ、暗い話はこれくらいにして。

 講習が終わったら、地下にある鍛錬場に連れてこられた。使うには許可がいるらしいが、今回はギルマス特権で貸し切りらしい。

 何をするのか、と聞いたら、


「本当は城で稽古をつけてくれるんだろうが、この後にあのバカ共が何かしてきたら面倒だ。軽い魔法を先に教えてやる。」


 と言うことらしい。ありがたい、あいつら絡んできたらどうしようとか思ってたからな。


 と、言うわけで魔法。あいつらは全員魔法を覚えてない前衛職らしいから、コレで牽制して逃げろ、と言うことらしい。

 ギルドマスターは助けてくれないのかと橘君が聞くと、


「俺はギルドマスターだからなぁ。この建物の中ならともかく、ギルドは冒険者同士のいざこざには関わらない方針なんだ。すまんがこれで勘弁してくれ。」


 と言っていた。

 立場上、どちらの肩も持てない、と言うことか。

 ん?いや待て、あいつらが俺らにガン飛ばして来たのって説教始めたおっさんのせいなんじゃ・・・?

 いや、気にしたらいかんな、どうせ俺らが適当にあしらっても結果は同じだっただろうし。

 それはともかく。



 誰でも使える!魔法の使い方ー!(ワーワー、ヒューヒュー)

(三分クッキングの音楽)

 まず、体の中の魔素を集めます。

 次に、つかう魔法のイメージを作ります。

 そして、魔法名を言いながら魔素を手から解放すれば・・・

「ファイアボール」

 なんということでしょう!

 手のひらに火の玉が現れたではありませんか!



 以上、俺の脳内変換によるおっさんの魔法講座でした。

 ちなみに魔法名は言わなければならない訳ではなく、イメージを強化するためのものだ。

 しかし、言わなければ大体の魔法使いはイメージが足りなくなり、発動しても戦闘には使えないらしい。

 詠唱は難しい魔法になるほど長い詠唱が必要だそうだ。

 このレベルの魔法なら魔法名だけで十分、何故なら俺は火魔法Lv3だから!とおっさんが自慢していた。俺が水魔法覚えたらびしょ濡れにしてやろうか。


 しかし、魔法の前に大問題発生。

 体内の魔素って、何?

 つーか魔素って何?


 聞いたらそこらへんのことは知らん、と言われた。

 脳筋と言ってやりたかったが、一般的に知られていないらしい。

 使えるからいいや、便利だし。ってノリで、みんな気にしてないんだと。

 それでいいのか。

 一応研究してる奴もいるけど、少数らしい。


 魔素が分からないと魔法は使えないので、まずは魔素を感じるとこからになった。

 魔素は身体のあちこちに拡散されているらしく、集中して探れば見つかるだろう、と言われた。


 雑な説明だと思いつつ、やる。

 でも実は俺、魔素認識出来るんだよね。

 昨夜≪スキル作成≫使った時に身体の中から何が抜けていくことに気づいた。抜けていった何かが気になって探していたら、血とは違う、何かドクドクしたものが身体の中に流れていることに気づいた。

 水みたいな形状の感覚だから、水が排水口に渦巻きながら流れていくイメージで腹に集めてみた。集めたら何か分かるかなーって。

 成功。腹に何かが集まった感覚。


(スキル≪魔素操作≫を習得しました)


 いきなり頭の中で、さっきも聞いたような声が聞こえた。

 え?魔素操作?魔素っていうのこれ?何それ?MPみたいなもん?詳細プリーズ!



 スキル≪魔素操作≫Lv1・・・魔素を使いやすくなる。魔法の発動速度がわずかに上昇、魔素の消費量がわずかに減る。



 わずかにかいっ!

 って感じで混乱して、集めた魔素も拡散してパーになった。

 いやー、ビビったね。誰かに聞いたら怪しまれそうだし、聞くに聞けなかった。

 だがまぁ、今聞けたから良しとしよう。

 ・・・暇だからこのまま魔法とかやってみようかなー。


「なんだ⁉︎」


 ん?相川さんが驚いてる?


「どうした⁉︎」

「あ、頭の中に声が・・・」

「なんて言ってる?」

「スキル≪魔素操作≫を習得したって言ってます。」

「ああ、それはスキルを習得した時の『神の声』だ。」

「『神の声』・・・」

「しかし、≪魔素操作≫か。普通スキルはそんな簡単に獲得出来ねぇんだがな。勇者だからか?」


 あの声「神の声」って言うのか。初めて知ったわ。

 というかあの声俺だけじゃなかったのか、良かった。俺の頭がおかしいか、≪憂鬱≫のせいかのどっちかだと思ってた。


 それから全員魔素を感じることに成功し、≪魔素操作≫も習得した。

 おっさんは唖然としてたけど勇者はスキル習得が早いのか、と納得していた。


 この分だと魔法もすぐに習得出来るだろう、と言うことで早速。

 まずは簡単な「ボール」系の魔法から。

 火なら「ファイアボール」、水なら「ウォーターボール」、風なら「ウィンドボール」、土なら「ランドボール」。

 光は「ホーリーボール」、闇は「ダークボール」。

 無は普通の魔法とは違って無いらしい。


 まずは水からやってみた。

 魔素を集めて、大きい水滴をイメージして、と。

 集めた魔素を手に持っていき、「ウォーターボール」。


 出来た。イメージした通りの水滴が手のひらに浮いてる。同時に、


(スキル≪水魔法≫を習得しました)


 神の声が聞こえた。

 よし、次。サクサク行こう。風魔法だ。

 イメージはアレだ、ナ○トの螺○丸。


「らせ・・・ウィンドボール」


 少々危なかったが、出来た。

 ほうら、神の声が聞こえるよ。


(スキル≪風魔法≫を習得しました。アルティメットスキル≪憂鬱≫内のスキル≪絶対零度≫の効果により、スキル≪水魔法≫のレベルがMAXになりました。スキル≪風魔法≫のレベルがMAXになりました。これによりスキル≪氷魔法≫を習得しました。スキル≪絶対零度≫の効果よりスキル≪氷魔法≫のレベルがMAXになりました。)


 なんじゃコリャーー‼︎

 うおおおおぉい!有りか⁉︎それ有りか⁉︎お前マジか!大丈夫か俺色々な意味で⁉︎

 おおお落ちつけ俺。バレたら怖い、動揺しないようにな、そう俺はいつもクールなのさ。(キリッ)

 ボケたら落ち着いた。ちなみにその間俺は内心ドキがむねむね状態だったが、顔には出さなかった。スキル≪無表情≫が俺にはついてる!



 スキル≪無表情≫・・・いつ如何なる時も無表情、もしくは特定の顔の状態で保てる。



 しかし、≪絶対零度≫か。そういえば≪憂鬱≫内のスキルは≪スキル作成≫以外よく見てなかったな。どれ、見てみるか。



 スキル≪絶対零度≫・・・≪氷魔法≫の威力を3倍まで上げることが出来る。≪氷魔法≫の限界を無くす。≪氷魔法≫のレベルを最大まで上げる。≪氷魔法≫を習得していない場合、≪水魔法≫と≪風魔法≫のレベルを最大まで上げる。適性に水、風を加える。



 スキル≪深淵の闇≫・・・≪闇魔法≫の威力を5倍まで上げることが出来る。≪闇魔法≫の限界を無くす。≪闇魔法≫のレベルを最大まで上げる。適性に闇を加える。



 スキル≪上乗せ≫・・・スキルにこのスキルが含まれているアルティメットスキルの感情を乗せることが出来る。上乗せすると、威力が増し、相手にその感情を与えたり、増幅させたり出来る。



 もう驚かない。俺は成長したのだ。ハッハッハッ。

 ・・・・・・チートのオンパレードォ‼︎ふじゃっけんな!

 あ、噛んだ。


 もはや俺の心のライフはゼロです!

 もうやめて!≪無表情≫もいつか崩壊するんじゃ無いかってくらいのダメージだよ!



 俺が打ち砕かれていると、咲ちゃんが話しかけてきた。


「・・・祐志さん?どうしたの?」

「え?何が?」

「・・・さっきから動かないから、気になって。」


 ギクッ。鋭いな、咲ちゃん。確かに動いてなかった。いや、ショックすぎて動けなかった。ええい、話を逸らさねば!


「なんでもないよ。それより、咲ちゃんは魔法使えた?」

「・・・・・うん。火魔法と水魔法を習得出来た。」

「そうか、良かったね。」


 俺は咲ちゃんの頭を撫でた。


「⁉︎え、えっと、祐志さん?」

「あ、ごめん、つい。嫌だったかな、謝るよ。」

「・・・・・ううん、別に、大丈夫・・・。」


 と言いつつ真っ赤なんですが。

 なんでだか咲ちゃんは撫でてあげたくなるんだよね。

 あ、違うぞ。俺はロリコンじゃない。いくら咲ちゃんが小さいからって、高校生に見えない、小学生でもギリギリ通るくらいの身長だからって俺はロリコンじゃない。ちが(ジーーーーーー)・・・。


「えっと、咲ちゃん?なんで俺をそんな冷たい目で見るのかな?」

「・・・・・何だか失礼なことを考えてる気がした」

「そ、そんなん気のせいですがな。ワシがそんなん考えるハズないでっしゃろ?」

「・・・・・何でエセ関西弁?怪しい・・・」

「さ、さーて!みんなは習得出来たのかなー!」(逃)

  (ジーーーーーーーー)


 怖い!女の勘怖ぁい!

 逃走!

 相川さん、お助けぇ〜!


「おや、浮雲君、どうだい魔法は?」

「なんとか水と風を。そちらは?」

「僕も風と土を習得。橘君も習得出来た?」

「はい、火と風を。」


 あ、そういや俺、橘君のステータス知らないや。

 信用されてない、かな?でもこれからを考えるとちょっと問題だよね。まあ、俺はいいけど。いざとなったら鑑定するし。

 すると、相川さんが俺をチラリと見て、爆弾を落とした。


「そういえば橘君、浮雲君にステータスプレート見せてあげないの?」


 おーい!相川さーん⁉︎あんた分かってて言ってるだろ!


「俺は・・・まだ彼を完全に信じてません。だから・・・」

「見せないって?でもこれからはチームのようなものだよ?チームの戦力が分からないなんて、ダメだと思うよ?」

「〜〜〜〜〜ッ‼︎分かってますよ!でも・・・」


 面倒だから、助け船出すか。


「相川さん、別に俺は気にしてませんよ?」

「分かってるよ、でもチームワークの問題だからね、これは。そういうことじゃないんだよ。」


 チッ。さっさと終わらせたかったこの話題。

 仕方ない、ならばこうしよう。


「橘君、これ。」


 俺は橘君にステータスプレートを差し出した。これで橘君も見せなければいけなくなった。


「ッ!・・・・・分かった、俺のも見せる。」


 橘君もそれくらいは分かるのか、ステータスプレートを差し出してきた。




 橘 優 17歳 男 状態:良好


 Lv17


 種族:人族


 職業:勇者


 適性:火、風、光


 スキル:格闘Lv3、魔素操作Lv1、火魔法Lv1、風魔法Lv1、言語LvMAX、算術LvMAX


 称号:異世界人、勇者




 そういえば名前、優だったね。忘れてた。

  (作者もー)

 ・・・・・なんか聞こえた気がした。ま、いいや。

 橘君は俺のステータスを早々に見ると、すぐに返してきた。そんなに俺嫌い?

 こちらもすぐに返す。何でそんなに俺嫌い何だか知らないが、仲良くして欲しいねぇ?

 あ、ちなみに夢さんはさっきの咲ちゃんとのやりとりを見てたのか、咲ちゃんに絡んでた。


 さて、全員魔法は使えるようになったので、このまま今日は城に帰ることになった。買い物したかったし、ゴム工房も行きたかったが、昼時だ。腹減った。




 鍛錬場を出て、ギルドを出る。なんかあったらまた来い、とおっさんに見送られた。ちなみにあの酔っぱらいはギルド内にはもういなかった。さすがにギルド内で馬鹿はしないか。このまま城までなにもなきゃいいが。




 だがそう上手くいく筈もなく。

 城への道をちょくちょく迷いながら歩いていると、後ろから不味い味が近づいて来た。数は4人。しっかし不味い。≪感知≫の感覚を味覚から変えないとやってられん不味さだ。この不味さはあの酔っぱらい共だな。

 ・・・触覚に変えたい。変えられるのかな?


 スキル≪感知≫・・・まわりのモノを感じれるようになる。自分に敵意があるか、友好的かを感じれる。範囲は自分から100m。(感覚設定:味覚)


 お、変えれそうだ。味覚を触覚に・・・いやまて、第六感に出来ないか?新しい人類のごとく「見えたっ‼︎」ってやってみたい。

 ・・・・・あ、出来た。

 よぉし!これで俺もニュー○イプだぁ!見える、見えるぞ!俺にも敵が見える‼︎

 って、馬鹿してる場合じゃない。マジで敵来てるんだった。

 注意しないと。





うおおおおお!スマホの容量がいっぱいいっぱいやーーー!ど、どないしよう?

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