ステータスを見てみよう
短編小説「カニクリームコロッケ大戦争」を投稿しました。そちらも見てもらえたら幸いです。
side.祐志
「そなたたちにはまずステータスを計ってもらう。」
「ステータス?」
なんかゲームっぽいの来た。流石にそれぐらいは分かるのか、皆「ステータスって俺たちにあるのか?」とか「貧乳がステータスとは聞くが・・・」とか言ってる。一人だけなんか違うけど。相川さん、あんた実は真面目じゃないだろ。
早速橘君が王様に聞く。
「陛下、ステータスは僕ら異世界人にもあるものなのですか?」
「分からぬ。何せ異世界人なぞ我らは聞いたこともなかったのでな。始めお主らを見た時は半信半疑だったのだがな、タチバナ殿の服やアイカワ殿の服を見た時に、そしてお主らと話しをした時に確信した。この世界の常識をここまで知らぬとなると、異世界から来たと言うくらいしか説明がつかぬからな。」
「なるほど、分かりました。それで、どうやって計るのですか?」
すると、王様は近くにいたメイドさんに合図を送る。
メイドさんは頷き、部屋を出て行く。
「今、ステータスプレートを取りに行かせた。それで計ってもらう。」
「ステータスプレート・・・ですか。」
しばらくすると、さっきのメイドさんが薄い板のような物を何枚か持って来た。それを受け取る。裏表真っ白だ。
「それがステータスプレートだ。『ステータス』と言えば、自分のステータスが表示される。計ってみなさい。」
「分かりました。」
ふむ。では、早速・・・。
『ステータス!』
浮雲 祐志 17歳 男 状態:良好
Lv17
種族:人族
職業:勇者
適性:水、風、光、闇
スキル:剣術Lv2、家事Lv2、言語LvMAX、算術LvMAX
アルティメットスキル:憂鬱(大罪)
称号:異世界人、勇者、大罪を背負う者、相反する力
おい。おいおいおいおい。ナニ、コレ。見るからにヤバいのあるんだけど。
なんすかアルティメットスキルって。しかも大罪て。称号も危険そうだし。もしかして俺捕まっちゃう?え、どうしよう?
まわりを見ると、みんなは「おお〜」とか「スゲ〜」とか言って感心してるけど・・・俺はビクビクですよ!
どうしよう!バレたらヤバい!主に命が!助けてウキぐも〜〜ん!(落ち着くんだゆじ太君!)はっ!こ、この声はまさかウキぐもん⁉︎助けて!(お、おおお落ち着いてスス、スキルをよくみ、見るんだあああ⁉︎なな何か分かるかもししれないいい!)ダメだ⁉︎こいつが一番パニクッてる!
し、しかしウキぐもんの言う通り、よく見てみよう、何かヒントが・・・
アルティメットスキル:憂鬱(大罪)・・・八つしか無い大罪系スキルの一つ。真に憂鬱を知る者にしか発現しない。スキル≪絶対零度≫を扱うことが出来る。スキル≪深淵の闇≫を扱うことが出来る。スキル≪スキル作成≫を扱うことが出来る。スキル≪上乗せ≫が扱うことが出来る。
あ、なんか詳細が浮かんできた。念じればいいのか。っていうかなんかチート過ぎやしませんかね⁉︎≪絶対零度≫や≪深淵の闇≫はまだマシだよ!≪スキル作成≫て何だ!アホか!バカなのか⁉︎
俺がパニクッてると、詳細が浮かんでくる。
スキル:スキル作成(0)・・・オリジナルスキルを作ることが出来る。作ることの出来るスキルの数はスキル所有者のレベル数と同じ数。
名前通りだよ!しかし上限があるのか、ならば早く上げて・・・って俺は何しようとしてんだ⁉︎
そんなことを考えてパニクッてると鹿嶋さんが寄って来た。
俺は何とか冷静を装って答える。
「どうだった?浮雲君。私のはね〜・・・」
「ああ、あまり人に見せない方がいいと思いますよ、鹿嶋さ『夢でいいわよ〜』・・・じゃあ、夢さん、と。」
「はい、よく出来ました〜。私も祐志君って呼ばせてもらうね〜。それで、どうして見せてはいけないの〜?」
「それはですね、簡単に人に見せると、利用されてしまうからです。」
「利用?」
「はい、例えば・・・」
鹿嶋・・・いや、夢さんに説明している間に俺はステータスをどうにか隠せないか、頭をフル回転させていた。見せない、ってことは難しいだろう、ならばステータスプレートに何か細工を・・・いや、それも難しい。どうする、このまま隠し通すには・・・ん?隠す?そうだ!
俺には≪スキル作成≫がある!それを使う!えーと、どう使えば・・・あ、何となく感覚で分かる。
まず、作るスキルの名前と大まかでいいから効果を強く念じれば・・・
(ユニゾンスキル≪隠蔽≫を作成します。よろしいですか? YES/NO)
頭の中に無感情な声が流れる。ユニゾンスキル?スキルとは違うのか?まあ今はいい、YESだ!
(ユニゾンスキル≪隠蔽≫を作成します・・・・・・・・作成、同時に習得しました。)
よし、成功した!このまま使って、ステータスプレートに表示されている俺のステータスを隠す!隠すのは、これ、これ・・・あと、これ。もちろん≪隠蔽≫も忘れずに。
そして丁度夢さんへの説明も終わった。
って、いつの間にか異世界組全員俺のまわりに集まってる。
他のみんなも俺の説明を聞いていたらしい。
「・・・とまあ、そんな訳です。だから、注意した方がいいですよ。」
「うーん、分かったわ。注意するわ。でも、祐志君なら見せても平気よ〜。そんな酷いこと、しないでしょ?」
「え。あ、はい。まぁ、するつもりは微塵もありませんが・・・」
そんなことしてもメリットがあるとは思えないし。
「なら、大丈夫よ〜。だから、ハイ。」
・・・この人にも、逆らえる気がしないな・・・。王妃様とは違う感じで、なんと言うか、お母さんみたいな包容力がある。俺は父親に「俺はともかく、あまり母さんには心配をかけるな」って小さい頃から言われてきたから、母親にはあまり逆らえなかった。逆らうつもりもなかったけど。だから、俺は母という生き物に弱い。
参ったなぁ、と思いながら夢さんのステータスプレートを受け取った。
鹿嶋 夢 24歳 女 状態:良好
Lv24
種族:人族
職業:勇者
適性:水、土、光
スキル:看護Lv3、慈愛Lv4、家事Lv3、言語LvMAX、算術LvMAX
称号:異世界人、勇者
・・・慈愛って、スキルなの?そこ疑問なんだけど。まぁいいや、他人のスキルにどうこう言えないし。お返しに俺のステータスプレートも差し出す。「いいの〜?」と聞いてきたが、ここで見せないのはマズいでしょう。重要な部分は隠蔽したし、大丈夫。
ちなみに隠蔽したのは、
適性:闇
ユニゾンスキル:隠蔽
アルティメットスキル:憂鬱(大罪)
称号:大罪を背負う者、相反する力
の5つだ。バレたらマズいのは闇の中!ってね!
夢さんは「私と似てるね〜」とニコニコしている。この人やっぱりお母さんみたいだなー。笑顔が眩しい。っておいコラ橘。お前には見せるつもりは今んとこねーぞ。覗き込むな。ほら見ろ、夢さんと王妃様に「メッ!」って怒られてやんの。しかしこの二人ほんと似てんな。怒り方までほとんど一緒か。
それを見て苦笑していると、宇多川さんにジッと見られているのに気付いた。なんだろ?そう思っていると、相川さんに話しかけられた。
「いやー、君の言う通り、あまり見せる物ではないね、これは。この世界の人々がどれくらいなのかは分からないけど、勇者の称号だけでも大変なことになりそうだ。そこの所、どうなんです?王様。」
「うん?ああ、そうだな・・・。軍人の中でも実力者ならば適性が2つ、スキルが8つと言った具合だな。庶民ともなれば適性が1つ、スキルが多くて4つと言ったところか。たまに適性が3つ、などという者もおるがな。あと、私のことは好きに呼ぶがいい。」
「じゃあ、ダレジャンさんと呼ばせてもらいますね。そうかー、2つ、8つかー。適性は勝ってるけど、スキルは負けてるなー。頑張らないとね。あ、これ、僕のステータスです。浮雲君も見るかい?」
「いいんですか?」
「ああ、いいとも。そっちの方がチームとかパーティ組んだ時にいいだろ?」
確かに。じゃあ、見させて貰おう。
相川 秀 22歳 男 状態:良好
Lv22
種族:人族
職業:勇者
適性:風、土、光
スキル:交渉Lv3、家事Lv2、言語LvMAX、算術LvMAX
称号:異世界人、勇者
やはり、本人のレベルは歳の数らしい。あと、適性も光がある。多分、勇者だからだろう。算術LvMAXなのはアレかな?この世界の算術が簡単なのかな?言語LvMAXはちょっと分からない。俺は英語苦手だったし。
「・・・これはスゴい。適性が三つも・・・」
「しかも、レア属性の光ですよ、お父様・・・」
「そうなんですか?」
いつの間にかルー姫・・・様も見ていた。年下に様づけはなんか抵抗あるなぁ。つーか光、レアなんだ。よく見ると、夢さんは王妃様と宇多川さんにステータスプレートを見せていた。ニコ姫様は・・・橘君に自慢されて、驚きつつも、苦笑している。メイドさん達も驚いてるな。
「う、うむ。そう言えばその辺りの説明はまだだったな。」
そこで王様・・・陛下って呼ぼう、そっちの方が呼びやすいし。本人も好きに呼べって言ってたし。陛下はコホン、と咳払いをした。みんなが陛下に注目する。
「まず、この世界には魔法がある。先ほどから話を聞いておると、どうやらそなたたちの世界にはなかったようだな?魔法には様々な属性があるが、基本属性として、無、火、水、風、土が、上位属性として光と闇がある。さらに、特定の条件、例えば水と風の魔法をある程度まで使えるようになると氷の魔法が使えるようになる、というようにして使えるようになる属性魔法もある。しかし、基本的に魔法は適性が無ければその属性魔法は使えない。例外として無属性は魔力があれば誰でも使えるが。さらに上位の光、闇属性となると魔法の習得が難しい上に、制御もかなりの実力がいる。宮廷魔導師に選ばれる程の実力者しか使えないのだ。それを最初から全員持っておるとは、流石、勇者と言えばいいのかな?」
「後から他の適性を習得するのは出来ないんですか?」
「それは残念ながら出来んだろうな。適性はその者の性質の様なものだからな。合わない魔法は何度試しても合わんのだ。」
なん・・だと・・・?全属性コンプとかしてみたかった・・。
「次にスキル。その者が何を出来るか、どの程度の実力なのか、そういったものが分かる。技能とも言う。例えば、私の剣術Lv4なら、斬撃を飛ばすことも出来る。最大レベルは5、それがMAXと表示される。Lv1から順に初心者、一人前、熟練者、達人、マスターといった感じだ。詳しいスキルの説明はステータスプレートに知りたいスキルの説明、と念じるといい。あと、スキルには種類がある。レア度の低い順に、スキル、ユニークスキル、アルティメットスキルがある。さらに特定のスキルをいくつか習得すると、それらがまとまり、ユニゾンスキルとなる。これにより、持っていたスキルの効果がある程度上がる。ああ、固有スキルと呼ばれる物もあったな、これは特定の種族、または職業、称号によりつくスキルを便宜上そう呼んでいるものだ、そなたたちの言語スキルや算術スキルがそれに値するのだろうな。」
算術スキルは違うと思うが、言語スキルは多分固有スキルなのだろう。異世界人の称号かな?
俺は剣道を昔習ってたから、剣術スキルがあるんだろう。
俺は気になることを聞いてみた。
「スキルとユニークスキル、アルティメットスキルの違いは?」
特にアルティメットスキルの説明をお願いいたします!
「うむ、ユニークスキルはスキルが進化したものだ。一定の条件が揃うと、進化するスキルがあるのだ。アルティメットスキルは私は見たことも無いのだが、この世界にそのスキルは1人だけしか持つことが出来ないスキルらしい。それはそれは強大な力を秘めているらしいぞ。」
・・・俺、そんな恐ろしいスキル持ってるんだ。やだなー。バレたら大変なことになっちゃうよ。
俺が遠い目になりそうになっているが、陛下は話を続ける。
「あとは、称号とレベルか。称号はその者が何か大きなことをすると神より与えられると考えられている勲章の様なものだ。それがついておると、ステータスやスキルに補正がかかるのだ。詳しいことはスキル同様の方法で調べるがいい。レベルはその者の強さの証の様なものだ。歳をとるごとにでも上がるが、戦闘やついている職業での働きでも上げることが出来る。」
「レベルかぁ。頑張って上げないとね。」
相川さんが笑いながら答えると、みんな頷いて同意する。ほんとに頑張らないと。俺のスキルのためにもね。
実はさっきの≪隠蔽≫スキル作る前に≪スキル作成≫の横の数が、さっきまで(0)だったんだよ。それが今確認したら(3)になってたんだ。あれっ?って思って≪隠蔽≫調べたら、
ユニゾンスキル:隠蔽・・・スキル≪詐欺師≫、スキル≪鎖≫、スキル≪無表情≫のユニゾンスキル。ユニゾンしたことにより、効果上昇。ステータスプレートを変更可能となった。実力を完全に隠せる様になった。
と、出た。≪隠蔽≫を作るのにスキルを3つ作ってたみたいだ。横の数はスキルを作った数のようだ。つまり、俺があと作れるスキルは14個。作りたいスキルの数には足りない。だから、レベルを上げて上限を上げないとね。
・・・このスキルに慣れていってる自分が怖い。
毎日投稿してる人ってすごいと思います。
6月21日 修正 ダレジャンのセリフ
前「橘殿の服や相川殿の服を見た時に」
後「タチバナ殿の服やアイカワ殿の服を見た時に」