勇者は見た!恐怖の服屋!
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side.祐志
・・・あの騎士たち、何で俺見てたんだ?心当たりは・・・あるな。多分謁見の間で喧嘩売ったからだろう。
あーあ、ギルマスのおっさんには鑑定したのバレかけるし、面倒くせーのが沢山あるなー。バレてたら後で追求くるだろうし。なんて言い訳しよう。
あ、コレおっさんの鑑定結果ね。
バージス 39歳 男 状態:良好
Lv84
種族:人族
職業:ギルドマスター
適性:火、土
スキル:剣術Lv3、盾術Lv3、弓術Lv2、格闘Lv3、火魔法Lv3、土魔法Lv3、指揮Lv3、事務Lv3
称号:荒くれ者の頭、ギルドマスター
ついでに鑑定の説明も。
スキル≪鑑定≫・・・あらゆるモノを鑑定出来る。生物ならステータスが、それ以外なら詳細が浮かぶ。
ま、こんなとこか。それより買い物!服!飯!剣あるかな!
テンション上がってキター!
と、いうわけで街に来ましたー。
街は中世ヨーロッパとか、そんなイメージな感じ。石造りの建物が多いかな?道の両脇に露店とかもあるね。おばちゃんおじちゃんが大声出して商売しておりますなー。
にしても人が沢山いますなー。人族が多いけど、違うのもいますな。あ、あの人はネコミミついてるから獣人だな。
この世界には、人族、獣人族、エルフ族、ドワーフ族、魔族の5つの種族が存在する。
人族の特徴は普通。身体能力も魔法の腕も普通だが、何事も器用貧乏にこなす。
獣人は容姿は人族に動物の耳と尻尾をつけた外見をしている。身体能力は高いが、魔法の腕はほとんど無いに等しいらしい。
エルフ族。容姿は人族とあまり変わらないらしく、長命。見分けるには耳が長いかどうかで分かるそうだ。身体能力は高くはないので力は無いが、俊敏さは高い。かわりに魔法の扱いが上手いそうだ。
ドワーフ族。容姿は大人でも人族の子供くらいの容姿にしかならないので、よく子供に間違えられて怒るらしい。腕力が強く、手先が器用で、職人に多いらしい。
魔族。容姿は人族に近く、肌が黒い。角と羽が生えており、身体能力も魔法も強い。が、持てるスキルの数が少なく、自分に合ったスキル以外は習得しにくいらしい。
どれも俺たちがよく見るゲームとかマンガとかに多い感じだ。分かりやすくていい。
ちなみにエルフ族にはダークエルフとかはいない。
全種族とも普通に外交とかしているし、この国でも普通に街とかに色んな種族が住んでいる。差別とかは無い。ただ最近は魔族が暴れ出したので、どの国でも魔族は見かけなくなったらしい。いても裏切り者扱いされたりして居心地は悪いだろうしな。
さて。ネコミミですよ紳士諸君!モフりてぇー!でも大体王道パターンだと許した人にしか触らせてはくれないだろうから、我慢だ!
エルフはトール○ン先生が言っていたように皆ひんぬーなんでしょうか!気になりますなー。
ま、エルフに関してはホントにその通りだったら、俺はビックリだけどね。
だってつまりそれはトール○ン先生エルフに会ったことがある可能性を示している訳じゃない?ってことはトール○ン先生この世界に来た事があるか、地球にエルフがいたか。どっちの可能性も出てくる。つまり地球ファンタジー。ヤベェ、妄想が止まらない。
後はこの世界を作った奴がそーゆーのに詳しかった可能性もある。つまり神様=オタク。この場合はやばい。そんなこと言ったら俺消される。
と、いう訳で、エルフが巨乳でありますように!と願掛けしたところで、おっさんが立ち止まる。
「着いたぞ、ここが腕のいい服屋だ。」
「ここが・・・」
ちっちゃいお城みたいなデザインの店だ。周りの建物より幾らか大きいから、すごい店かもしれない。
看板にはよく分からない字で「ニュースタイル」と書かれている。なんで分かるのか?多分≪言語≫スキルだろうな。分からない字も全部日本語に翻訳してくれるようだ。
早速入ろうとすると、おっさんに止められる。
「あー、待て待て。一つ、忠告がある。」
「え?服屋さんなのに忠告ですか〜?何か危ないんですか〜?」
「ああ、ある意味な・・・。ここの店主は良い奴なんだが、なんというか・・・色々すごいんだ、だから気をしっかり持って入れ。いいな?」
なんだろう。すっごい嫌な予感がする。
チラリと相川さんを見ると、俺と同じことを思ったのか、目があった。
((・・・まさか、ね))
目と目で通じあっちまった。やっぱり相川さん結構マンガとか読んでるでしょ。
橘君が首を傾げながら店の扉を開ける。おっさんはまだ心の準備が出来ていないのか、ちょっと焦っている。つーかおっさん知り合いなんじゃねーのか。いちいち落ち着かなきゃ会えないのかよ、偶然会った時どうすんだ。
で、だ。多分俺らの予想だと・・・。
「失礼しまー『いらっしゃーい♡』・・・」
ハイ、キマシター。ガチムチのオカマさんです。完全に予想通りです、ありがとうございました。
「お、おうエル。服買いに来たぜ。」
「あら!バージんいらっしゃーい♡エルじゃないわ!エリスよん!その子達はお友達?」
「あ、ああ、そんなとこだぜ。」
バージん・・・。おっさんがバージんは色んな意味でダメじゃね?
あ、まーたみんな固まってるよ。相川さんはそんなにダメージ受けてないな、俺らは予想してたから。でも実際に見るとキツイものがあるな・・・。
「き、筋肉が・・・、筋肉が動いてる・・・」
「あ、あらら〜」
(・・・プルプル)
「・・・みんな見事に引いてるねー。無理もないけど(ボソッ)」
「相川さんそれ言っちゃダメなやつ(ボソッ)」
おっさんはエル・・・じゃないや、エリスさんと話して服を買わせてくれるように頼んでる。なんでも、エリスさんが気に入らない客には、売ってくれないらしい。
「いいわ、任せて頂戴!綺麗に着飾ってあげる!お嬢さん達、おいでなさい!見繕ってあげるわ!貴方達みんなかわいいから、おまけしちゃう!」
お許しが出た。でも、今からギルドとかに行くからなるべく冒険者風の服がいいんだけど。
女性2人を連れて行こうとしてるエリスさんにそう言ったら、「任せてん!」とのお言葉が。ありがたやー、ありがたやー。
と、拝むより俺らも服、選んじゃうか。
「待ってたら危険な気がするしね・・・」
「「そうですね・・・」」
多分、身ぐるみ全部剥がされるな・・・。
橘君と珍しく意見があった気がする。
さて、俺はどうしようかな、と。店内を見渡すと、色んな服がある。服とかよく分からん。適当に手に持ってみる。ってこれ執事服だ。違う違う、こんなの欲しくない。もっとこう、楽チンなのをだね。
ん?しばらく見てまわっていると、いいのを見つけた。生地はなんだか分からんが、ポロシャツっぽい黒色の服だ。手触りも悪くないし、これにしよう。あ、Tシャツもある。これも買おう。ズボンは適当に。腰をベルトで縛るタイプが多いが、紐で縛るタイプもある。これは冒険者には向かないだろう。ついでにベルトも買おう。
それにしても・・・。
「浮雲君、決まったかい?」
「あ、はい。」
相川さんも決まったようだ。手には・・・ワイシャツ?
「相川さん、それ・・・」
「ああ、なんかあった。それも含めて浮雲君、これを見てくれ。どう思う?」
「パンツ?」
相川さんが差し出してきたのは、トランクスだった。しかも・・・。
「これは・・・ゴム?」
「ああ、ゴムだ。しかもこのワイシャツも地球のワイシャツにそっくりだ。浮雲君の持っているのは・・・Tシャツにポロシャツ?それも地球のと似ているね。」
「ええ、俺も同じこと思ってました。」
「うーん、どういうことなんだろうね。確か、ダレジャンさんは異世界人を知らなかったよね?」
うーん、気になりますな。気になると俺はすぐに調べたくなる性格なんだ。だから陛下に図書室の入室許可を得ようとした。貰えたから気になることは心おきなく調べさせて貰うつもりだ。
「そうだ、このパンツって安かったですか?」
「いや?500ペルだったよ。あ、浮雲君も欲しいのかい?」
「ええ、後で買いますよ。それよりそれくらいの安さなら庶民も買えますよね?」
「ああ、そうだね。うん?普及率が高いってことは・・・」
「この世界に昔からあるってことですね。」
「さらにこの服たち。地球より高いし数も少ないけど、間違いなく地球の服がベースになってるね。どういうことなんだ?」
相川さんと唸っていると、エリスさんが夢さんと咲ちゃんを連れて戻ってくる。決まったようだ。
咲ちゃんぐったりしてるな。
「あら!もう決めちゃったの⁉︎アタシが選んであげたかったのに〜!あら?もう一人の子はまだのようね!アタシが選んで・・・」
「もう決めました!」
「あらん、残念。」
橘君、超スピードで近くにあるTシャツに決めたな。
「それじゃ、お会計ね。バージん、貴方はどうするの?今ならお安くしておくわよ?」
「お、じゃあこのパンツを買っとくか。」
おっさんもあのパンツ買うのか。
会計中、おっさんにゴムのことを聞いてみる。
「おっさん、これなんだ?ビヨンビヨンしてるな。」
「おっさ⁉︎あ、ああ、知らんのか?これはな、ゴムって言ってな、俺も詳しくは知らんが、植物から取れる便利なものだ。グレンシュテウムでは昔からあるぞ?あと、おっさんはやめろ。俺はまだ39だ。」
「昔からというと、いつぐらいから?」
「無視かよ。さあな?なんだ、気に入ったのか?んじゃ後でゴム職人とこ行くか?」
橘君や咲ちゃんが俺に「何言ってんの?」的な視線を向けてきたが、おっさんは親切に教えてくれた。ゴム職人については、是非お願いした。
「実はこのゴム付きパンツを作ったのは、このお店なのよ!貴方たちのこの服も!この服も!このお店が初めて作ったお店なのよ!」
そりゃすげえ。拍手をくれてやろう。
それらの利益でこの店は大きくなり、今でも服業界のカリスマ的存在を確立しているらしい。
相川さんがひそひそと聴いてくる。
「浮雲君、何か分かったのかい?」
「ええ、大体コレであってるかな?ってのは憶測出来ました。まあ、ここて話すことではないので、後でみんなに話しますよ。」
確証はないからね。これはお城の宝物庫とかを調べてみる必要があるな。許可取れるかな?
また来てねー、とエリスさんに見送られながら店を出て、ギルドに向かう。ちなみにみんな買った服に着替えた。さすがに有名店の店長だけあって、いいセンスだ。俺ら男の服にアドバイスしてくれた。女性2人はなんか疲れてるけど。冒険者としての活動に支障が出ないように選んでくれたらしく、2人を綺麗に飾りながらも動きやすい服だ。
「着いたぞ、ここがギルドだ。さあ、入れ。」
しばらく歩くと、ギルドに着いた。おっさんに促されて入る。
暴れん坊の巣窟じゃありませんように、と思いながら入ると。
「ようこそ、冒険者ギルドワールグリンド本部へ!ってギルドマスターですか。挨拶して損しましたよ。」
「なんだとこの野郎。給料減らすぞ。」
「申し訳ありませんでした!」
「大体お前はな・・・」
受付嬢さんとおっさんのコントが始まった。
長くなりそうなのでそれは放っておく。
ギルドの中は人が少ない。外から見ると二階や三階もありそうだったが、階段は無い。多分受付の奥にあるんだろう。一階は受付と端っこの方にあるちょっとした酒場しかない。酒場には朝から酒を飲む筋肉たちがいる。騒がしくてうるさいな。
観察してると、コントが終わったおっさんが話しかけてきた。
「よし、お前ら、字は読めるか?この紙に必要事項を記入してくれ、それを元にギルドカードを作る。出来たらこのハンナに渡せ。」
「ギルドカードってなんです?」
「どこのギルドに所属してるか、とかのまあ、証明書だ。街に入る時はなんらかの証明書か、ステータスプレートの提示が必須だ。まあ、進んでステータスプレートを見せる奴は何にも無い庶民くらいだが。」
「分かりました、何を書けば?」
「名前、種族、適性、主に使うスキル一つくらいか。出身はお前たちはなぁ・・・」
確かに迂闊なことが書けねえな。
とりあえず、紙を書くか。ええと・・・書けるのか?ちょっと心配になったが、書けるようだ。日本語で書こうとしたら、手が勝手に服屋で見たような字を書き出した。≪言語≫スキルさんマジパネェっす。
ウキグモ ユウジ
人族
水、風、光
剣術
コレでいいかな?
「おっさん、コレでいいか?」
「だからおっさんじゃねぇって・・・おい、お前貴族だったのか?」
「ん?なんで?」
「名字があるじゃねぇか。名字なんて貴族しか持ってねぇぜ?」
「いや、違う。おっさん、耳貸せ。」
「あん?」
「・・・俺らがいた世界じゃ、名字は庶民も金持ちもみんな持ってたんだよ。名字は書かない方がいいか?」
「・・・そんな世界があんのか。そうだな、書かない方がいいだろうな。」
面倒ごとが多そうだしな。
俺はみんなに説明し、名字を消した。
よし、今度こそいいだろ。
みんな書き終わったので、受付嬢さんに渡す。
「はい、確認しま・・・え⁉︎」
「ん?なんかあったか?」
「い、いえ、適性が・・・」
「・・・なるほどな、こりゃすげえ。」
ああ、そう言えば適性3つは多いんだっけ。
「消します?」
「あー・・・いや、いい。このまま登録しちまえ。ハンナ。」
「はっ、はい!」
「さて、お前たち。これから初心者講習を受けて貰う。ギルドの説明とか、心構えとかな。」
文句は無いので、みんな頷く。
と、そこに。
「ギャハハハ!おいギルドマスター!あんた正気か?こんなガキやひょろ長い女野郎に冒険者とか!無理無理、帰ってママのおっぱいでも吸ってな!」
「ギャハハ、全くだぜ!ハハハハハハ!」
なんか酔っぱらいがキタ。テンプレか。
めんどくせーー。
ゆでたとうもろこしって最高に美味しいよね。
君もそう思わないか!?
ギルマスのレベル忘れてたので追記しました(7/6)